企業型確定拠出年金とは
企業型確定拠出年金とは、企業年金の一つ。企業が毎月掛金の積み立てを行い、従業員が積み立てられた資金の運用を行う年金制度で、掛金を払い込むことを「拠出」という。
従業員自らが資金の運用を行うことで、運用成績により将来受け取れる年金額が変動する。定年退職となる60歳以降にこれまで運用を行ってきた資金を受け取れ、一括して退職金として受け取るか、年金形式で月々一定額を受け取るかを決めることができる。
確定拠出年金には、企業型の他に個人型がある。確定拠出年金の略称は「DC」のため、企業型確定拠出年金は「企業型DC」と言われる場合が多い。一方で個人型には「iDeCo」という愛称がある。
確定給付企業年金（DB）との違い
企業年金には、企業型確定拠出年金の他に、確定給付企業年金（略称：DB）がある。確定給付企業年金は、給付内容を労使間であらかじめ決めたうえで積み立てを行う年金制度で、「DB」と略称される。企業型DCは将来の給付額が運用次第で変動するが、DBの場合は一度定めた給付金額が変動することはない。
確定給付企業年金については以下の記事で詳しく解説。
確定給付企業年金
企業年金の種類については以下の記事で解説。
企業年金
企業型確定拠出年金のメリット
企業型確定拠出年金のメリットは以下の通り。
運用次第で将来の年金額が増える可能性がある
企業が拠出した掛金を自分で運用できるので、運用成績が良ければ将来の受取額が増える。年金額が増えれば、ゆとりの生活が期待できる。
転職時に年金資産の持ち運びができる（ポータビリティ）
転職時には、積み立てた資産を他の年金制度へ持ち運べる場合がある。転職先で企業型DCやDBを導入していれば資産を移換できる可能性は高い。掛けた年金を転職時に手放したり、中途解約で資金を目減りさせたりといった心配がない。
節税効果がある
運用収益に対する課税がない。一般の金融商品では、運用益には一律20％の課税があるが、企業型DCの場合は収益への課税がないため、そのぶんを再度運用に充てられる。また、年金として受け取るときにも一定の非課税枠を利用できる。
企業型確定拠出年金のデメリット
一方で、企業型確定拠出年金のデメリットは以下の通り。
運用結果が悪い場合は将来の受取額が少なくなる
従業員が自分で運用するため、運用成績が悪くても企業側は補填しない。つまり将来の受取額が少なくなる可能性がある。
60歳まで引き出せない
原則、60歳まで資金を引き出せない。急に大きなお金が入り用になったとき、せっかく大きな積立金があるのに引き出せないのはストレスとなる。
運用管理期間を選べない
企業型DCでは、企業が運用管理期間を選択する。よって従業員は運用管理期間が提示する商品の中から投資先を選ばなければならず、場合によっては希望の商品がないときもある。
マッチング拠出について
マッチング拠出とは、企業が拠出する掛金の他に、従業員自らが掛金を上乗せして運用すること。将来の受取額が確実に増えるほか、運用原資が増えるため投資メリットがアップする。また、マッチング拠出を行った場合、従業員自らが拠出する掛金は全額が所得控除の対象となるため、節税効果もアップする。
ただし上乗せ金額には上限がある。従業員は、会社の掛金と同額までしか拠出できない。かつ、企業の拠出額とマッチング拠出分の合計額は5万5,000円を超えることはできない。また、DBを併用している場合、合計額は２万7,500円を超えることができない。
［最終更新日］2024/03/25
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