人事でお悩みの経営者へ必読コンテンツ
- プロジェクトの中で無駄な作業や非効率な作業が多い…
- プロジェクトの全体像が見えずメンバーが戸惑っている…
プロジェクトに関わる関わる人数が増えるほど、こうした問題が起きやすくなります。「連携がうまくいかない」「作業が滞る」「何のために今この作業をやっているのかわからない」といったことが起こると、プロジェクトに悪い影響が出てしまいかねません。
そんなとき、仕事の全体を俯瞰して課題を洗い出せるSIPOC分析という手法があります。今回はその手順について解説しますので、プロジェクトの連携に課題を抱えているのなら、ぜひ参考にしてください。
【SIPOC分析のポイント】
- SIPOCだけでなく、POCISやCOPISといった手順もある
- SIPOC分析はプロセスを可視化することが重要
SIPOC分析はプロジェクト全体の課題解決に役立つ手法
「SIPOC」の読み方は、「サイポック」です。5つのアルファベットは、課題解決のために整理すべき5つの要素の頭文字を表しています。
それぞれどんな意味なのか、課題解決のための分析手順は何か、順を追って紹介しましょう。
SIPOCそれぞれの意味
SIPOCそれぞれの意味をわかりやすくするために、プロジェクト事例を設けました。
あなたはあるホームページを立ち上げるプロジェクトの一員で、トップページのデザインを担当するデザイナーです。この事例を元に、個人レベルでのSIPOCを考えてみましょう。
S:Supplier(供給者)
「S:Supplier(供給者)」は、「その仕事をあなたに渡すのは誰か」を表します。プロジェクトリーダーからかもしれませんし、顧客と直接やりとりをするということもあるでしょう。
誰から仕事をもらえるのかが明白でなければ、「いつ、誰から連絡が来るのかな」とイライラしてしまいますね。まず供給者がわからないことには、SIPOC分析は進みません。
デザイナーの例でいえば、プロジェクトのリーダーが供給者ということになるでしょう。フリーランスデザイナーの場合は、クライアントが供給者になります。
I:Input(インプット)
「I:Input(インプット)」は、「S(供給者)」から受け取る材料を指します。材料が揃っていなければ、仕事は滞ってしまいますよね。
受け取るべきものが事前に分かっていて、「S(供給者)」に明示できれば双方ともに仕事がしやすいことでしょう。「I(インプット)」を疎かにしてしまっては、仕事が行き詰まってしまいます。
デザイナーの例だと、クライアントの要望をまとめたヒアリングシート、設計書などです。「I(インプット)」となる材料をもらわないには、どのような作業を進めればいいかわからないですよね。
P:Process(プロセス)
「P:Process(プロセス)」は、業務の内容であり、改善すべき仕事そのもののことを指します。
この事例であれば、HPのトップページデザインを作成するための、一連の業務の流れのことです。どの部分から作業に着手すればいいのか、どの作業を優先すべきかなど、業務の流れを把握します。
O:Output(アウトプット)
「 O:Output(アウトプット)」は、「P(プロセス)」によって得られる成果物を指します。
例えばプロジェクトリーダー「S」からラフデザインの依頼があり、指示や要望「I」を受け取ったとしましょう。この場合、ラフデザインを作る作業「P」を経て、出来上がったラフデザインが「O」=「成果物」となります。
C:Customer(顧客)
「 C:Customer(顧客)」は、「O(アウトプット)」を渡すべき相手です。この例の場合は、プロジェクトリーダーになるでしょう。
リーダーへ渡したラフデザインにOKまたは修正点が出たら、それに従ってデザイン作業を進めるよう指示があるはずです。そこから、またSIPOCのサイクルが始まります。
プロジェクト全体におけるSIPOC分析で全体を俯瞰する
先の事例は、わかりやすくするために個人の仕事におけるSIPOCを挙げてみました。
プロジェクトにどんな問題があるかを見える化し解決するには、プロジェクト全体のSIPOCを描き出し、それぞれの作業について業務の滞るところはないかを洗い出さなければなりません。
また、これは大きな仕事になるほど手間がかかります。しかし、チーム全員が全体を俯瞰し、問題が生じたときに「どこがうまくいっていないのか」をそれぞれが検証できる良い手段です。
SIPOC分析の手順
SIPOCは、この文字の並びの順で進める以外に、「POCIS」と「COPIS」という手順もあります。頭文字の意味は変わりませんが、進めるが変わっている点に注意してご覧になってください。
仕事内容と手順(P)を明確にすることから始める「POCIS」。2つめは、まずは顧客を定義することから始める「COPIS」。
手順1:POCIS
POCISは、以下の順で進めます。
- P:Process(プロセス)
- O:Output(アウトプット)
- C:Customer(顧客)
- I:Input(インプット)
- S:Supplier(供給者)
POCISは、すでにある業務プロセスを改善させるために最適な手法です。なので、まず「P(プロセス)」を明確にすることから始めます。
POCISを始めるにあたり、プロセスの「内容」「開始と終了時期」「中間ステップ」などを洗い出してください。
その後は、「P(プロセス)」に対する「O」=「成果物」が何かを考え、「C(顧客)」が求める「成果物」は何か、「プロセス」を実現するために必要な「I」=「材料」は何か、そして最後にその「材料」を与えてくれるのはを誰かを考えていきます。
POCISは、SIPOCとは逆の流れで考えるのが特徴です。POCIS分析をすることにより、プロセスの中での作業の無駄を減らし、効率よくプロジェクトを進められるようになります。
手順2:COPIS
COPISは、以下の手順で進めます。
- C:Customer(顧客)
- O:Output(アウトプット)
- P:Process(プロセス)
- I:Input(インプット)
- S:Supplier(供給者)
ご覧いただいてわかるように、COPISは「C(顧客)」を主体とした分析の手順ですCOPISは、新しいプロジェクトを立ち上げるときに、顧客のニーズを重視したプロセスを設計するために向いています。
「C(顧客)」は一体だれなのか? その「C(顧客)」を満たすニーズは何なのか? を考えることが重要です。
SIPOCでは「C(顧客)」は最後のステップですが、それでは顧客のニーズが後回しになってしまいます。「C(顧客)」のニーズを最初に考えることにより、プロジェクトの成果を最大限にするのがCOPISの目的です。
SIPOCを成功させるポイント
SIPOCはデフォルトでは「S(供給者)」から始めますが、目的に応じて「POCIS」と「COPIS」を使い分けることが大切です。
プロセスの課題を洗い出して改善したいのであれば「POCIS」を、顧客のニーズを満たす開発やプロジェクトにしたいのであれば「COPIS」を使いましょう。
いずれの分析手順を使うにしても、各ステップを明確にしていくことが成功のポイントです。順番は違えど、S・I・P・O・Cというステップは、それぞれが密接に影響しあっています。
ひとつずつ内容を明確にしていけば、プロジェクトの精度が格段に上がることでしょう。
プロセスの全可視化が大切
すでにある業務の課題点を見つけ改善したいなら、まずは現状のプロセスから洗い出す必要があるでしょう。
誰が何を誰から受け取り、成果物を誰に渡すのか。その業務は全体の流れの中でどんな役割を担っているのか。これらが見える化すれば、曖昧になっている部分が必ず出てきます。
全て明確にし、問題解決に向けて対策を立てましょう。
おわりに
SIPOC分析は、ITや物づくりの現場だけではなく、新店舗開発やイベント設営、新卒者採用プロジェクトなど様々な場面で使えます。全体の連携がとれていないと感じたら、まずは「P」の明確化から始めてみてはいかがでしょうか。
社員としても、自分が全体のプロジェクトの中でどのような役割を担っているのかが明確になれば、より仕事に誇りを持て、モチベーションが高まります。SIPOC分析を行ったら、わかりやすい形でチーム全員と共有することが重要です。
[最終更新日]2019/03/05
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