人事でお悩みの経営者へ必読コンテンツ
- フレックスタイム制を導入すれば本当に業務効率化できるの?
- どのような点に注意して導入したらよいか知りたい
- 実際にフレックスタイム制を導入するにはどうすればいい?
フレックスタイム制の導入を検討しているけれど、実際にどのようなメリットがあって、どのような点に注意すればいいかわからない、という経営者は多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、業務効率化を目的として、戦略的にフレックスタイム制を導入するときにおさえておくべきメリットと注意点をまとめました。
女性を活躍させるため、また子育てや介護中の男性のためにも、フレキシブルな業務時間態勢を整えることはワークライフバランスの実現に不可欠です。フレックスタイム制を導入して、従業員が活躍しやすい労働環境を整えましょう!
【フレックスタイム制のポイント!】
- 少子高齢化、共働き世帯の増加で柔軟な働き方が求められる
- フレックスタイム制は労使協定で基本的な枠組みを定める
フレックスタイム制とは
「フレックス(flex)」は、本来は「曲げる」という意味の言葉ですが、ビジネス用語で「柔軟な」という意味でも使われます。
フレックスタイム制とは、定められた就業時間の中に限り、始業時間や終業時間を社員に決めさせる制度です。その形態は導入企業や部署によってさまざまで、完全フレックスのところもあれば、社員によって曜日を振り分けて実行しているところもあります。
フレックスが「柔軟な」という意味であることからもわかるように、社員の裁量で決められるのがフレックスタイム制です。
コアタイムとフレキシブルタイムについて
フレックスタイムは社員が出退勤時間を自由に決められるとはいえ、打ち合わせや管理等のために必ず出勤してなければならない時間帯がどうしても出てきます。これをコアタイムといい、それ以外の時間帯はフレキシブルタイムと呼びます。
コアタイムとフレキシブルタイムの時間帯は、会社の業態などによっても変わるにで、一概に何時から何時とは言えません。業務内容によっては出社が必要なコアタイムの時間帯があるので、その時間によっては出社時間の調整が変わってきます。
また、コアタイムは必ず設ける必要はありませんが、一方、フレキシブルタイムはコアタイムの前後に設けなければなりません。コアタイムの前だけ、後だけに設けることはできないのです。
フレックスタイム制を導入する4つのメリット
残業代の削減につながる
たとえば、午前中には比較的時間に余裕があり、夕方以降に業務が山積するという日は、ままあることです。定時が決まっていると、社員は拘束時間が長くなり、企業側としては残業代が膨らんでしまいます。
思い切ってフレックスタイム制にすれば、社員それぞれがその日に出社すべき時間を判断すること可能になるため、拘束時間を減らすことで残業代の削減につながるでしょう。
これも業態によりますが、一般的な企業とは異なる時間帯が多忙になるのであれば、慣例的に9〜17時といったよくある勤務時間を採用する必要はありません。それよりも、自社の業務内容に合わせて効率よく働けるように、フレックスタイム制を導入する方がよいでしょう。
生産性が高まる
早上りができるとなると、業務を早く終わらせるために効率化を考える社員が増えるでしょう。フレックスタイム制を活用する社員が増えれば増えるほど、自然と生産性が高まっていきます。
9〜17時といった働き方だと、早く仕事を終わらせても定時まで待たなければならないので、仕事を早く終わらせても無意味と考える社員が多くなるでしょう。「早く帰りたいのに」と思っている社員にとって、そうした働き方はプラスになりません。
フレックスタイム制を導入することで、早く仕事を終わらせて帰宅したい社員の希望を叶えることができます。会社にとっても早く仕事を終わらせてくれれば業務がスムーズに進むので、メリットのある取り組みと言えるでしょう。
求人のアピールポイントになる
フレックスタイム制は、求人のときにも注目を集めるアピールポイントです。同じような条件の企業が並ぶ中で頭ひとつ抜け出せれば、優秀な人材の目に留まる機会が増えることにつながるでしょう。
今の時代は働き方が多様化しているため、フレックスタイム制やリモートワークなど、柔軟な働き方ができる企業が求人で人気を集めています。
介護の都合で、従来の9〜17時といった時間帯では働くのが難しいという方も、今後増えてくることが予想されます。フレックスタイム制を導入していれば、課程の事情に合わせて勤務時間を決めてもらえるので、求人応募しようと考える求職者が増えることでしょう。
このように、優秀なのに家庭の事情で働く時間が限られているという方を雇用する場合にも、フレックスタイム制が活躍します。
離職防止になる
フレックスタイム制により出退勤時間が自由になれば、育児や介護などの事情で離職せざるえない優秀な人材の離職を食い止められます。前項で解説したメリットと共通する部分です。
子どもの送迎時間や老親のデイサービスの帰宅時間に合わせて出退勤時間を決めたいと思う社員は、男女問わずこれからどんどん増えていくでしょう。少子高齢化、共働き世帯の増加が進んでいる現在、フレックスタイム制はそういった意味でも有利に働くはずです。
フレックスタイム制を導入する上での3つの注意点
社員同士のコミュニケーションの機会が減る
社員が揃っていない時間が増えるため、社員同士のコミュニケーションの機会が減ることは否めません。結果、報連相がうまくいかなくなるなど、すれ違いのトラブルが多くなることが考えられます。
本人がいなくてもメールやチャットでそのつど情報を共有しておくなど、これまで以上に文面での報告体制をしっかりとることが重要です。
そうした課題を解決するために、ChatWorkやSlackといったチャットツールを使って、社員同士のコミュニケーションをとっている企業が増えています。企業向けのコラボレーションツールやグループウェアもあるので、そうしたツールを活用しつつ、社員同士のコミュニケーションの場を作るようにしましょう。
顧客や取引先に迷惑をかけることがある
外部との連絡を頻繁にとる部署では、取引先などから問い合わせが来たときに不在となる場合が多くなるため、顧客の満足度が低下する恐れがあります。他の社員でもある程度は対応できるようにしておくなど、体制を整えておかなければなりません。
一人の担当者に任せっきりにするのではなく、部署内、または会社で情報を共有できるようにしておくのが理想です。そうすれば、担当者の負担が減りますし、その人材が辞めてしまった時のリスクヘッジにもなります。
自由な働き方に甘える社員が出てくる
フレックスタイム制を、効率よく仕事を回すための手段と捉える社員もいれば、自由をはき違えてしまう社員もいることでしょう。つまり、怠惰な社員を生み出してしまう恐れがあります。
そうした甘えを防ぐために、月ごと・週ごとの総労働時間をまとめ、一定の時間に足りない部分は繰り越しや賃金カットすることも検討してください。
フレックスタイム制を導入するには?
フレックスタイム制を導入するには、「労使協定」によって基本的な枠組みを定めます。「労使協定」で取り組める基本的枠組みは、以下の5つです。
- 対象者となる労働者の範囲
- 精算期間
- 清算期間における総労働時間
- 標準となる1日の労働時間
- コアタイム、フレキシブルタイムの開始及び終了の時刻
【対象者となる労働者の範囲】
フレックスタイム制の対象を決めます。全労働者、または特定の職種の労働者(部署や個人単位)とすることも可能です。
【精算期間】
労働すべき時間を定めるもので、1か月以内が基本となります。1ヶ月単位の他、1週間単位での設定も可能です。
【清算期間における総労働時間】
精算期間内で労働すべき時間を定めるものです。清算期間を平均して法定労働時間(週40時間)以内に定める必要があります。
【標準となる1日の労働時間】
清算期間内における総労働時間を、その期間での所定労働日数で除した計算したものです。
【コアタイム、フレキシブルタイムの開始及び終了の時刻】
上述したように、フレックスタイム制ではコアタイムとフレキシブルタイムを儲ける場合があります。その際は、それぞれの開始、及び終了時刻を労使協定で定めます。
参考:フレックスタイム制を採用するには / 厚生労働省
おわりに
以上のように、全社員がワークライフバランスを実現するため、そして業務の効率化のために、フレックスタイム制の導入は効果的です。メリットとデメリットがありますが、デメリットを先におさえて対策すれば、ダメージを最小限にできるでしょう。
企業の業績アップのために、そして社員の幸せのために、フレックスタイム制を戦略的に活用しましょう。
[最終更新日]2019/03/04
以下のフォームにご入力いただくと、ダウンロード用URLを記載したメールをお送りします。また、会社のビジョンを実現するための具体的実践例と成功のコツが満載の「山元浩二のメールマガジン」を月2回お届けします!