経営計画は10個の要素を評価制度の4つのカテゴリに落とし込んで作る

「経営計画を発表した。理念もビジョンも、5年後・10年後の数字も語った。社員はみんな黙ってうなずいていた。それなのに、現場の動きは何ひとつ変わらない」

中小企業の経営者の方から、こんな悩みを聞くことがあります。「うちの社員は自分から動かない」「言われたことしかやらない」「新しいことに挑戦しない」と感じている方も多いのではないでしょうか。

しかし、これは決して社員のせいではありません。経営計画が成果につながらない会社には、共通する原因があります。それは、経営計画と評価制度が連動していないからです。

この記事では、経営計画が成果につながらない原因を詳しく紐解き、経営計画を社員の日々の行動につなげるための仕組みを順を追って整理します。

動画でも詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

社員が動かない原因は「経営計画と人事評価制度が連動していない」こと

経営計画を作っても成果が出ない会社に共通する大きな原因は、経営計画と人事評価制度が連動していないことです。

評価制度の中の評価基準が経営計画とつながっていないと、社員には次のことがわかりません。

「何をすれば会社に貢献できるのか」
「どうすれば自分が成長できるのか」
「何をすれば認められ、評価されるのか」

これでは、社員が自発的に行動できないのも無理はないでしょう。

逆に言えば、日々の行動が経営計画に直結している状態さえ作れば、社員は自然とビジョン実現のための行動を起こすようになります。これが、日本人事経営研究室が提唱する「ビジョン実現型人事評価制度®」の最大のポイントです。

経営計画に盛り込みたい10の要素

計画を社員の行動に落とし込み、組織を成長させるためには、経営計画に次の10の要素を盛り込みます。大きく3つのブロックに分けて整理します。

  • 理念ブロック(会社の土台)
    ①経営理念:会社は何のために存在するのか
    ②基本方針:どんな考え方で事業を行うのか
    ③行動理念:全社員に求められる考え方と姿勢
    ④人事理念:人材に対する根本的な考え方
  • 目標ブロック(10年後の未来と、そこに至る道筋)
    ⑤ビジョン:10年後のあるべき姿
    ⑥10カ年事業計画:売上や利益、人員構成などの10年後までの計画
    ⑦戦略:10カ年事業計画を実現するための打ち手
  • 人材育成目標ブロック(特に重要)
    ⑧現状の人材レベル:今の社員のレベルと課題
    ⑨10年後の社員人材像:ビジョンを実現したときに社員に求められる人材レベル
    ⑩ギャップを埋めるための課題:現状から10年後の人材像に到達するために必要なスキルや知識

経営計画に沿って人材を育てていくためには、これらの10個の要素を経営計画に盛り込んでください。特に3つ目の人材育成目標ブロックは欠かせない要素です。

評価基準は4つのカテゴリーで作る

経営計画と社員の行動をつなぐのが、評価基準です。評価基準は、次の4つのカテゴリーで構成します。

  • 業績項目
    「売上」や「粗利」、「生産高」など、数値で測れる評価項目です。数値の結果だけでなく、そこに至るプロセスの項目も盛り込むのがポイントです。
  • 成果項目
    業績項目に直結する重要な仕事です。たとえば、「目標管理」「顧客管理「企画提案力」「コスト削減」など、業績項目で掲げた数値に直結する行動を項目にします。
  • 能力項目
    成果を出すために必要な「スキル」や「知識」、「資格」です。ただし、能力を持っているだけでは評価の対象になりません。その能力を仕事で実践し、発揮して初めて評価の対象となります。
  • 情意項目
    仕事への姿勢や考え方です。「積極性」「成長意欲」「チームワーク」など、ひと言で言えば会社が求める「人間力」にあたります。

この4つのカテゴリーで「何を、どのレベルまで実践してほしいのか」をグレードごとに書き分け、評価基準として社員に示します。

経営計画と評価基準を連動させる4つのポイント

ここが最も大切な部分です。経営計画で作った10の要素を、評価基準の4つのカテゴリーに具体的に落とし込んでいきます。連動の柱になるのは、次の4つです。

  • 業績項目は、10カ年事業計画から落とし込んで作る
  • 成果項目は、戦略と直結した行動を項目にする
  • 能力項目は、ギャップを埋めるための課題から作る
  • 情意項目は、行動理念と直結した内容にする

経営計画の中身が、社員の行動の指標として評価基準に落とし込まれている。だから社員は迷わず、自分から動けるようになります。

言われなくてもやる。自分で考えて行動する。積極的にチャレンジする。社長が全社員に求めていたこうした行動が、社員の中から自然に生まれる組織になるのです。

こうして経営計画に直結する理想行動、これが全社員から自然に生まれる仕組みであり、中小企業が「ビジョン実現型人事評価制度®」で成果を出せる理由です。

まとめ

経営計画を発表しても社員が動かない原因は、計画と評価制度がつながっていないことにあります。

まずは経営計画に、「理念」「目標」「人材育成目標」の3ブロックで10の要素を盛り込みましょう。そのうえで、「業績」「成果」「能力」「情意」の4つのカテゴリーで評価基準を作り、計画の中身を一つひとつ落とし込んでいきます。

社長ひとりが引っ張る経営から、全社員でビジョンに向かう経営へ。この転換が、中小企業の成長を加速させます。この機会に、自社の経営計画と評価制度のつながりを見直してみてはいかがでしょうか。

経営計画と人事評価制度の連動について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

この記事を監修した人

代表取締役山元 浩二

経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に『小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)、『小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である『【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』(あさ出版)を出版。累計20万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。

個人ブログ:https://jinjiseido.co.jp/blog/

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