前回に続き、「経営計画書を【絵に描いたもち】にしないためには」というテーマでお話しています。
今回はその実践編!
【伸びている企業は人事評価制度を経営計画実現のために有効に活用している】
では、その活用の方法は・・・・。
戦略を社員に実践してもらうには具体的にわかりやすく仕事の『場面』に落とす必要があるというお話をしました。
しかし、ここで疑問が浮かんできます。
「全社、全部署の仕事の『場面』ごとに行動の基準を作っていくと膨大な量になり、経営計画書が何十ページにもなってまう!とても、そんな経営計画書はできない」
この問題を解決するのが人事評価制度なのです。この行動の基準を【評価基準】を使って社員に示して行くのです。
戦略や計画を実行するための全社員の行動基準は【評価基準】に盛り込みます。
具体的にやってみましょう!
前号の例を使って
A.戦略;「お客様のサービスの質の向上」
B.計画;「お客様のことを第一に考え、感謝の気持ちで接する」
C.実践;「社内業務よりお客様のことを優先する。」
D.実際の仕事上での行動;「お客様からの電話でのお問い合わせには8時間以内にお答えする」
このDを【評価基準】の評価項目として盛り込みます。
【評価項目例】
(1)お客様からの電話でのお問い合わせには8時間以内にお答えしていたか
(2)平均回答時間
(3)8時間以内の回答率
3項目もできましたね。
(2)と(3)については数値で評価できます。あらかじめ、判断基準を示しておいてあげましょう。
(2)平均回答時間
(総対応時間/全対応件数)
S評価;3時間以内
A評価;3時間以上5時間以内
B評価;5時間以上8時間以内
C評価;8時間以上9時間以内
D評価;9時間以上
(3)8時間以内の回答率
(8時間以内に解答できた件数/全対応件数)
S評価;100%
A評価;98%以上
B評価;96%以上
C評価;95%以上
D評価;95%未満
社員の中には難しいお客様の質問は後回しにし、楽なものだけ回答していく。その結果、平均的な回答時間は早いが、1部のお客様の回答だけ残ってしまうという状況も出てくるかも知れません。
この2つの評価項目があればそれでは評価結果は良くなりません。これも会社のスタンスを社員に対して示すことにつながります。
このように、数値に落とせるものはできるだけ数値に落として行きましょう。評価するほうも楽だし、評価される側にとってもわかりやすくなります。
こうして、他の仕事や全部署についての行動基準を評価項目として作成することによって、
「評価項目にもとづいて社員が行動、実践」
↓
「計画の実現」
↓
「戦略の実現」
↓
「目標の達成」
と結び付けて行きます。
そう、評価制度は会社の目標達成のためのツールなのです。
次回は評価項目への落とし込み方の具体例を他の業種、職種の例で実践してみましょう。
「理屈はわかったけど、具体的にはどうすれば?」という方も多いでしょうからね