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中小企業の多くは、一定の規模を超えると、中間管理層の出来、不出来でさらに成長できるか、衰退してしまうかが決まってしまいます。目安として、20人~30人規模になると、中間管理層の力が大きくその後の成長に影響してくるようです。
そこでもちろん、リーダー育成に力を注ぐことも重要ですが、すでにリーダーとしてポジションを与えている人たちが、(最低限)求めるレベルの仕事をしてくれているのかをチェックすることも必要です。
この「リーダーパフォーマンス度チェック」を計測していくことができる仕組みに「評価納得度アンケート」があります。この「評価納得度アンケート」は、評価を受けた社員の人事評価制度に対する満足度向上に向けた運用の仕組みとして、制度の導入後、定期的に実施します。
評価後、育成面談(フィードバック面談)終了後に社員全員に対して行います。
アンケートの質問項目は、
■最終評価判定に納得できたか
■上司からの評価のフィードバックに納得できたか
■面談を受けることによってやる気が向上したか
等々、評価制度に対する納得度ややる気向上度を聞き出していくのです。
その結果を集計、グラフ化することで“社員の納得度を『見える化』”できるのです。
詳しい内容に関しては拙著、『小さな会社は人事評価制度で人を育てなさい!』(中経出版)の193~195ページを参考にしてください。
当社のクライアントさんに対しては、このアンケートを必ず6ヶ月ごとに実施しています。また、アンケートに対するQ&Aだけではなく、人事評価制度に対する要望や意見も同時に書いてもらいます。
そうやって出てきた要望や意見一つひとつに対して、必ず回答や今後の対応策を明確にし、社員に公表をします。アンケートは無記名で実施してもらうので、個人にではなく全社員に要望・意見とともに公表します。
この「納得度アンケート」を継続していくことで、少しずつですが、確実に社員の満足度は上がっていきます。非常に手間がかかるのですが、このような細かいことを地道に継続していくことが人事評価制度の成果に大きく関わってきます。
「人事評価制度は運用しているが、社員納得度の具体的な計測はできていない」という会社は実施を強くお勧めします。
ただし、いかなる理由があってもアンケートの実施を絶対にやめないという覚悟で実施してください。さもなくば、逆効果になるケースも十分考えられます。
ここからは、「評価納得度アンケート」でどうやってリーダーの実力を図るのかについてお伝えします。
この「納得度アンケート」は6ヶ月ごとに全社員に対して実施します。実施後、その結果を集約・分析するときに、部署ごとあるいは店舗や営業所ごとにも結果がどうかをまとめ比較します。
そうすると、どんな会社でも部署(店舗・営業所)間で大きな差が出るのです。特に、上位職の部門長や経営幹部の仕事場から離れた店舗や営業所等の形態の組織では大きく差が出る傾向があります。
要は、「納得度が低い」結果となった部署(店舗・営業所)のリーダーは部下指導、部署(店舗・営業所)の管理・統制が満足に行えていない、と判断できるのです。
言い換えると、納得度が低い部署(店舗・営業所)の社員のアンケートの結果は、「評価結果に納得できない」「面談を受けてやる気が低下した」「これから何を目標にしていったらよいのかわからない」と部下が言っているわけです。これではとても部署(店舗・営業所)の管理、統制がとれているとは言い難いでしょう。
また、「納得度アンケート」では、直接、人事評価制度に対する意見や要望も書いてもらうのですが、アンケート結果が低い部署(店舗・営業所)からは
「部下に上司を評価させてほしい」とか、中には「今の上司には評価されたくない」といった痛烈な要望をよせてくる人もいます。
「自社は、現状の人事評価制度に満足していない社員が多い」という読者の方は、制度の問題や改善点をさがす前に、評価者に対する納得度を先に計測した方がよいでしょう。
話がそれてしまいましたが、このように「納得度アンケート」の結果で、“できるリーダー”と“ダメリーダー”を見分けることができるのです。