社内の問題点を可視化する「納得度アンケート」の効果と作成方法
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社内において、社員のモチベーションは、会社の健康度のバロメーターです。社員が不満を抱えている場合、その社員のやる気は低下し、業績に悪影響を与えます。そして、そんな状態を放置するのは非常に危険です。
また、せっかく人事評価制度を導入しても、社員が納得していなければ、運用がうまくいかないでしょう。社員が評価に納得しているかどうかを知るために、「納得度アンケート」の実施をおすすめします。
表面には出にくい社内の問題点を可視化させるためにも納得度アンケートをつくり、社員のモチベーションアップに役立てましょう。
本文中で紹介している各種シートは記事下のフォームよりダウンロードしていただけますので、ぜひこちらを見ながらご覧ください。
「納得度アンケート」をつくる意義
会社は、人事評価制度によって社員を評価し、報酬や役職などについての決定を下します。しかしそのままでは、評価制度が社員それぞれにとって納得のゆくものであるかを知るすべはありません。会社と社員という構図であっても、人と人とのやりとりです。一方的な評価で終わらせてしまっていいわけありませんよね。
上司からの評価について、社員に評価をしてもらいましょう。評価のための育成面談が終了した後に、納得度アンケートを全社員に実施します。評価の納得度が得られているかどうか、成長のための目標が明確になって取り組めているかどうかを調査するのです。
納得度が低い場合には、高くなるように改善していかなければなりません。もし改善がみられないと、社員の不満は一層高まっていくことでしょう。不満はやる気の低下につながり、会社全体の雰囲気が悪くなります。当然、業績は下がることになってしまうはずです。
アンケートを行うと組織上の問題点が見えてくる
納得度アンケートは、部署ごとに結果を集約するといいでしょう。リーダーの評価への関わり方や部署のマネジメントについて理解がしやすいうえに、具体的な問題点などが明確になる場合もあります。言い換えると、納得度が低い部署のリーダーには何らかの問題があるということです。
こんな例があります。全国に22店舗を展開する企業で納得度アンケートを実施しました。するとそのうち2店舗の結果が極端に悪かったのです。「育成面談を受けることで、仕事に対するモチベーションが上がったか」という項目に対し、5割以上が「モチベーションが低下した」と答えていました。
他の店舗は5割以上が「モチベーションが上がった」と答えていたため、理由を探ったところ、該当する2店舗ではそもそも育成面談を行っていないことが分かりました。
また、部署のリーダーが日頃のマネジメントを全くできていないことが露呈し、意識づけと指導を行ったにも関わらず、改善されなかったため降格せざるを得なかったという事例もあります。厳しく対応するならば、3回、4回と納得度が低い結果となったリーダーに関しては、降格等を考える必要があるでしょう。
納得度アンケートの本来の目的は納得度の計測と向上へ向けた対策ですが、人事評価制度や組織上の問題点が把握できるという効果があるのです。リーダーの意識づけと教育を行うためにも、納得度アンケートを実施しましょう。
「納得度アンケート」の作成方法
それでは、具体的にどのようなアンケートを作成すればよいかをご紹介しましょう。
匿名が原則
アンケート用紙には、部署とグレードだけを記入して無記名で提出してもらいます。本音で回答してもらえる確率が高まるからです。
最終評価判定への納得度を率直に聞く
まずは、評価について率直な気持ちを聞き出しましょう。「最終評価判定に納得できたか」「各評価項目に対する評価結果に納得できたか」「上司からの評価結果の説明に納得できたか」といった質問に、「十分納得できた」「ほぼ納得できた」「納得できない」の3択を与えます。
具体的なイメージを持てたかをチェックする
「上司から評価についての説明があったか」「説明により、いつまでに何をすべきか理解できたか」といった項目に、イエスかノーかで答えてもらいます。評価を受けても、次にもっと良い評価をもらえるにはどうすべきかが提示されなければ、モチベーションは続きません。社員が具体的にイメージを描けているかが重要なのです。
本人のやる気と理解度を確認する
「面談によってやる気が向上したか」「給与の仕組みが理解できているか」といった項目で、本人のやる気と理解度を確認します。この数値が低ければ、育成面談の方法や評価制度の仕組みを根本から練り直さなければならないかもしれません。
納得度アンケートの質問項目の例
ここで納得度アンケートの質問項目の例をいくつかご紹介しましょう。これから挙げるのは一例ですので、自社に合わせてカスタマイズしてみてください。
- あなたは最終評価に判定に納得できましたか?
- あなたは各評価項目に対する評価結果に納得できましたか?
- あなたは、上司からの評価結果の説明に納得できましたか?
- 上司はわかりやすく、なぜそのような評価結果になったのかを伝えてくれましたか?
- 評価結果と課題の説明を受けることによって自分がこれからどうやっていったらいいか 具体的にわかりましたか?
- 次の対象期間の目標を具体的にもつことができましたか?
- 育成面談を受けることによって仕事に対するやる気が向上しましたか?
- 給与に関する仕組みが理解できていますか?
- チャレンジシートを利用した、進捗状況の確認は実施されていますか?
「納得できましたか?」という質問に対しては、「十分に納得できた」「ほぼ納得できた」
「納得できない」の3つの選択肢で回答してもらいます。
アンケートは1回きりで終わらせず、継続して実施していくことが大事です。前述しましたが、3回、4回と実施しても納得度が改善しないリーダーは、何らかの問題があると考えたほうがよいでしょう。
また、当然ですが、納得度アンケートを実施しただけで終わってしまうのもいけません。人事評価や組織上の問題点を洗い出し、見えてきた課題とどう向き合い、どう改善していくかが大事です。評価制度を改善した後も定期的に実施して、効果測定をしましょう。
まとめ
納得度アンケートを始めた当初は50%近くからのスタートでも、継続し、対策を行ってゆくことでどんどんと数値は高まっていくことでしょう。最終的には94%強の高い数値を得た例もあります。ぜひ継続的に実施し、納得度を高めていきましょう。
この記事を監修した人
代表取締役山元 浩二
経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に『小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)、『小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である『【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。
日本人事経営研究室は仕事創造型人材を育て、成長し続ける強い企業づくりをサポートします
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