役割給とは
職務において期待される役割や責任、権限レベルの高さなどから設定した役割ランクに従って決定される賃金。従業員の職務を役割によって格付けし、そのランクによって賃金を決定する性格から、職務基準の人事処遇制度に位置づけられる。
〈役割等級制度の例〉
ランク | 該当順位 | 期待役割 |
S1 | 部長 | 経営方針を踏まえて組織の運営方針を策定し、所管業務全体のマネジメントを行う |
S2 | 課長 | 上位方針を踏まえて組織の運営方針を策定し、所管業務全体のマネジメントを行う |
S3 | 課長補佐 | 課長を補佐し、担当業務を取りまとめる |
S4 | 主任 | 担当業務に関する知識を有し、日常業務を適切に遂行する |
S5 | 担当 | 担当業務に関する基本的な知識を有し、与えられた範囲の業務を適切に遂行する |
役割評価とは
役割評価とは、社内の役割の大きさを測定する方法。個人のスキルや経験、成果といった従業員の能力を判断材料として評価するのではなく、期待されている役割を基準に個々人の評価を行う。
評価項目の例として「人材代替性」や「革新性」、「裁量性」、「専門性」、「対人関係の複雑さ」、「問題解決の困難度」、「経営への影響度」などが挙げられる。
役割評価を行うと、例えば正社員とパートタイム・有期雇用労働者の職務の大きさの違いや、均等・均衡待遇がなされているかどうかが分かる。正社員とパートタイム・有期雇用労働者の役割評価が同じである場合、給与や福利厚生の処遇に差があるとするなら、それは同一労働同一賃金の原則が守られていないといえる。
役割評価の導入事例
役割評価の導入事例として、以下のようなケースが挙げられる。
グローバル戦略に則った人事戦略の実現のため役割評価を活用
電気機器の開発・生産を行っているA社は、生産拠点の海外へのシフトを控え、役割評価を軸とした人事制度を構築。「従業員ランク」と、開発・営業・生産など機能別の職種を設定し、従業員の役割を明確化して賃金制度を整備した。
役割評価の基準を抽出する手段として、まずは現場の仕事内容を熟知した部門長が5段階で評価を実施、次いで算出された役割ポイントを活用してポイント単価(賃金金額÷ポイントの総和〉を算出、さらに役割評価結果を参考として賃金水準の再設定などの微調整を実施した。
役割等級ごとのポイント単価を計算することで、「仕事の価値の大きさ」に関する賃金水準について、数値での明確な比較を可能にした。これにより従業員の納得感も得られている。
[最終更新日]2024/03/18
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