人事でお悩みの経営者へ必読コンテンツ
仕事で部下が失敗したとき、反省を促すのは上司の仕事です。しかし、人材育成のためには、反省だけでは足りません。さらなる成長に効果的なリフレクションについて、その意味や手法を解説します。
人事におけるリフレクションとは?
「Reflection(リフレクション)」とは、「反射」「反響」「鏡などの映像や陰」という意味です。これがビジネス用語に転じ、「自分の過去の行為について振り返り、深く考察すること」を指すようになりました。自己の内面を深く見つめるという意味で、「内省」と訳されることもあります。
社員自らがリフレクションを行うことで、それまで気づいていなかった自分の考え方や行動のクセが明らかになり、仕事の仕方を根本から改善することができます。研修やセミナーなどで仕事の方法論を教わるのではなく、自分の内側を深く知ることで、効率的な学びにつながるのです。心から納得でき、爆発的な成長につながります。
リフレクションと反省の違い
「それなら、ただの反省をするだけでもいいのではないか」と思う人もいることでしょう。反省は、何か失敗をしてしまったときにその失敗の原因を探り、失敗のもととなった行動や考え方をただすことです。一方、リフレクションは、とくに失敗していない事柄をも内省の対象とします。
自分が何気なく行っている仕事、行動、漠然とした考え方にこそ、成長のブレーキが潜んでいます。リフレクションを行うことで、成長のブレーキを白日の下にさらし、自分も上司も気づけなかった問題を解決していくことができるのです。
人材育成のためのリフレクション
人材育成のためのリフレクションには、2つの効果があります。1つは、前項までに示したように、自分に潜んでいる成長の種を導き出すことです。もう1つは、リフレクションという手法を学ぶことによって、「気づきのクセ」を身につけることです。
リフレクションは普段行っている全ての仕事を対象として内省するため、日常でも、何らかのきっかけで「自分がこの行動をとったのは、どんな考え方によるものだろう」と考えるクセをつけることができます。そして、あらわになっていない問題点を導き出し、より効率的に、より正しい意識で仕事ができるようになります。これが「気づきのクセ」です。
社員一人ひとりがリフレクションの手法を身につければ、会社側は特別なセミナーや研修を行うことなく、社員が自ら成長できる企業を作り上げることができるでしょう。リフレクションは、社員が自分の力で内面を磨くことができ、自発的な改善が期待できる手段です。
リフレクションの手法
リフレクションは自らを高めるためのものとはいえ、初めのうちは自分一人で自分の行動や考え方の問題点を探すのは難しいものです。社員同士で行動に関する会話を行うことで、内省は促されます。
社員は一人ずつ最近自分が行った業務の内容を披露します。聞き手となる社員たちは、どんな考え方でその行動をとったのか、なぜその手段を取ったのか、違う方法をとらなかったのはなぜかなどを質問します。この質問に丁寧に答えていくことで、話者が取った行動の意味や考え方、改善点が明らかになっていきます。
このとき注意すべきなのが、リフレクションは他者批判の場ではないということです。自分が行った業務を真っ向から否定されるようなことが続けば、社員らはリフレクションのたびに暗い気持ちになってしまいます。基本的に肯定的な立場を取り、言葉攻めにするのではなく話者自らの気づきを促すのが、聞き手となる社員たちの役割です。
こういった振り返りの会話の時間を設ければ、自分の行動を客観的に見つめる力が身につきます。話者である自分と、聞き手である自分を同時に存在させ、自らの行動の「なぜ」を問えるようになったら、リフレクションは成功です。
社員一人の成長が会社の成長につながる
リフレクションを一人ひとりが行うようになれば、小さな気づきの積み重ねが会社の成長にまで影響を及ぼすことでしょう。「反省」ではなく「内省」の習慣を、ぜひ社内全体で身につけましょう。
おわりに
社員の内省においては、初めのうちは他者のサポートが重要です。そのカギを握るのは、直属の上司に他なりません。上司自らリフレクションの手法を身につけ、部下にも方法論を分け与えましょう。上司の仕事ぶりを部下に見てもらうようなリフレクションの場を設ければ、コミュニケーション促進にも役立ちます。
[最終更新日]2018/05/09
以下のフォームにご入力いただくと、ダウンロード用URLを記載したメールをお送りします。また、会社のビジョンを実現するための具体的実践例と成功のコツが満載の「山元浩二のメールマガジン」を月2回お届けします!