本講座は、“仕組み”をテーマにお届けしています。
前回の講座では、中小企業の社長がまず取り組むべき“言語化”であること、それは、会社を【「どこへ」「いつ」「どうやって」成長させていくのか 】
を「経営計画」で明示することだとお伝えしました。
もしまだ、これが全社員に対して明示されていない会社は、何より優先して言語化に取り組んでください。
「ビジョン実現型人事評価制度®」でそのときのポイントは、「人事評価制度」と連動させ人材育成が実現できるものとすべき点です。
そのため、「ビジョン実現型人事評価制度®」の経営計画では、一般的な経営方針や経営計画には盛り込まれていない要素も必要です。
たとえば、「10年後の社員人材像」。私は、これまで中小企業2,000社以上の経営計画を見たことがありますが、この要素が盛り込まれているものは見たことがありません。
当該年度のみの数値目標を掲げているというパターンがいちばん多く、次に3年計画です。5カ年となると、半数以下となってしまいます。
しかし、「ビジョン実現型人事評価制度®」では、10年先までの数値目標を必ず明確にしてもらいます。
理由は2つあります。
1つ目は、社員のやる気や働きがいにつながるからです。
10年先まで会社の計画があればそれをもとに、社員も自身の成長プランを長期でもてることになります。これに連動した「人事評価制度」があれば、年収の目標などのライフプランも具体的に描くことができます。
このように、長期の事業計画が会社にあることは、社員の人生を豊かにするために役立ち、安心して仕事に打ち込める環境をつくることができます。
こうして、社員の帰属意識とやりがい、働きがいを高めることができるのです。社員の将来のためにも、ぜひ「10カ年事業計画」づくりにチャレンジしてください。
2つ目の理由は、社長とリーダーの経営スキルがアップするからです。
一般的に、中小企業の社長やリーダーは、「10カ年事業計画」を作成するのは初めてです。そこで、予測が難しい10年先を数値で明確にするために、これまで触れたことのない情報や知識を得ようと試行錯誤します。
さらに、作成したのちも、毎年更新し、反省や改善を繰り返しながら運用します。こうした取り組みを経て、社長やリーダーの数値を読んだり、将来の環境、業界の変化を予測する力がアップするのです。そして、組織全体の成長にもプラスに作用します。
これが「10カ年事業計画」が必要な2つ目の理由です。