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ひと口に解雇といっても、さまざまな種類があります。とくに諭旨解雇(ゆしかいこ)については、あまり耳にしたことがないという人も多いでしょう。
人事担当者であれば必ず知っておきたい諭旨解雇について、その他の解雇との違いを交えながら解説します。
論旨解雇とは?
諭旨解雇とは、企業側が労働者との雇用契約を一方的に取りやめる解雇の一種です。
労働者側が横領や重大な犯罪行為といった、会社の利益を大きく損ねる規則違反を犯した場合、解雇がなされるときがあります。これが懲戒処分としての解雇であり、諭旨解雇も懲戒処分の一種です。
ただし、解雇の際、労働者側が大いに反省していたり、やむを得ない事情があったりした場合は、情状酌量として懲戒解雇ではなく少し処分を緩めた解雇となることがあります。これが諭旨解雇です。
その他の解雇との違い
懲戒解雇と違い、退職金が全額支払われる可能性がある
懲戒解雇を受けると、多くの場合は退職金が支払われません。一方で諭旨解雇の場合は、規則違反の程度や本人の反省度合いによっては退職金が全額支払われる可能性があります。
ただし、重々反省している本人が、退職金を返還すると決めることも多いでしょう。
労使間の話し合いで処分が決まる
懲戒解雇は処分の時期、方法などを使用者側である企業が決めるため、懲戒解雇処分を受けたら有無をいわさず「クビ」ということになります。
解雇の場合は遅くとも30日前に解雇予告を行わなければなりませんが、懲戒解雇の場合は、即日解雇もあり得ない話ではありません。
一方、諭旨解雇の場合は、事前に企業側と動労者側との話し合いがあります。そして、双方が処分内容に納得したうえで解雇となります。
普通解雇よりも社益への影響がはるかに大きい
無断欠勤を何か月も続けている、専門職として採用したのに技術が全くないなど、職務執行能力が著しく欠如している場合は、普通解雇の対象になることがあります。
諭旨解雇との違いは、重大な規則違反を犯しているかどうかです。社益への影響がかなり大きく、違反度合いが重篤である場合は、普通解雇ではなく懲戒処分の対象になります。
整理解雇と違い、処分の理由は労働者側にある
整理解雇、いわばリストラは普通解雇の一種ですが、解雇事由は使用者側にあります。
多くの人員を抱えたままでは事業の継続が危ういと考えられるとき、合理的な理由を労働者側に示して解雇を行うのが整理解雇です。一方、諭旨解雇は、処分の理由があくまで労働者側にあります。
退職勧奨のうえ諭旨退職という手段もある
諭旨解雇自体にも、2つのタイプがあります。労使間の話し合いのうえ、解雇という手段をとるタイプと、退職勧奨を行って自主退職という形をとるタイプです。
自主退職をする場合、諭旨退職と呼ばれ、諭旨解雇とは区別する場合があります。一般的に、本人が著しく反省している場合は自主退職を促すケースが多いでしょう。
会社側の温情的処分である
諭旨解雇は、通常であれば懲戒解雇となるところを、労働者の弁解によっては処分を和らげようとする会社側の温情的措置です。
本人が十分に反省していることが示されれば、退職金が支払われる可能性は十分にあります。
また、解雇と自主退職とでは、世間の目も違ってきます。人生の再出発について考えたら、解雇されたという過去はとても重いものです。
自主退職のほうが、本人の今後におけるダメージが少ないことから、会社側はまず退職勧奨を行うことでしょう。
退職願さえ出されれば、解雇という重い処分がなされることはありません。
おわりに
あなたの会社の就業規則には、諭旨解雇に関する情報が記載されているでしょうか。
誰かを懲戒処分するような事態はできれば避けたいものですが、万が一のことが起こったとき、基準が何もなければ人事担当者は困ってしまいます。
就業規則には諭旨解雇に関する記載が十分になされていないと感じたら、整備を検討しましょう。
あらかじめ諭旨解雇に関する規定があれば、懲戒解雇では不憫と感じるときにも、救済措置を講じることができます。
[最終更新日]2018/06/28
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