業績評価は結果とプロセスの両方で評価する、業績プロセス項目を盛り込んだ業務評価の方法

業績評価は結果とプロセスの両方で評価する、業績プロセス項目を盛り込んだ業務評価の方法

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人事評価制度に業績項目を盛り込み、業務評価を行っている企業は多いでしょう。しかし、業績項目に仕事のプロセスを評価する「業績プロセス項目」まで盛り込んでいる企業は少ないのが現状です。人材育成においては、仕事の結果だけではなく、そこに至るまでの過程(プロセス)もきちんと評価することが大事です。この記事では、業績プロセス項目を盛り込んだ業務評価の方法についてご案内します。

業績評価とは

業績評価とは、人事評価制度の評価基準のうち、数値で表すことができ、その数値の結果で評価が可能な項目です。会社の利益にどれほど貢献したかを、ダイレクトに測る項目といえます。

業績を明確に判定しやすいのは営業分野ですが、目標の立て方によっては、事務職にも業績評価を導入できます。例えば、工程数や電話対応の数、業務改善を行った数などを集計して業績評価の材料にすることが可能です。

業績プロセス項目を盛り込んだ業務評価

業績プロセス項目とは、業績結果を導き出すために、その過程でどんな活動を行ったのかを評価する項目です。弊社のクライアントが社内で独自に作成した業績項目を見ると、結果数値のみを業績項目の評価項目としている会社がほとんど。しかし、人材を育成し、業績に結び付く人事評価制度を確立しようと思うなら、業績プロセス項目を評価項目に盛りこまなければなりません。

なぜなら、結果だけでは指導や育成に結びつける評価が正しくできないからです。その結果を導き出すために、プロセスとしてどんな活動を行ったのかも評価の対象に加えなければなりません。プロセスのどこが悪かったのかをはっきりさせ、指導、改善に結びつけていくためです。

業績評価は「結果」と「プロセス」と両方で評価すること、これが重要です。結果とプロセスの両方を評価することで、リーダーも部下も成長します。

例えば、営業職で考えると、「業績結果項目」とは、営業として求められる業績の結果数値で、「売上高」「契約件数」があります。これに対して「業績プロセス項目」とは、営業活動の中の数値で測れる行動を言います。例を挙げると、「DM・ハガキ件数」「面談件数」「アンケート点数」などがあります。結果だけで評価してしまうと「訪問件数」「面談件数」の数値が評価されないですよね。結果だけ見るのではなく、プロセスも見ることで活動全体で評価をします。

  • 営業職の業績結果項目
    =営業として求められる数値結果
    ・売上高
    ・経常利益
    ・粗利益率
    ・営業利益
    ・契約件数
    ・上棟数
    ・新規獲得件数
    など
  • 営業職のプロセス項目
    =営業活動中の数値で測れる行動
    ・訪問件数
    ・アポイント件数
    ・提案件数
    ・DM、はがき件数
    ・成約率
    ・紹介訪問面談件数
    ・リピート率
    ・イベント集客数
    ・アンケート点数
    など

業績プロセス項目でリーダーの指導力を向上させる

業績プロセス項目は、社長や幹部だけで決めるのでは足りません。優秀な結果を残す営業担当、生産性が最も高い部署のリーダーなどと一緒に考えます。

業績結果を残すプロセスを、営業担当やリーダーに語ってもらい、これを参考にして会社のベストプロセスを導き出すのです。会社のベストプロセスから、数値に落とせるものをリストアップすれば、業績プロセス項目が完成します。

社員一人一人の業績プロセスを評価の対象にすることで、今まで見えなかった改善点が明確になってきます。例えば、業績結果が出ない社員であれば、訪問件数が少ないからなのか、提案の回数が足りないのか、決定率が悪いのか、その原因がハッキリしてくるのです。

以上のように考えれば、「結果」と同じくらい「プロセス」が重要であることを、わかっていただけるでしょう。とくに中小企業における営業現場の指導では、「とにかく結果を出してこい」といった放任主義的な指導も多かったと思われます。しかし、業績プロセスをハッキリすることで、社員一人一人の課題が明確になり、的確な指導が可能になります。

すると、本人の成長はもちろんのこと、リーダーの指導力向上という成果を得られます。業績プロセス項目を設定することで、一石二鳥の人材戦略が完成するのです。

業績項目を7段階で評価

業績項目については「SS・S・A・B・C・D・E」の7段階評価で評価することをおすすめしています。Bを平均値として、最も優秀であればSSとするのです。ほかの項目では3段階程度が妥当と考えますが、どうして業績項目だけ段階が多いかというと、数値で表すことができるため、段階を細かくしても評価にブレが生じないからです。

評価判断のレンジ(幅)は、達成率または業績結果の数値で設定します。幅の広さや水準は、各社さまざまです。ただし、マネジメント層については、個人の業績は評価対象にしません。部署や店舗全体の業績のみを、評価に反映させるのが基本です。

業績評価の項目例

「何をプロセス項目に入れたらいいのかわからない」という人事部の方もいるでしょう。具体的な項目例としては、例えば部署全体の業績プロセス項目なら「イベント回数」「イベント集客数」などがあります。対して、部署全体の業績結果項目なら「売上高」「営業利益」「契約件数」などが挙げられます。

スタッフ個人としての業績プロセス項目なら、「ポスティング件数」「面談件数」「新規面談件数」「アポイント面談件数」「改善提案」「アンケートプラス評価件数」などがあります。個人の業績結果項目なら、「契約件数」や「個人売上高」が挙げられるでしょう。

数値化できるものは、会社によってさまざまです。業務を洗い出してみて、数値で表せるものはないかを考えてみましょう。そして、評価に結びつけるのです。

職種・部門別の業績評価項目の事例

  • 営業職 (部門)の 「業績評価項目」

売上高
売上高前年比伸び率
粗利益 (率)
新規開拓件数
顧客単価
契約件数
契約決定率
企画提案件数
改善提案件数
訪問件数
総面談件数
新規面談件数
アポイント面談件数
紹介訪問面談件数
紹介件数
契約率
経費
クレーム件数
イベント回数
イベント集客数
ポスティング件数
DM・はがき件数
アフターフォロー実施率
アンケート点数


  • 販売職 (部門)の 「業績評価項目」

売上高
売上高前年比伸び率
粗利益 (率)
新規来店客数
顧客単価
商品購入点数
人件費比率
経費
クレーム件数
在庫回転率


  • 製造職 (部門)の 「業績評価項目」

生産高
原価削減率 (額)
生産高/一人当たり
リードタイム
歩留り
設備稼働率
ヒヤリハット提案件数
改善提案件数
製品クレーム件数


  • 企画職 (部門)の 「業績評価項目」

開発商品売上高 (販売個数)
在庫回転率 (期間)
販促費用対効果
企画・商品提案件数


  • 総務・人事職 (部門)の 「業績評価項目」】

研修実施回数
マニュアル改善件数
採用者数
退職者数(率)
改善提案件数


  • 経理職 (部門)の 「業績評価項目」

経費削減額 (率)
月次決算完了日
改善提案件数

各評価項目の決め方

評価項目には、「業績」のほかに「成果」「能力」「情意」があります。業績項目を含む4つの評価項目を設定することで、どのようなステップで業務スキルを身につけたらよいのかが、社員にも評価者にも一目瞭然となります。

各評価項目は、決め方がそれぞれ違います。「業績項目」であれば数値が重要になり、「成果項目」は数値で表せない重要な役割や仕事を評価することになります。また「能力項目」は実績を残すために必要な能力、知識、資格などに注目して決め、「情意項目」は仕事に対する姿勢が重要視されます。

いずれの項目も、下位グレードは単純で取り組みやすい項目のウェイトを大きくして、上位にいくにしたがって難易度を高くするのがポイントです。詳細は、以下の記事をご覧ください。
評価基準(評価項目)の決め方、行動に結びつける人事評価の4つの項目

おわりに

業績プロセス項目を人事評価制度に導入すれば、社員にとっては仕事の結果だけではなく、その経過も評価してもらえることになります。どんなに頑張っても契約が思うようにとれないと、モチベーションは次第にしぼんでいくものですが、頑張りがきちんと評価されるとなったらやる気は倍増しますよね。

また、評価されるプロセスがあらかじめ決められていれば、社員は会社側が推奨するプロセスどおりに頑張ろうとします。会社が「頑張ってほしい」ベクトルに、正しく沿って行動してくれるので、プロセス評価を高めようとする努力が結果にも結び付くはず。結果をきちんと出してもらうためにも、プロセス評価は大事なのです。

今回は、業績項目にクローズアップしてご説明しましたが、人が育つ人事評価制度を導入したければ「経営計画」の内容を「人事評価制度」に落とし込むことが必須です。下記につくり方をまとめていますので、参考にしてください。

人事評価制度とは「人材を育成するための仕組み」、人事評価制度・経営計画の作り方まとめ

この記事を監修した人

代表取締役山元 浩二

経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に『小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)、『小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である『【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。

個人ブログ:https://jinjiseido.co.jp/blog/

日本人事経営研究室は仕事創造型人材を育て、成長し続ける強い企業づくりをサポートします

私たち日本人事経営研究室は、"人間成長支援"をミッションとし、
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それは、会社の中で仕事ができる「人材」ではなく、仕事を通じて地域や環境、社会に貢献できる「人間」を育てる事を目指しているからです。
日本人事経営研究室では、そのために必要な「人」に関するサービスや情報を提供しています。

日本人事経営研究室 代表取締役 山元浩二氏

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