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親会社から子会社などへの出向を命じられたら、どんな気持ちになるでしょうか。リーダー的立場にある人は、「部下に出向を命じると、モチベーションが下がるのではないか」と心配になるかもしれません。しかし、出向には大事な目的があります。出向の目的と、左遷や派遣との違いについて解説します。
出向にネガティブな印象を抱いている方も多いのでは?
ビジネスをテーマとした映画やドラマなどで、主人公が出向を命じられて愕然としている……といった描写を見たことのある人は多いでしょう。このように、出向は左遷と同じようにネガティブな意味合いで捉えられがちですが、必ずしもそうとはいえません。
出向とは?
出向とは、出向元企業との雇用契約はそのままに、別の企業へ異動することをいいます。代表的な例が、親会社から子会社への出向です。この場合、給与は親会社から支払われますが、現場での仕事は子会社側の指示に従って行います。
つまり出向は異動のようなものですが、企業間で行われる大規模な異動のため、場合によっては転職と同じくらいの負担を強いられることになります。ひとたび出向となれば、職場の人間関係がガラッと変わりますし、仕事内容も違い、初めのうちは戸惑うことが多いかもしれません。しかし、出向の目的を知れば、きっとその苦労にも耐えることができます。
出向の目的
出向の目的は、主に次の4つです。雇用調整のための出向を除けば、至ってポジティブなものであることがわかります。
キャリア形成
20代、30代といった若いうちから出向となるなら、人材育成の意味合いが大きいでしょう。とくに大企業であれば、さまざまな関連会社の仕事をよく知るのはとても大事なことです。インターンシップのようなイメージで、勉強と経験の機会を与えるために出向させます。
業績アップ
子会社のトップやリーダーとして出向するなら、人事戦略の意味合いが極めて大きいでしょう。親会社から実績あるリーダーを出向させて、企業グループの発展、成長をより強固にするのが狙いです。経営不振の続く関連企業に出向となると、貧乏くじを引いたような気持ちになりがちですが、会社からかなりの期待をかけられていることを忘れてはなりません。
企業間交流
新しく子会社となった企業や、新しい取引先に出向となったら、企業間交流の意味合いが大きいでしょう。取引やコミュニケーションの円滑化を狙い、社員の一人を潤滑剤として出向させるのです。出向先との信頼関係を築くことができれば、出向期間が終わっても、太いパイプを武器に活躍することが可能です。
雇用調整
自社での雇用継続が厳しい場合、関連会社に出向となるケースがみられます。一見ネガティブな理由ではありますが、会社側としてはあくまで雇用を続けたいと思ってくれていることのあらわれです。整理解雇を何とか回避したいという会社側の誠意を汲むことが大事です。最終的には、出向先へ転籍となることが多いでしょう。
左遷や派遣との違い
左遷されるとは、それまでの役職よりも低い地位に落ちてしまうことを意味します。あるいは、地方の営業所などへ異動させられ、出世コースから外されることをいいます。
一方で、出向はその目的から見ても分かるように、低い地位に落とすという意味合いはありません。目的がキャリア形成や業績アップのためなら、出向自体が出世への足掛かりになることすらあります。
また、出向は派遣と同じように思えるかもしれません。しかし出向と派遣には、システム上に大きな違いがあります。出向は、出向元が給与を支払い、出向先が仕事の指揮権を担いますが、派遣は、給与を支払うのも仕事の指揮をするのも派遣先です。
出向・左遷・派遣はそれぞれ意味や目的が異なる
以上のように、出向・左遷・派遣はそれぞれ意味や目的が異なるため注意しましょう。出向を受ける際は通知書や同意書をよく確認し、労働条件を確認しておくのがポイントです。また、部下へ出向を伝えるときは、決して本人がネガティブな意味で捉えてしまうことのないよう、出向の目的を丁寧に説明するのが大事です。
おわりに
ある日突然出向の命令を受けたとしても、必要以上にショックを受けることはありません。出向の目的を正しく受け止め、自分にチャンスが与えられていることをきちんと認識しましょう。さらなる成長のために、新天地へ突き進んで!
[最終更新日]2018/03/29
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