前回は社長と社員の実力の格差(=ギャップ)を埋める方法、これには【階段設置法】と【役割分割法】の二つがあり、前者について解説しました。
今日は【役割分割法】です。
例えば、
社長の力100
社員の力20
の場合にいきなり「20⇒100になれ!」と言っても、不可能に決まっています。(ここまでは、前回と同じですね。)
【役割分割法】では、社長のやっている100の力を分割して社員に役割分担していきます。
飲食店、居酒屋の例でお話しましょう。
居酒屋の社長は創業期は現場の仕事も自分もこなしながら会社を成長させてきた人がほとんどです。
集客、接客、スタッフ指導、仕入・原価コントロール、顧客管理、広告制作、マネジメント、経理・資金繰り・・・全て一人でこなしてきました。
こういう社長は自分がやってこれたんだから今各店舗を任せている店長もやろうと思えばできるだろう、と思ってしまうのです。こうなるとその全てを店長に求めてしまいます。
完璧に社長と同じレベルを求めるわけではありませんが、「オレの7割程度だったらできるだろう」、と。
しかし、そんな人は存在しません。10人に一人もいないでしょう。100人に一人でも難しいかもしれません。
なぜか・・・それができる人は独立して行くからです。
独立してやったほうが収入も増える、自分の店舗も持ててやりがいもある。自分でやらない手はありません。
では、総合的能力レベルのない社員の集団に対してどうやって仕事を任せ、教育して行けば組織力が高く、競争力がある企業になるのか?!
それは、それぞれの分野でスペシャリストを育成するのです。
数字が苦手な社長よりできる原価コントロールのスペシャリスト無愛想な社長にはできない笑顔の接客のプロイベント企画や広告を任せたら彼の右に出る者はいないアイデアマン部下とのコミュニケーション力、モチベーションの上げ方は社長よりうまい
それぞれの得意分野を生かす役割の任せ方、育成を行います。
そうすれば、個々人の得意分野は一つでも組織全体での総合力は極めて高い組織ができあがります。
社長や幹部が全ての分野で部下より優れている必要は全くないのです。優れた部下のスキルをマネジメントしていくのが社長の役割です。
実は、この役割を人事評価制度を通じて個々のスタッフへ落として行きます。
評価基準のどこに重点をおいて評価していくか、ウェイト付けを行ってスタッフに示せば、自分が何を求められているかが明確になるのです。
また、評価基準自体を個別に作成する方法もあるでしょう。
しかし、こういう指導の方法を行うといつまでたっても店長やその上でマネジメントができる人材が育たないのでは?という疑問を持つ人が必ずいます。
でも、大丈夫。本当に優れた人材はある分野のスペシャリストでとどまろうとはしません。ある分野でスペシャリストになっても次のステップへレベルアップしようとします。
そこで、こちらからもマネジメントに関する教育も行っていけばよいのです。
これが【役割分割法】による人材育成方法です。
さて、あなたの会社は
【階段設置法】
【人材育成法】
どちらで社員育成を行いますか?
もちろん、ミックスした形態が効果的な場合もありです。