プロセス数値の評価項目を加える:公平な業績目標設定2

プロセス数値の評価項目を加える:公平な業績目標設定2

前回から営業職の業績目標設定についてお話をしています。不公平感が出やすい営業職の目標設定についてどうすればその不公平感を解消できるか、について解説してきました。
 
そんなときは
<1>評価を目標に対する達成率で行う
<2>プロセス数値の評価項目を加える
<3>業績項目以外の評価項目を強調する
という3つの方法で解消すれば良かったですね。前回はこのうち<1>と<2>についてでした。
 
特に<2>についてはなかなかできていない企業が多いのでもう一度確認しておきましょう。業績評価項目の中には『結果数値』項目と『プロセス数値』項目があるということでしたね。次のような業績評価項目の会社があったとします。
(1)売上
(2)粗利
(3)営業利益
(4)新規獲得件数
(5)セールス電話件数
(6)(新規)訪問件数
(7)面談件数(決裁権限者との)
(8)企画書提案件数
(9)見積もり提案件数
このうち、(1)~(4)が『結果数値』、(5)~(9)が『プロセス数値』となります。
 
上記の業績項目だと新人営業マンでも高い評価を取ることが可能となります。また、外部要因で一時的に売上、利益が下がった営業マンも同じことが言えます。なぜなら(5)~(9)の【プロセス】ですから誰でも行動すれば高く評価されることが可能なのです。このようにして『結果数値』のみを業績評価項目とした場合の不公平感を解消でき
るのです。
 
もう一つ、この『プロセス数値』を評価項目とすることによるメリットがあります。それは、このプロセスを考えるという行為そのものが会社の営業の仕組みづくりにつながるということです。
 
そして、これが前回最後にお話した会社の社長が「スッキリした!」とおっしゃった理由です。その会社ではそれまでルート営業が中心であまり新規訪問営業を行っていませんでした。既存客を毎月集金のために訪問し、何かお客から言われたら自社商品の見積もりを持って行って成約というスタイルの営業だったのです。
 
つまりこの会社の成約(=売上計上)までのプロセスはステップ1お客からの依頼(紹介も含む)ステップ2見積り(実はこの時点でほとんど成約)ステップ3成約(=売上計上)と2ステップか3ステップしかありません。そして、お客からのアプローチだけで新規も含む売上を上げてきたのです。これまでよくやってこれたなという感じですね。
 
ところが、やはりこの営業スタイルだけでは掲げた会社の売上目標も達成できないばかりか、売上はジリジリ下がる一方です。そこで、こちらからアプローチして新規開拓して売上を創っていこうということになりました。
 
そこで、新規売上を上げるための成約までのプロセスを検討してみると
ステップ1見込先情報収集
ステップ2見込先へのTEL(新規訪問のアポイント)
ステップ3見込先訪問(ニーズの発掘)
ステップ4商談(自社の商品バリエーションからニーズに合わせて具体的に検討)
ステップ5見積り提出
ステップ6成約
となり、プロセスが3?4ステップ増えたのです。
ここで、先ほどの社長は「なるほど!うちは本当の新規開拓営業は全くやっていなかったんだな。スッキリした!!」とおっしゃったのです。早速、この会社ではステップ1~6まで全てを『プロセス数値』として業績評価項目に加えました。
 
これは、まさにその会社の営業の仕組みなのです。そして、このプロセスを評価項目としていくことによって、社員に行動させることができるわけです。言い換えれば会社が儲かる仕組みを社員に行動させるということです。
 
いかがですか?なかなか評価基準づくりも奥が深いでしょう?ただし、今回お話した営業のプロセスはそれをやれば確実に結果につながるプロセスにしなければ意味がありません。ということは、しっかりとした戦略に基づいた営業プロセスが必要ということですね!
 
間違った戦略に基づいた営業プロセスだったらどうなるか・・・!?考えただけで恐ろしいですね。ではまた次回

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業績項目以外の評価項目を強調する:公平な業績目標設定3