なぜ会社の業績が改善されないのか?業績アップを実現する4つの仕組み|人事評価制度・賃金制度のノウハウ | 日本人事コラム

なぜ会社の業績が改善されないのか?業績アップを実現する4つの仕組み

会社の業績が上がらない問題を「こうも問題点が多いと、上がらないのも当たり前」と放置してしまっている経営者の方はいませんか。もしかしたら、業績が改善されないのは社員のやる気、マーケティング分析不足、IT化の遅れなどのせいではないかもしれません。

なぜ会社の業績がアップしないのか、アップさせるにはどうしたらよいかを、人事評価制度のプロが解説します。中小企業の経営者の方はとくに必読の内容です。

なぜ会社の業績が改善されないのか?

「あらゆる手を尽くしてきたが、いっこうに業績が向上しない」という中小企業の社長によくお会いします。業績が上がらない原因は何かを尋ねてみると、「社員が思うように動いてくれない」「競争相手が多すぎる」「商品のマーケティングやPRがうまくできていない」「IT化が遅れている」といった理由を口にされます。

しかし、本当にこれらのことが原因でしょうか。私は、そもそも社長自身が戦略の立て方を身につけていないことが原因だと考えています。

戦略の立て方には決まりがあります。本来どんな会社でも、以下に示す戦略を含んだ6種類のカテゴリーがあり、仕事をうまく動かすには順番に考えていかなければなりません。

1:理念

会社がどうあるべきか、今後どうしていきたいかといった会社の理想像を表しているのが理念です。まずは社長自らがこの理念を打ち出す必要があります。

社員全員が理念を理解し、共有することで、仕事における基本的なベクトルを一致させることが可能です。理念がなければ、社員の気持ちはバラバラになり、せっかくの力をうまく発揮できません。

以下の記事にて、中小企業に必要な3つの理念のそれぞれの役割と作り方を解説しています。こちらもあわせてお読みください。

2:目標

理念に基づき、何をどこまでやるか、どこを目指すかといった目標を決めます。理念は志や思いを前面に押し出すものですが、目標を立てるにあたってはなるべく具体的な数値を使い、理念を明確化します。

「3年後までにシェア率10%増」「5年後までに業界No.1の業績を上げる」などといった目標を掲げ上げることで、社員に明確なゴールを示せます。いつまでに、どんなことを達成するかが分かっていると、社員のやる気が違ってきます。

3:戦略

目標を達成させるための戦略を立てます。どんな方法で目標を達成させるかを考え、戦略プロセスや手段を練っていきます。

理念や目標がないままに戦略を立てても、根拠がないためあまり説得力がありません。絵に描いた餅になりがちです。

4:計画

戦略が固まったら、何をどういうスケジュールで、誰が行うかといった計画を立てます。この計画は、なるべく綿密に行います。

例えば、「3年後までにシェア率10%増」という目標であれば、ざっくりと3年後までの計画を立てるのではなく、「1年後には●%アップ、そのためには四半期ごとに●%アップ」などと小刻みにスケジュールを分けていきます。そのうえで、期間ごとに戦略計画を組み立てましょう。

5:管理

計画がスタートしたら、社長や幹部、リーダーが管理を行っていきます。月ごと、四半期ごと、年ごとに評価を行い、検証し、分析をかけたうえで計画を日々見直し、改善していきます。

大幅に計画が遅れることもあるでしょう。そんなときも「計画倒れ」となげうってしまわず、地道に計画を変更しつつ取り組むのが大事です。

6:業務

社員は計画に基づき、業務を実行します。ときに管理者側から業績を評価され、改善を求められることがあるでしょう。改善を実践しながら、計画が遂行できるよう、ひいては会社が理念を実現できるように業務を遂行します。

以上のように、「理念」以下6種類のカテゴリーが、上から下へ順番に流れていくことにより継続的な業績アップが実現します。しかし、中小企業にはこの6種類の仕事全てが明確になっているところは、ほとんど存在しません。ここが問題の根源なのです。

人材の成長を通じて業績アップを実現する4つの仕組み

「理念」以下6つのカテゴリーをうまく循環させるため、私は「ビジョン実現型人事評価制度」を提唱しています。社員全員が理念を根本から理解し、目標に向かって邁進していくための人事評価制度です。作成するのはもちろんですが、長く運用させることが大事になります。その手順は以下の通りです。

ビジョン実現シートを作成

ビジョン実現シートとは、経営計画書と人材育成計画を1枚のシートに盛りこんだものです。経営計画と人材育成計画の各要素が図式化され、相関関係がわかりやすくイメージできます。また、社員に浸透させたい会社の考え方すべてを1枚のシートで見える化できます。

1枚のシートなので、デスクや掲示板への貼り付け、手帳へのファイリングが可能で、携帯しやすく意識を浸透させやすいのが利点です。なお、バラバラに運用されがちな「理念」や「目標」「戦略」「計画」の関係性が一目で分かるため、現在地とゴール、そのプロセスが明確に把握できます。

特に経営計画書への取り組みが初めてという社長には、この書式を強くおすすめします。具体的な作成方法については、以下の過去記事をご覧ください。

経営計画発表会

ビジョン実現シートを作成したら、社員へのお披露目会を行います。「経営計画発表会」と銘打ち、社長自ら会社の理念や目標を真剣に語りましょう。熱意がしっかり社員に伝わるような発表会にします。

もしかしたら、たくさんの人が集まる場でスピーチをするのが苦手な社長もいるかもしれません。しかし、社長本人の言葉でなければ、社員の心の深いところには届かないと私は考えています。経営計画発表会の準備については以下の記事に詳しいので、参考にしてください。

評価制度の作成

社員全員に理念や計画が浸透したところで、人事評価制度を作ります。会社の理念を実現するために、計画ひいては目標を達成させるために必要な人材とはどんなものかを考えながら、制度作りに取りかかりましょう。

人事評価制度は、まず評価基準作りからスタートします。ビジョン実現シートのなかに盛りこんだ理念や課題を落とし込み、昇格のステップを盛りこんでいきましょう。一般的にはグレードという職位で表現する場合が多いのですが、このグレードの段階が、社内での育成ステップの階段となります。

評価基準はできるだけ具体的にわかりやすい言葉を意識しましょう。でなければ、評価するリーダー側も、評価される側も、何をもって評価がなされるのかがわからないでしょう。詳しい評価基準の作り方については、以下の記事に詳しくご紹介しています。

賃金制度の作成

次に賃金制度を作成します。基本給の一部を評価結果に連動させて、上下させる仕組みが最も効果的です。

なかには、「人事評価制度といえば賃金制度のことを指すのではないのか」と言う人もいるでしょう。しかし、評価の仕組みにおいて賃金の上下はそれほど重要視すべきものではないと、私は考えています。社員のモチベーションにつながるのは、単なる賃金のアップではなく正当な評価そのものだからです。

ただ、賃金に全く差がつかない状態では、めざましい成果を上げている社員から不満が出てしまう可能性があります。多少の差はつけていきましょう。

具体的な賃金制度の作り方は、以下の記事にてわかりやすく解説しています。

おわりに

「業績が改善しない」と嘆く前に、御社の理念は何なのか、そしてそれは社員に正しく伝わっているかを考えてみましょう。また、理念を描いただけではなく、理念を実現するための目標は掲げているのか。目標を達成させるための計画は練っているのか。それらなしに、業績改善は不可能です。

このたび解説した「ビジョン実現型人事評価制度」については、以下に総まとめの記事をつくっています。ビジョン実現シートの作り方のみならず、制度を効果的に運用していくための面談シートや、制度改善のために活用したい納得度アンケートについても言及しているので、ぜひ参考にしてください。

この記事を監修した人

代表取締役山元 浩二

経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に「小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)「小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方」(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である「【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方」(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。

個人ブログ:https://jinjiseido.co.jp/blog/

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