先日、中小企業の賃上げについて
日経関連の経済紙からインタビューを受けました。
ちまたでは、安倍首相の異例の賃上げ要請で、
大手を中心にベースアップが相次いでいるようです。
しかし、中小企業が時流に流されて安易な賃上げすることには
「待った!」
をかけたいところです。
その理由は、二つ。
1.ベースアップは将来の大きなリスクを背負ってしまうことになる可能性があるということ
2.大手ほど賃上げ効果は期待できないこと
1.についてはベースアップは将来にわたって人件費が上昇してしまうことを理解していない
経営者が中小企業には非常に多いからです。
きちんと、ベースアップした結果、5年、10年先の自社の人件費がどうなるかを
シミュレーションしたうえで賃上げを検討しましょう。
ベースアップにより、人件費が上がっても、人件費比率、あるいは労働分配率は下がる
シミュレーションになっていることがベースアップをしてもよい条件です。
2.の賃上げ効果が期待できない理由は二つ。
ベースアップのありがたみをわかっていない社員が中小企業には多いということと、
貢献度の大きなできる社員の不満つながる可能性があるということです。
中小企業では、例年、定期昇給とベースアップを区別して賃上げを行っているところは
ごくまれです。
ですから、1.で述べたようにベースアップを行うということが、どれだけ経営者にとって
将来のリスクをともなう決断かという重要性が社員に伝わらないのです。
また、世の中の流暢に乗って一律ベースアップあるいは、一律〇〇〇〇円昇給という
賃上げのやり方はできるだけ避けたいものです。
できる社員から
「あいつよりオレの方がずっと貢献度が大きいのに…」
という声が必ずあがってきます。
私がいつも中小企業の社長に伝えているのは、
「適正な評価が行えるようになって初めて賃金を決めてよい」
という原則です。
これを機会に評価制度へ本気で取り組む中小企業が増えることを願っています。
経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に「小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)「小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方」(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である「【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方」(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。