中小企業の社長からよくこんな質問を投げかけられます。
「環境が激変し、先の見えない時代に10年後までの数値計画をつくっても意味がない」
これに対して、「10カ年事業計画」すなわち、10年先までの数値計画を作成する理由が明確に3つあります。
3つそれぞれ詳しく解説します。
まずはこの中の「社員の働きがい」について解説しましょう。
これは非常にシンプルです。あなたがその会社の社員の場合を考えてみてください。
(1) 10年先までの成長計画がある会社
(2) 当該年度(今年度)の目標しかない会社
どちらの会社で働きたいですか?当然、誰もが(1)となるでしょう。
10カ年事業計画では、10年間の損益計算書と人員計画を作成します。これをベースに、社員一人ひとりが成長プランを描き、具体的な10年後のポジションなどの目標を具体的に持つことができます。
これが、とくに若い優秀な社員の成長意欲や働きがい、定着率向上につながります。10年先までの数値、人員計画、自社にはないという方は早急に作成にとりかかってください。効果は絶大です。
「社長の経営力」、これをもう少し詳しく言うと、10カ年事業計画は、「社長の経営力」を高めることができるということです。
10年先までの数値目標や、それを達成するための道筋を明確にしている中小企業はほとんどありません。もちろん、社長も「10カ年事業計画」など作成したことがないわけです。
こういった現状に対して、頭を悩ませながら試行錯誤し、10カ年事業計画を作成します。その後は、「ビジョン実現型人事評価制度(R)」に10年後の目標達成に向けた実践の仕組みがあります。
この仕組みにそって日々実践に取り組みながら達成度を検証しながら実践します。これを社長が先頭に立って推進していくことで社長自身の組織マネジメント力が身についてくるのです。
こうして「社長の経営力」が上がることで会社全体が成長する体制を確立することができるのです。中小企業では、社長自身が関わることが重要なポイントになります。
「成長」、これをもう少し詳しく書くと、10カ年事業計画を作成した会社の方が成長するということです。
これは、弊社がこれまで705社のクライアントの運用を通じて導き出された結果データが根拠となっています。3年や5年の計画を作成しているところよりも、「10カ年事業計画」を作成したところの方が成長率は格段に高いのです。
ぜひみなさんも10カ年の事業計画にチャレンジしてください。
前項で目標達成の仕組化、「10カ年事業計画」についてお話ししました。「目標」を設定したら、次はこれを達成するための「戦略」を明確にします。
「戦略」は、社員がなにを行えばよいか、行動のよりどころになる重要な要素です。ところが、戦略を社員が理解して日々の仕事に取り組むことができている中小企業はごくわずかです。そうなってしまう要因は、戦略を社員に示していないからです。
まず、「戦略」を明文化し、社員全員に示し、説明して役割分担を行わなければなりません。また、その後「戦略」の実行状況をリーダーと共有し、課題を明確にし、必要に応じて改善して目標を達成しなればなりません。
こうお伝えすると当たり前のプロセスのように捉えられるかもしれませんが、中小企業はできていません。それは、社長が一人でこれらをやろうとしているからです。
10人を超えた組織では、いくら優秀な社長でも適正に戦略を推進し、全社員の実行状況を把握して結果を出し続けることはできません。
なぜ、社長が一人でやってしまうかというと、
“リーダーに任せてもできない”
“リーダーや社員の役割ではない”
と社長が考えているからです。
戦略はリーダーが実行管理すべきものです。
「ビジョン実現型人事評価制度(R)」には、このスキルを全リーダーが身に着けることができる内容が組み込まれています。以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ取り組んでみてください。
中小企業が実行すべき“中小企業が「稼ぐ力」を高める20の戦略”が「ビジョン実現型人事評価制度(R)」には組み込まれています。また、戦略ができたら社員全員に示す必要があるということもお伝えしました。
この2つができたら戦略を継続的に実行していかなければなりません。この実行の進め方がポイントです。
人に任せるのではなく、“仕組み”で実行します。その仕組みが「アクションプラン」と「評価制度」の2つです。
戦略の立案に頭を使いながら、時間と労力をかける方も多いものです。しかし、戦略の『立案:実行』の重要度は2:8で『実行』の方が重要です。
「ビジョン実現型人事評価制度(R)」では、20の戦略をあらかじめ準備しているので立案に時間がかかりません。また、実行の仕組みがセットなので、確実に戦略を成果につなげることができます。
そして、この「実行」をリーダーが行うことで、マネジメントができるリーダーが育ち、社長がやっていた仕事をどんどん任せることができます。
その結果、社長に時間の余裕が生まれ、次のステージに向けて組織が成長するのです。