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2018-10-162019/03/04

サプライチェーンマネジメント(SCM)で業務プロセス最適化!導入のメリット~見直し手順まで徹底解説


  • サプライチェーンマネジメントはどういった手法を指すの?
  • 業務プロセスを改善したいけれど、SMCがどういう効果をもたらすのかわからない

本記事では、サプライチェーンマネジメントに関する、こういった疑問にお答えします。

作業の効率化や、コスト削減を意識しだした時にすべき行動をご存知ですか? サプライチェーンマネジメント(SCM)は主に大企業が採用を行っている手法で、作業の効率化とコスト削減ができるうえ、顧客満足度もアップします。

しかし、サプライチェーンマネジメントはメリットだけでなく、デメリットもあります。業務プロセスを最適化するSCMについて、詳しい意味や利点、欠点を解説します。

【サプライチェーンマネジメントのポイント】

  • SMCの導入で本部が情報を一括管理できるようになる
  • 在庫の最適化や供給のスピード化が実現する

サプライチェーンとは?

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サプライチェーンの「サプライ」は物流、「チェーン」は連鎖を表します。つまりサプライチェーンとは、製造から販売まで商品が流れていく際の仕組み全体を指す手法です。

コンビニのお弁当であれば、米農家や野菜農家から原材料を買い上げ、調理し、箱詰めをし、パッケージングを行い、店頭に並べるまでの流れをサプライチェーンと呼びます。どんな商品であっても、店頭に並ぶまでにいくつものステップを踏むため、物流のプロセスと情報量はかなりのものです。

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?

サプライチェーンマネジメントとは、物流の流れを精査し、業務改善に導くためのマネジメントを指します。たくさんの業者が介入するため、現場に一任してしまいがちな在庫管理や仕入れ計画について本部が一括把握し、統制指導をはかっていくのがSCMの特徴です。

上記のコンビニのお弁当の例でいうと、「原材料の買い上げ」「調理」「パッケージング」「出荷」「物流」「店頭販売」といった一連の流通に係る情報を、常に本部が把握できる状態にしておきます。つまり、業者の壁を超えて物流を一元化できる状態にして効率化すりことが、サプライチェーンマネジメントの本質です。

サプライチェーンマネジメントを導入するメリット

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情報の一括管理ができる

ひとたびサプライチェーンマネジメントを行うと、仕入れや在庫管理、販売管理計画といったすべてのデータが本部に入ってきます。これにより、情報の一括管理ができるようになり、まとまった情報は各部署で閲覧可能にすれば、サプライチェーン全体の課題や目標を共有化しやすくなるでしょう。

ひとつのひとつのプロセスを効率化しても、サプライ全体で効果が出なければ意味がありません。サプライ全体を通して最適化するには、各プロセスの情報を把握する必要があります。

サプライチェーンマネジメントによって情報の一括管理が実現すれば、サプライ全体の最適化・効率化が実現しやすくなるでしょう。

在庫の最適化が叶いコスト削減に結びつく

在庫ロスは非常に大きな損失です。在庫赤字の解消は小売業であれば是が非でも解決したい課題でしょう。

サプライチェーンマネジメントの導入によって商品物流の全体像を見渡せれば、無駄を省くための方法を見つけることができ、在庫の最適化が叶います。在庫が縮小すればコスト削減にも結びつきますし、もっとうまくいけば、もしかしたら倉庫を丸ごとなくせるかもしれません。

サプライチェーンマネジメンは在庫管理の効率化に最適な手法で、在庫の無駄を減らして最適化することにより、過剰在庫による赤字の発生リスクを抑えることができます。

リードタイムの削減により供給がスピード化する

作業を開始してから終了するまでの時間を、リードタイムといいます。サプライチェーンマネジメントで物流全体の管理ができれば、各工程のリードタイムを削減することができ、市場への供給がスピードアップするでしょう。

SMCで管理をしておけば売り時を逃さないことができるうえ、欲しいものが欲しいときにあるのは顧客にとっても嬉しいことです。リードタイムの削減による共有のスピード化は、企業にとっても顧客にとってもメリットのある取り組みと言えます。

グローバル化のためのマネジメントがしやすくなる

流通の一括管理ができていれば、新しい取引先や流通先が現れたときも安心です。サプライチェーンマネジメントの存在は、自社のグローバル化を進めるべきかどうか、悩んでいる経営者の背中を押すことになるでしょう。

特に海外への流通は情報を正確に把握しておかないと、国内での流通よりもロスが大きくなってしまいます。そうしたリスクを減らすためには、情報を一括管理できるサプライチェーンマネジメントが必要です。

人材不足の解消に役立つ

流通の省力化ができれば、自然と物流に必要な人的コストが少なくなります。人材不足にあえぐ企業にとっては、この上なく大きなコストカットとなるでしょう。

限られた人材で効率よく流通を回るには、作業の無駄を省かなければなりません。それをサプライ全体で見渡すことによって改善点を見つけるのが、サプライチェーンマネジメントの役割です。

特に近年は配送ドライバーの不足が深刻化しているため、配送の効率化が必要となります。現在はなんとか人材が足りていても、近い将来にもっと配送員が不足するかもしれません。

そうした時にサプライ全体が大きな影響を受けないように、今から流通の効率化をしておいた方がよいでしょう。

サプライチェーンマネジメントのデメリット

導入時にコストがかかる

サプライチェーンマネジメント導入時には、どうしても必要なソフトウェアの導入にお金を割いたり、分析や課題解決のために人材を投入したりと、金銭的にも人的にもコストがかかります。

サプライチェーンマネジメントを導入するのであれば、今後を見据えたうえでの、思い切った改革が必要になることでしょう。SMCでコストカットが実現すれば、投じた費用以上のメリットを享受できます。

効率化にこだわりすぎると需要の裾野が広がらない

販売や在庫のデータだけを注視して、作業効率化や在庫縮小、人気商品の供給強化などに励むと、需要の裾野が広がらなくなってしまいます。特定の場所で、特定の年齢層からしか売れない商品が、思いがけないヒットの芽を持っているかもしれません。

特に地方では、その土地特有の需要というものがあるものです。地方によって風土や習慣による違いがあるので、全体のデータだけを見て判断せずに、個別のデータもしっかり精査するようにしましょう。

反対に、特定の地方では売れているのに、別の地方では全く売れないということもあります。全体でみれば売上は好調でも、特定の地域に絞ってみると売上が極点に落ちていることもあるかもしれません。

たとえば、「ちくわぶ」は関東では馴染みがありますが、関西ではほとんど知られていないので、供給したとしても売上は見込めないでしょう。このように、需要のないところに商品を供給しても売上は見込めません。

ですので、地域特有の需要を知ることは非常に大切です。供給の無駄を省くために、局所のデータも拾うようにしましょう。

業務プロセス最適化のためにサプライチェーンを見直してみよう

SCMは、大企業だけのものではありません。商品の流れがある以上、どんな会社にとっても大事なことです。業務プロセスを最適化させたいなら、サプライチェーンの見直しを行ってみましょう。思いがけない在庫過多や物流の停滞が見つかるかもしれません。

サプライチェーン見直しの手順

サプライチェーンマネジメントでは情報の一括管理が肝になるため、まず情報伝達プロセスを見直す必要があります。現場で把握していても本社にまで情報が正確に上がってこないのであれば、報告プロセスのどこかに問題があるのでしょう。

また、意思決定プロセスの見直しも必要です。せっかく有益な情報が上がってきても、意思決定者が曖昧であったり、意思決定が遅かったりすると、チャンスを逃してしまいかねません。

組織が大きくなると意思決定プロセスに様々なノイズが混じり、迅速な決定ができなくなります。意思決定者を明確する、あるいは意思決定をテンプレート化するといった対策を投じ、意思決定プロセスの改善に取り組みましょう。

おわりに

今の日本は深刻な人材不足に苦しみ、経済的に目覚ましい発展をしているともいえません。しかし、サプライチェーンマネジメントを上手に使っていけば、人的コストの削減、物流のシンプル化、そしてグローバル化が叶います。サプライチェーンマネジメントは、日本の企業のこれからを救うといっても過言ではありません。

まずは製造から販売まで、細かな流れを確認してみることから始めましょう。きっと不明点がたくさん見つかります。不明点を解消し、全ての流れを洗い出すころには、すでに改善すべきところがたくさん見えてくることでしょう。


[最終更新日]2019/03/04

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