経営計画の作り方、組織を成長させる「10」の要素(各種テンプレート配布中)

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最近、経営計画を作成する中小企業が増加してきましたが、経営計画を経営の実践に活用できている会社はごくごくわずかです。おそらく、実践に活かせている中小企業は5%未満ではないかと思われます。本記事では、組織の成長に必要な「経営計画」の10の要素をご紹介します。10の要素は3ブロックに分かれているので、それぞれのポイントを押さえながら、実践的な経営計画を立ててみてください。

経営計画を作成する目的

一般的に、経営計画は、経営目標や会社のビジョンを実現させるための道しるべとなるものです。目標をいつまでに、どのように結実させるかを具体的に示した計画書をつくることは、成長を目指す企業にとって必要不可欠といえます。

経営計画がなければ、どんなに立派な目標やビジョンを掲げていても、それは絵に描いた餅になってしまうことでしょう。そうなると、社員は具体的にどう動けばよいかがわからず、見当違いの頑張り方をしたり、路頭に迷ったりしてしまいます。その結果、業績は振るわず、社員の不満も高まりかねません。

本記事で紹介するのは、私が約680社の中小企業の社長やリーダーと試行錯誤と改善を繰り返し、たどり着いた「経営計画」の完成形です。この経営計画は、人材の成長を基盤として組織が成長し、自社とかかわる人たちを豊かな未来へ導いていくことが目的となります。

これからの時代、こうした貢献の量と質を大きくできる企業しか発展できなくなるでしょう。経営計画の作成に取り掛かる前に、あなたの会社を中心として、まわりの人達が豊かになっていく状況をイメージしてみてください。その豊かな未来づくりの起点となるのが経営計画なのです。

組織の成長に必要な「経営計画」の10の要素

上記のような組織が最終的なゴールに到達するためにまず行うべきことは、経営計画を社員全員に理解してもらうことです。そこで私たちは、経営計画を「ビジョン実現シート」という実践と浸透に効果的なフォームで紹介しています。目的を達成するのにもっとも適したレイアウトとデザインにし、1枚にまとめたものが「ビジョン実現シート」です。

私が紹介する「ビジョン実現シート」は、3つのブロックがあり、それぞれの中で10項目の要素を作成していきます。本記事で紹介するビジョン実現シート=経営計画ですので、これから10個の項目が経営計画に盛り込む内容となります。

  • 【理念】ブロック
    ①経営理念
    ②基本方針
    ③行動理念
    ④人事理念
  • 【目標】ブロック
    ⑤ビジョン
    ⑥10カ年事業計画
    ⑦ビジョン
  • 【人材育成目標】ブロック
    ⑧現状の人材レベル
    ⑨10年後の人材像
    ⑩ギャップを埋めるために必要な課題

【理念】ブロック:経営計画①〜④の項目

【理念】ブロックで作成する4つの項目それぞれの考え方と位置をご紹介します。各項目は関係し合っているので、順番に作成していくことをおすすめします。各項目の具体的な作り方を解説している記事にリンクを張っているので、理解を深めるためにぜひあわせてお読みください。

① 経営理念
自社はなんのために存在するのか、どこを目指すのか、その最終目的地を示したもの。
経営理念の作り方

② 基本方針
「経営理念」に向かって組織が成長していくために、どんな考え方、姿勢で事業を行っていくのか、また、その過程で自社がまわりにどんな影響を与え、どのように貢献していくのかをしめしたもの。
基本方針の作り方

③ 行動理念
「基本方針」にそって事業を推進し、「経営理念」に近づいていくために、全社員に求められる考え方、行動。
行動理念の作り方

④ 人事理念
会社の人材に対する根本的な考え方、人材育成の指針となるもの。
人事理念の作り方

【目標】ブロック:経営計画⑤〜⑦の項目

【理念】ブロックの項目が作成できたら、この【目標】ブロックで「ビジョン」「10カ年事業計画」「戦略」の3つを作成します。これら3つの目標で、会社の10年後の未来とそのプロセスを描きます。

このブロックでは、理念に到達するまでの通過点である「ビジョン」を掲げ、そのプロセスを「10カ年事業計画」として定量化して具体的に示し、これを達成するための打ち手を「戦略」として明確にします。

⑤ ビジョン
10年後の自社のあるべき姿を明確にしたもの。定量的な数値で表現したものと定性的なことばで表したビジョンがあるほうがわかりやすい。社員がワクワク感をもって内発的に目指したいと思えるようなものが理想。
ビジョンの解説

⑥ 10カ年事業計画
10年後までの数値目標を損益計算書で明示する。売上はその内訳を明確にすることで、どうやって将来の売上をつくっていくのかその手段を示す。人員計画も盛り込み、目標とする生産性(1人あたりの粗利益)も社員全員で共有する。「研修・教育費」「採用費」「広告・販促費」「システム・IT投資」の4つを将来投資として決めるのが重要。
事業計画の考え方

⑦ 戦略
「10カ年事業計画」を実現するための打ち手、手段、手法を具体化。「基本戦略」と「個別戦略」を定める。

【人材育成目標】ブロック:経営計画⑧〜⑩の項目

【人材育成目標】ブロックでは、現状の人材レベルに対して、10年後の「ビジョン」実現のためにはどんな人材に成長する必要があるのかを明確にし、それを明示します。理想の人材を育てるのが、この【人材育成目標】ブロックの目的です。

⑧ 現状の人材レベル
社員の現状の「強み・長所」「弱み・課題」を洗い出す。これを「意識面」と「実務面」で分類し、マトリクスでまとめる。それらを経営計画で示すことで社員に意識づけを促す。
⑨ 10年後の社員人材像
「10カ年事業計画」を達成し、「ビジョン」に到達したときの人材像を明確にする。「リーダー」と「全社員」それぞれに求めるレベルを設定する。

⑩ ギャップを埋めるために必要な課題
「現状の人材レベル」と「10年後の社員人材像」の間にある差(ギャップ)を埋めるための課題と、どんなことに取り組んでいく必要があるかを明確にしたもの。
人材育成目標のつくり方

おわりに

上述したように、「経営計画」をつくる前に、「あなたの会社を中心として、まわりの人達が豊かになっていく状況をイメージする」ことから始めてみてください。具体的なイメージが固まれば、自ずとやるべきことが見えてくるはずです。

ここまで紹介した経営計画(ビジョン実現シート)の具体的なつくり方は、拙書『小さな会社の〈人を育てて生産性を高める〉「戦略」のつくり方』、および『小さな会社は経営計画で人を育てなさい! 』で詳しく解説しています。各項目の具体的な設定例も紹介していますので、ぜひ手にとってお読みください。

小さな会社の〈人を育てて生産性を高める〉「戦略」のつくり方

この記事を監修した人

代表取締役山元 浩二

経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に『小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)、『小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である『【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。

個人ブログ:https://jinjiseido.co.jp/blog/

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それは、会社の中で仕事ができる「人材」ではなく、仕事を通じて地域や環境、社会に貢献できる「人間」を育てる事を目指しているからです。
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日本人事経営研究室 代表取締役 山元浩二氏

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