「事業計画」の考え方と作り方を解説、組織の成長を加速させる取り組み方
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組織を成長させるために大事なことの一つに、「事業計画の作成」があります。事業計画は、長期的な考えを持って作るものでなければなりません。会社の理想像を倍速で具現化させる、「長期」の事業計画の考え方とについてお伝えします。
事業計画の2つの考え方
事業計画の考え方には、大きく2つがあります。「積み上げ方式」と「エイヤー方式」です。それぞれ説明しましょう。
積み上げ方式
現状の数値をもとに、何をどう伸ばしていくかを具体的にシミュレーションし、将来の売り上げや利益を決めていくのが「積み上げ方式」の考え方です。1年後、2年後……と、目の前の目標数値から設定していきます。
積み上げ方式は、業績の安定している企業にとっては順当なやり方です。なぜ目標の数値になるのか説明が容易なため、スタッフの納得も得られやすいでしょう。
エイヤー方式
10年後の売り上げなどの数値を先に決め、その目標をどうやって達成しようかと考えていくのが「エイヤー方式」の考え方です。先の細かな数字を設定するのではなく、「エイヤー」と思いきることが重要なので、このネーミングになりました。
実は、事業計画の年数が長期になるほど「エイヤー」がないと目標が決められなくなります。しかし、これが社長の覚悟を決め、会社を次のステージに導き、大きな成果につながる可能性を高めるのです。
たとえば、現状の売上が3億円の会社が、10年後に「10億円突破」を目標に掲げたとしましょう。10年で3倍ですから達成は容易ではありませんが、高い目標が先ほど紹介した「会社を新たな成長ステージに導く」ための「社長の覚悟」につながるのです。このように「エイヤー方式」は、既存の枠組みを超えて会社を大きく成長させる考え方となります。
「10カ年事業計画」を立てる
実際に10年の事業計画を立案する方法を、順を追って説明します。10年後の会社のビジョン実現までの数値計画を明確にしたものとして、「10カ年事業計画」を作りましょう。そう、事業計画を作るには、そのもとになる経営理念を打ち立て、会社の近い未来の姿となるビジョンを設定することが重要です。
また、作成するだけではなく、達成させるための仕組みづくりが必要です。効果的な運用で会社を成長に導いていきましょう。
事業計画の土台となる理念を定める
まずは、会社のあるべき姿を具体化していきます。組織の理想像を描く「経営理念」、社員に求める行動のよりどころとなる「行動理念」、人材に対する会社の根本的な考え方を定める「人事理念」を決めていきましょう。
「こんな会社でありたい」「そのためには、社員にこんな人材になってほしい」「それを達成するためには、会社側はこんな人材を求めていくべき」という考え方をとっていきます。すると、10年後にあるべき姿である「ビジョン」が見えてきて、そのために達成すべき数字が、おのずから見えてくることでしょう。
事業計画の達成には戦略の立案が必要
10年後に達成すべき数字を設定できたら、具体的な戦略を立てていきましょう。戦略が明確になっていなければ、社員が目標達成のためにどう動いたらよいか分かりません。
戦略とは、「目標を最も効果的に達成するための仕掛け、打ち手、仕組み」です。特に中小企業にとって重要なのが、顧客戦略です。顧客管理と顧客育成についての具体的な取り組みが、必ず功を奏します。
「10カ年事業計画」を効果的に達成する仕組み
顧客管理と育成の仕組みづくりができれば、事業計画の達成への道筋が見えてきます。まずは顧客管理です。顧客情報を組織全体で整理、共有、活用する仕組みを作りましょう。
中小企業でよくあるのが、営業担当者が個別で顧客情報のフォーマットを管理していたり、バラバラに活用していたりするケースです。これではせっかくの顧客情報を有益に活用できません。
顧客情報の記録方法、保管方法、活用方法を揃えるだけでも、業績向上につながります。たとえば、「顧客情報シート」というフォーマットを作成し、「顧客の基本情報」と「顧客への訪問・打ち合わせ内容を記録」します。同時に、記録・保存の方法、場所をルール化することで、必要な顧客情報を取り出しやすくなるでしょう。
また、顧客育成については、顧客との関係性を徐々に強化して、段階的に自社の圧倒的なファンに育てていく仕組みを作ります。顧客ランクと、顧客とのコミュニケーションルールを明確にしましょう。お得意様、既存客、見込客それぞれ対応を変えることで、上位ランクの顧客を増やしていきます。
とくに顧客育成については、イベントやプレゼント企画、メルマガ作成など多岐にわたる戦略を行うため、担当責任者とスケジュールを決めて、会社全体で推進していくことが重要です。ルール化しておけば、顧客の重要度に応じて、必要なコミュニケーションが会社の仕組みとして自動的に行えるようになります。
長期事業計画が組織の成長を加速させる3つの理由
事業計画の期間は、最低5年以上、できれば10年分として作成するのが理想です。長期のものになるほど時間も労力もかかりますが、組織の成長速度がぐんとアップするためです。長期の事業計画が組織の成長を加速させる理由は、3つあります。
社員のモチベーション向上や働きがいにつながる
事業計画が10年先まであるということは、社員が会社の成長に合わせた自分自身の成長期間を持てることにつながります。「10年後、こんな会社になるんだ。ということは、自分はこんなふうに成長できるかも」とイメージできれば、「この会社で長く頑張ろう」という意欲もわいてくるでしょう。
会社にとって、スタッフのモチベーションはかけがえのない財産です。スタッフに会社の見通しを提示することで安心感と働きがいを与えられれば、組織の生産性は向上するでしょう。
社長やリーダーの経営スキルがアップする
予測が難しい、かなり先までの数値計画を立案しようとすると、社長やリーダーはこれまで触れたことのない情報や知識を得ようと試行錯誤します。また、事業計画は毎年更新していきますから、達成されなくても結果を反省し、要因分析と対策を考え、目標を設定することになります。
こうした取り組みを経て、計画の精度が上がっていき、社長やリーダーの数値策定スキルや、先を予測する力がアップしていくでしょう。これは、組織全体の業績にとってもプラスに作用します。
会社を新たな成長ステージに導く可能性がある
社長が未知の数値へのチャレンジを決意することにより、経営者としての覚悟が生まれます。このトップの覚悟が、枠にとらわれない発想やアイデアにつながり、会社を新たなステージへと導いていく可能性があるのです。
業績が芳しくなく、「今のやり方のままではよくない」と手をこまねいているなら、思い切ってかなり先の展望を掲げてみましょう。10年先を見据え、どんな会社になっていたいかを思い描いてみてください。
事業計画は運用とセットで考える
計画は、作成するだけでは、絵に描いた餅に終わってしまいます。計画を打ち立てたら、それに基づいて戦略も考え、さらに具体的な運用方法まで決定していきましょう。
運用に最も必要なものが、計画を具体的に動かしていく社員たちのモチベーションであり、目標に対する共通認識です。社員たちに同じベクトルを向かせ、理想の会社像に向かって邁進させていくために、経営理念と事業計画にのっとった人事評価制度の導入をおすすめします。
人事評価制度を、給与を決めるだけの仕組みではなく、会社の目標を達成するべく人材を動かすためのものとして設計すれば、育成戦略にも事業戦略にもなります。社員のベクトルを揃え、企業を躍進させる「ビジョン実現型人事評価制度®」については、以下の記事を参考にしてください。
おわりに
事業計画は、10年単位で定めるのが効果的です。かなりの長期と考える人もいるでしょう。しかし、10年計画を練り上げることができれば、会社の目標や、今いるスタッフたちをどのような人材に育てていくべきかが明確になります。確実に、成長のための起爆剤になるでしょう。
組織を成長させたいと感じたら、まずは土台から踏み固めるのが大事です。自社の理念とは何か。10年後にどうなっていたいのか。それを考えていくことで、今すべきことが見えてくるでしょう。
この記事を監修した人
代表取締役山元 浩二
経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に『小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)、『小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である『【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。
日本人事経営研究室は仕事創造型人材を育て、成長し続ける強い企業づくりをサポートします
私たち日本人事経営研究室は、"人間成長支援"をミッションとし、
中小企業の持続的成長をサポートしています。
「人材」ではなく「人間」としているのには、こだわりがあります。
それは、会社の中で仕事ができる「人材」ではなく、仕事を通じて地域や環境、社会に貢献できる「人間」を育てる事を目指しているからです。
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