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2018-03-292018/03/29

ダイバーシティとは何か?企業におけるダイバーシティの役割と取り組み事例


少子高齢化が進み、人材の確保が難しくなってきたことから、ダイバーシティを推進しようとする企業が増えてきています。企業におけるダイバーシティの役割とは何かを解説し、取り組み事例を紹介します。

ダイバーシティとは?

ダイバーシティとは、直訳すると「多様性」のことです。ビジネスでのダイバーシティは、「多様な人材を活かして業績アップを図る経営戦略」のことを指します。性別や年齢はもちろんのこと、国籍や人種などで区別せず、さまざまな人材を雇い活用することで、企業の成長を実現するものです。1990年代ごろから、アメリカを中心に浸透してきました。

今、日本で一番注目され、たくさんの企業が推進しようとしているダイバーシティが、女性が活躍できる労働環境の整備です。今後の慢性的な人材不足が懸念されるなか、結婚・出産を機に辞めてしまいがちな女性たちが働きやすい職場を実現し、性差なく昇進出世がかなう企業づくりが求められています。

企業におけるダイバーシティの役割

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ダイバーシティは、たださまざまな人が働きやすい環境づくりを目指すだけではありません。あくまで企業戦略の一環ですから、利益を生むための仕組みであることが、ダイバーシティの役割といえます。つまり、多種多様な人材を活用することにより、各々の能力を最大限に発揮してもらうことが、企業の成長につながらなければなりません。

ダイバーシティの役割として考えられるのが、多様な人材が集まることで、ならではのアイディアが生まれたり、新たな手法が見出されたりすることです。また、女性や年配、高齢者側の生の意見を商品開発や営業手法に反映し、よりニーズに沿ったサービスを作りだすことも期待されます。

ダイバーシティの取り組み事例

ダイバーシティの実現は難しいことですが、すでに取り組み、実践している企業がたくさんあります。取り組み事例から、ダイバーシティがどのような効果をもたらすかを具体的にみてみましょう。

大橋運輸(愛知県)

運輸業界はとくに慢性的な人材不足に悩まされている分野です。主に愛知県の引っ越しや遺品整理、不用品回収などを行っている大橋運輸は、障害者、LGBT、外国籍労働者、高齢者、子育て期の女性を積極的に活用して、ダイバーシティを推進しています。

女性社員の活躍においては、子どもの急な病気などの勤務時間変更にも柔軟に対応し、パートタイムでもキャリアアップできるよう、短時間制社員制度を制定しています。また、同性パートナーも配偶者として認定し、福利厚生の適用を受けられるようにしたことで、LGBTが働きやすい職場づくりを行っています。

さらに外国人労働者においては、年に1回母国へ里帰りできるよう、旅費の補助をしているなど、幅広くきめ細やかなサポートが特徴です。男所帯の運輸業ながら2020年には女性社員比率を30%にすることを目標とし、障害者、LGBTの比率においても、ともに5%とする目標を掲げています。

荘内銀行(山形県)

荘内銀行は、1990年代からすでに女性登用を意識した改革を行ってきた企業です。2002年には配偶者の転勤地などに勤務地を限定する「複線型人事制度」を導入し、また2014年からは産休後の復職面談や女性支店長向けの研修を行う「ウーマンネットワーク」を設立し、女性の中長期的なキャリア構築を可能にしてきました。

こうした取り組みが実を結び、新卒採用の女性比率は、2004年度の27%から2015年には50%にまで向上しています。さらに2005年と2015年の業績を比較すると、「預金等残高」は1.8倍、「総貸出残高」は1.7倍にまで伸長し、躍進を遂げています。

ホテルさかえや(長野県)

ホテルさかえやは、長野県の渋温泉にある、1927年から続く老舗旅館です。とくに若者の定着が困難な旅館業界において新たな人材確保に成功し、かつ顧客一人当たりの総消費単価を、最近の4年で25%もアップさせています。

人材確保においては不登校や引きこもりだった人、障害を持つ人などを積極的に採用し、不明確な言語によるコミュニケーションを極力減らしたことで、新入社員でも仕事がしやすい環境を整えました。さらに、一人ひとりの特性をうまく生かし、どのような人にも出番を作ることで、社員の主体性を引き出したのです。

伝統的な「女将中心」の旅館から、社員一人ひとりの主体性を大事にする旅館に生まれ変わったことで、多様な人材がのびのびと働けるようになった好例です。女将、中居、板前といった役割の垣根を超えて、全社員が全ての仕事を行えるように業務改革した結果、繁忙期に休みを取れる体制も整いました。

ビジネスのグローバル化に伴ってダイバーシティの役割が大きくなっている

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今は女性活躍を推進する動きが活発ですが、これからビジネスがどんどんグローバル化してゆくに伴い、外国人労働者獲得にも注目が集まってくることは否めません。まずは女性の獲得から、と取り組みを始めれば、その施策は必ず外国人労働者や障害者獲得に役立ちます。

おわりに

ダイバーシティは、大企業だけが行うものとは限りません。人材確保が難しいと頭を抱える経営者であれば、どんな規模の企業であってもダイバーシティを進めるべきです。げんに、事例で紹介した「大橋運輸」も「ホテルさかえや」も、従業員300人以下の中小企業です。人材確保に悩んだら、すぐにでもダイバーシティを検討しましょう。


[最終更新日]2018/03/29

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