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人材育成で「OJT」と「Off-JT」という手法を導入している企業は多くなってきています。これらの手法を適切に運用することによって、人材育成の成否が分かれると言っても過言ではありません。そこで、「OJT」と「Off-JT」の概要とメリット・デメリット、特性の違いを比較して効果的に運用するポイントを紹介します。
OJTとは?
OJTとは、On-the-Job Training(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の略称です。OJTでは上司や先輩社員が部下や後輩社員に対して、実際の職場で日常の業務を通じて、業務を遂行するために必要な知識やスキルやマナー、心構え、社内ルールなどを指導・教育します。単なる業務上のアドバイスだけでなく、体系化されたマニュアルや指導計画のもと、社員に明確な目標と役割を与えるトレーニングです。
新入社員を対象にした代表的なOJTの一つに、入社3~5年目の担当先輩社員がついて、指導・教育を行うという手法があります。「ブラザー・シスター制度」などと呼ぶこともあり、多くの企業で導入されています。また、指導・教育を担当する先輩社員のOJTも兼ねています。
Off-JTとは?
一方、Off-JTは、Off the Job Training(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)の略称で、職場や業務から離れた場所で実施されるトレーニングのことです。Off-JTの内容は多岐に亘り、社内共通の理念や事業方針の理解、業務に必要な最新の知識・スキルの習得、業務に必要な資格の取得、社員の自己啓発支援など、さまざまな狙いを持って役職別、職務別に行われます。
代表的な手法として、研修所などに集合して行われる新入社員研修や管理職への昇格時に行われる管理職研修などが挙げられます。その他、社外のセミナー・研修への参加、大学院・専門学校等への通学、通信教育の受講、海外留学などもOff-JTに含まれます。
OJTとOff-JTのメリットの違い
OJTとOff-JTを導入するためには、それぞれのトレーニング方法が自社のニーズを満たしているかを確認する必要があります。そこで、OJTとOff-JTのメリットの違いを紹介します。
OJTのメリット
・職場において、実務を通じて仕事のやり方などを習得できるため、即戦力の人材を育てることができる。
・社員一人ひとりの能力や性格に応じて、柔軟に指導方針を修正できる。
・外部講師を招いたり、外部のセミナーや研修を利用しないため費用がかからない。
・実務現場でトレーニングをするため、生産性が低減しにくい。
・先輩社員との関係性が深まるため、悩みごとも相談しやすく、離職などを防ぐことができる。
Off-JTのメリット
・体系的に学ぶことができ、必要な知識やスキルを習得しやすい。
・業務を離れて実施されるため、職場環境に左右されずに集中して学習できる。
・業務では習得できない最新の技術や知識、スキルを習得できる。
・多人数で受講できるため、効率的にトレーニングを行うことができる。
・指導者による指導や教育の内容も体系化されているため、受講者全員が同じ指導・教育を受けられる。
・新入社員研修や管理職研修など階層別研修を実施することで、横のつながりができる。
・外部のセミナーや研修に参加することで刺激を受けることができる。
OJTとOff-JTのデメリットの違い
OJTとOff-JTが自社のニーズを満たしているからと言って、すぐに導入を決定するのは尚早です。OJTとOff-JTには、それぞれデメリットがあるため、自社にとってデメリットが受容できるかを確認する必要があります。
そこで、OJTとOff-JTのデメリットの違いについても紹介します。
OJTのデメリット
・業務をこなしながら指導・教育を受けるので、体系的な知識・スキルが身につきにくい。
・指導や教育方法が、指導担当社員や職場環境に依存するため、トレーニング後の習熟度に差が出る。
・指導や教育マニュアル、指導計画書などがないと、指導内容に差が出てしまう。
・指導計画の作成や進捗管理などの業務もあるため、指導担当社員の負担が大きい。
・コミュニケーションに齟齬が生じると、職場の生産性が低減する。
Off-JTのデメリット
・研修で学んだことが、実際の業務に効果的に反映されるわけではない。
・外部の講師へ支払う講師料やセミナー・研修の参加費用、通信教育の費用など、OJTに比べてコストがかかる。
・研修カリキュラムの作成、日程や講師の選定・調整など研修担当者の負担が大きい。
特性の違いを理解して効果的に使い分けよう
厚生労働省の平成29年度「能力開発基本調査」によると、正社員に対する教育訓練は「OJTを重視するまたはそれに近い」とする企業が71.2%、「Off-JTを重視するまたはそれに近い」とする企業が27.5%と報告されています。約7割の企業が、OJTを重視していることがわかります。
しかし、OJTとOff-JTのどちらか一方だけを実施する体制を継続してしまうと、2つのトレーニングを連携させて推進している企業に後れをとる可能性があります。経営環境の変化に柔軟に対応する企業であり続けるためには、人材育成が欠かせません。
優秀な人材を育成するためには、OJTとOff-JTの特性の違いを理解し、2つのトレーニングを連携させて効果的に運用していくことが大切と言えます。
まとめ
企業の規模を問わず、多くの企業がOJTやOff-JTを実施しています。しかし、明確な目的や目標を設定して人材育成・研修プログラムを設計している企業は少ないと言われています。
OJTとOff-JTにはそれぞれメリットとデメリットがあるため、2つの教育効果が最大限発揮されるような人材育成・研修プログラムを設計する必要があります。
[最終更新日]2018/08/07
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