部下との面談目的は成長支援と意思疎通

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  • 部下との面談の進め方に悩んでいる…
  • 部下との信頼関係の築き方がわからない…
  • 定期的に面談をしているのに効果が上がらない…

本記事では、こういった悩みを解決する面談シートの作り方をご提案します。

部下との面談の進め方に悩んでいる方は多いのではないでしょうか? 人事評価制度を効果的に運用するためにも、上司と部下の強固な信頼関係が不可欠です。良質な信頼関係を築くためにも、頻繁に育成面談を設けましょう。育成面談の際には、「面談シート」を作成し、手順に従って進めると効果的です。社員が辞めない面談シートを求めている方はぜひご活用ください。

本文中で紹介している各種シートは記事下のフォームよりダウンロードしていただけますので、ぜひこちらを見ながらご覧ください。

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先に、本記事で覚えていただきたい要点を3つ挙げます。以下を頭に入れた上で読み進めると、より理解が深まります。

  • 面談は部下の成長支援を目的にすること
  • 面談シートであらかじめ面談のストーリーを描いておくこと
  • 部下と悩みを共有して一緒に解決策を考えること

部下との面談の目的は評価ではなく成長支援と意思疎通

一般的な育成面談は、評価結果を伝えることに重点が置かれがちです。しかし、それだけでは部下のやる気がそがれることになりかねません。

面談をする目的を評価とするのではなく、部下の成長支援と意思疎通を図る機会と捉えましょう。面談を「成長支援の場」と位置づけ、時機の課題や目標を明確化することにより、面談を価値のあるものにします。

また、面談によって上司と部下のコミュニケーションが確実に取れるのはとても良いことです。充実したコミュニケーションこそが、本人のやる気につながり、組織の成長につながるので、しっかり取り組んでいきましょう。

「面談シート」を作る意義

面談シートは、育成面談の流れを明確化し、課題や成長目標をハッキリさせながら面談するためのツールです。「面談シート」を作る意義は、3つあります。1つめは、上司が面談のストーリーをあらかじめ描いてから面談に臨めることです。2つめは、上司と部下との信頼関係を築けることです。3つめが、面談時間を短縮できることです。それぞれご説明しましょう。

上司が面談のストーリーをあらかじめ描いてから面談にのぞめる

面談シートは、実際の育成面談を進める手順で構成されます。上司は、面談シートを作成しながら、頭の中で面談のストーリーをあらかじめシミュレーションできるのです。

どんな面談になるか、実際に頭のなかで流れを描いてから面談にのぞめるため、初めて評価する側に立った上司であっても落ち着いた面談が可能です。部下に思いがけない質問をされたとしても、余裕をもって回答することができるでしょう。

上司と部下の信頼関係を築ける

評価の根拠や今後の成長目標は、シートにきちんと記載されています。もしシートがなければ、口頭であいまいな判断根拠を伝えたり、成長目標を明確に示せなかったりする可能性が高いでしょう。その場合、部下は十分に納得できず、上司に不信感を持つことになりかねません。シートがあれば、根拠の明確性はあきらかです。

また、上司がシートを見ながら面談をすることにより、部下は「自分のために時間をかけて考えてくれている」と上司への信頼を高めるでしょう。やはり、働きぶりをちゃんと見てくれている上司がいいですよね。

面談時間を短縮できる

面談シートを使えば、シート内にストーリーが仕上がっているので、面談にかかる時間を短縮できます。予定時間内に評価を終わらせることができれば、上司にも部下にも有益です。

面談シートを用いない面談では、想定していない話に時間を割いてしまったり、コミュニケーションのつもりが雑談になってしまったりと、時間が長引きがちです。そのため「面談は双方の負担になるから」と、評価のたびに面談を行うのを避けるようになります。これでは、社員の成長につながる評価に結びつきません。

このように、面談シートを活用して正しく明確な目標設定ができれば、部下のやる気を高める面談となります。面談シートは、社員本人の納得度と成長に大きな影響を与えるものです。

部下と信頼関係を高める「面談シート」の作り方

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面談シートは、実際に面談を行う直属の上司が作るのが基本です。全体の人材育成会議を行った後、その内容を踏まえて面談シートを作成します。内容は、例えば以下の通りです。

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1:導入時の話題作り

まずは、場の雰囲気作りのために軽い話題から入ります。家族のことや、趣味についてなど世間話をしながら、本人の今の体調ややる気の度合いについて推し量ってみましょう。

部下にとって面談は緊張するものですし、面倒に感じているかもしれません。そうした面談に対するネガティブな感情を和らげるために、あえて雑談から入ります。

上述したように、面談の目的は評価ではなく、部下の成長支援をする場です。面談を「嫌な時間だと感じさせない」ように、緊張を和らげるような話題から始めてみてください。

2:面談の趣旨の伝達

この育成面談の場は、あくまで「成長支援の場」であるわけですが、それが部下に正しく伝わっていないと面談の効果が薄れてしまいます。面談の趣旨を伝えることにより、部下の意識が変わってきます。

面談を意義のある時間にするには、「なぜ面談をするのか」を部下にしっかり伝えることが大事です。「評価ではなく成長支援のため」であることをきちんと伝えれば、部下は「自分のために」と前向きに面談に取り組んでくれるでしょう。

とは言え、そうした面談の趣旨がなかなか浸透しないことも考えられます。面談に対して後ろ向きだと感じたら、しつこいくらい毎回伝えるようにしましょう。

3:四半期を振り返り全体的に良かった点、褒めたい点を伝える

具体的な面談での評価は、まず良かった点を3点ほど挙げながら話を進めます。全体的に良かった点、褒めたいところから伝えると、相手が話を受け入れる体勢になってくれるでしょう。

否定的な評価から入ると、面談に対して後ろ向きな気持ちになってしまいかねません。肯定的な評価から始めれば、その後に否定的な評価をしたとしても、前向きに受け入れてくれるでしょう。

4:評価項目のなかで良かったもののうち、具体的に伝えたい点

次に、情報収集能力や営業成績について、とくに気になる3~4項目を抜粋し、評価内容を具体的に伝えます。判断事実が詳細であるほど、社員の納得度は高まります。

「こういう部分を会社がとくに評価している」ということを伝えると、社員のモチベーションアップにもつながるでしょう。漠然と評価するのではなく、具体的に掘り下げて褒めるようにしてください。

5:改善してほしい点、上司として気になった点

良かった点と同じように、改善点も3~4点を伝えます。客観的に見てあまり達成できていないにもかかわらず、自己評価が高いような場合は、本人の判断理由を引き出しましょう。

ここで重要なのは、批判することや注意することではありません。コミュニケーションを取りながら対応することが肝心です。

部下からすると、自己評価が高い部分を否定されると精神的なダメージは大きいので、モチベーションが低下してしまいかねません。もしかしたら、上司である自分が気づいていないところで努力をしていて、それがまだ実を結んでいない可能性も考えられます。

「自分を甘く評価している」と決めつけるのではなく、そう自己評価した理由を聞いた上で評価するようにしましょう。

6:質疑応答

評価に関する説明が終了したら、評価全体について質問がないかどうかを確認します。質疑応答の時間を設けて、社員が本当に納得できているかどうかを見極めてください。

納得していない評価がある場合はその理由を詳しく聞き、改善策を考えるようにしましょう。もしかしたら、評価の仕方が社員の納得できるものではないかもしれませんし、他の社員も同様の不満を感じているかもしれません。

面談の問題点を洗い出すためにも、社員からの質問を受け付けることはとても大事です。

7:次の四半期の個人行動目標

評価結果を踏まえ、何から手をつけるべきかを明確にしたうえで、次期の目標を決めましょう。達成レベルと期限を明確にし、本人に意識づけをします。

面談は部下の成長を実現するのが目標ですので、時期の目標決めはとても重要です。四半期という比較的に短期間での目標を定めることで、達成までの道筋をたどりやすくしてあげましょう。

8 締めくくりの励まし

最後に、面談を締めくくるにあたって伝えたいことを告げて終了します。モチベーションを上げるため、プラス面を告げて終了することが大切です。

「忙しいなかで大変だろうけど、一緒に頑張ろう」など、上司がそばについていることを伝えましょう。こういった一言があるかないかで、部下の行動が変わってきます。

文章でも最後の部分が印象に残るので、部下の成長を後押しするような言葉で締めくくるのが理想です。

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面談シートの活用方法

面談シート(育成シート)を作成したら、以下のプロセスに沿って運用しましょう。運用のプロセスは、5つあります。

1:評価の実施

上司が評価基準に基づき、部下ごとに評価結果を「育成シート」にまとめます。評価は、部下本人、直属の上司、その上の立場の上司の三者で行い、評価結果に客観性を持たせましょう。

また、三者はそれぞれ個別のシートを使って評価を実施しましょう。個別に評価することで、部下の自己評価に上司が引っ張られるなどの影響を防げます。そして、必ず判断理由を明記するのも重要です。

2:育成会議

上司2人による育成会議を開いて、評価者同士の評価結果のばらつきを調整します。評価に差異がある項目は、全てすり合わせを行いましょう。上司だけではなく、人事・総務の担当役員クラスが間に入って調整役を務めるのも大事です。

判断基準を統一したら、部下の育成方針も共有しておきましょう。こうして複数の上司が方針共有することにより、会社が目指す方向性や考え方、指導方法をよりいっそう共有することが可能になります。

3:育成面談

育成面談を行い、評価結果を部下に伝えて、上司とともに次の目標を明確にします。育成会議の結果に沿って作成した「面談シート」に従って、課題や目標を明確にする「成長支援の場」であることに主眼を置いて面談を行いましょう。

上司と部下が定期的にコミュニケーションの場を持つことも、育成面談の意義の一つです。面談で得た気付きを次に活かせるよう、積極的に意思疎通を図りましょう。

4:目標設定

目標を設定するためのツールである「チャレンジシート」を使い、育成面談で決めた成長目標を具体的な実践計画に落とし込みます。将来のキャリアプランを明確にしたうえで、目標の達成レベルとそのプロセスを具体的に設定しましょう。また、多くの目標を掲げるとどれも中途半端に終わってしまう危険があるので、目標は3つに絞ります。

「チャレンジシート」の作成方法は、以下の記事に詳しく記載しています。参考にしてください。

たった3項目で社員の成長を爆速化!「チャレンジシート(目標管理シート)」の作り方【目標例付き】

5:チャレンジ面談

上司が部下の目標や役割の達成度を毎月チェックする仕組みを実現するのが、月一回の「チャレンジ面談」です。月初めに部下本人が「チャレンジシート」内の「自己コメント」欄に、前月の実施状況と反省点などを記入します。上司は「上司コメント」欄に推進のためのアドバイスなどを記入したうえで面談を行い、本人の目標達成へ向けてアドバイスします。

面談は一人10分以内とし、業務に響くのを防ぎます。さらに面談実施の日時を上司から総務や人事に報告してもらうことで、継続できる仕組みを作りましょう。また、リーダー会議などにチャレンジシートを持参させれば、白紙を持ってくる人はまずいなくなります。

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部下とのスムーズなコミュニケーションのとり方・伝え方

【基本】コミュニケーションのとり方

上司と部下という上下関係にある前に、人同士のコミュニケーションを意識することが大事です。上司だからといって偉そうな口調で接するのは望ましくありません。

「そんなことは当たり前」だと思われるかもしれませんが、意外と気づかないうちに上から目線での口調になっているものです。部下は上司の方が立場が上だとわかっているものの、高圧的な物言いや威圧感のある口調で話されると、話したいことも話せなくなってしまいます。

部下に接するときの自分の口調を客観的に聞いてみて、部下が萎縮するような話し方をしていないかを確認してみてください。

伝えにくいことを伝えるときのコツ

部下にダメ出しや頼みにくいことを伝える場合は、直接的に言っても反発心が生まれるだけです。伝えにくいことは、少し伝え方を工夫しましょう。

たとえば、同じミスを何回かしている部下を注意する場合、「ここはよくできているけれど、ここはミスがあるから、意識して直すともっと良くなるよ」というように、褒めてから注意すると聞き入れてもらいやすくなります。

頼みにくいことを伝える場合は、「忙しいとは思うけれど、●●さんが担当してくれると安心だからお願いしたい」というように、労いと評価を混ぜてお願いをしてみましょう。忙しい中でただ仕事を増やすと不満が募るだけなので、評価していることを盛り込みながら伝えることがポイントです。

一緒に悩みの解決策を考える

部下との距離を近づけるには、悩みを共有して一緒に解決策を考えてあげることが大事です。部下がひとりで考えて解決することも成長する上では必要ですが、コミュニケーションをスムーズにするために悩みを共有しましょう。

これも面談シートに関係してくることですが、普段から部下の悩みを聞いておくと、何を解決すべきなのかがわかるので、面談の精度が上がります。厳しい言い方をすれば、面談の時だけ悩みを聞くだけでは、上司として十分な働きをしているとは言えません。

それに、普段は悩みを聞いてくれない上司に、面談の時に相談しようと思わないでしょう。部下が悩んでいそうな様子を見せていたら、積極的に声をかけて話を聞いてあげてください。

まとめ

評価を育成に結びつけるためには、最低でもこれだけのことを考え、伝える必要があります。やる気を引き出すストーリー仕立ての面談シートを活用し、「面談は成長支援の場である」ことを社員に徹底させましょう。

面談シートの使い方や、面談の運用方法についてもっと詳しく学びたい方は、日本人事経営研究室代表 山元浩二の著書「改訂新版 小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方」をお求めください。人事評価制度の導入から定着まで、具体的かつ実践的に案内しています。

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この記事を監修した人

代表取締役山元 浩二

経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に『小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)、『小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である『【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。

個人ブログ:https://jinjiseido.co.jp/blog/

日本人事経営研究室は仕事創造型人材を育て、成長し続ける強い企業づくりをサポートします

私たち日本人事経営研究室は、"人間成長支援"をミッションとし、
中小企業の持続的成長をサポートしています。
「人材」ではなく「人間」としているのには、こだわりがあります。
それは、会社の中で仕事ができる「人材」ではなく、仕事を通じて地域や環境、社会に貢献できる「人間」を育てる事を目指しているからです。
日本人事経営研究室では、そのために必要な「人」に関するサービスや情報を提供しています。

日本人事経営研究室 代表取締役 山元浩二氏

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