vol.008では評価結果を反映する給与項目についてお話しました。
復習すると
(1)本給年1回の基本的には下がらない年功給。
(2)仕事給評価ごとに金額を上下させる性格の給与。
この2本立てで基本給を構成してください、ということでしたね。
さて、今回はこの【本給】と【仕事給】を現在の社員にどのように当てはめて行くかということをお話します。給与設計段階ではこの部分が一番難しいところです。
また、移行時点の考え方ですが、新給与体系へ移行と同時に給与を上げ下げするということは避けた方がよいでしょう。通常、各社員従来と全く変わらない金額で移行するか、昇給時期と重なっていれば昇給分を上乗せして移行するという手法を取ります。私が過去お手伝いした会社でも移行時点で給与を下げたところは1社もありません。
では、具体的な給与の移行方法をお話します。
<1>まず、全社員のグレード(グレードについては第9回でお話しました)を決めます。
<2>次に現行給与項目のうち、評価の対象となる給与項目を決めます。
例)基本給+資格手当+職能給等
<3>【本給】:【仕事給】の比率を決めます。
例)【本給】:【仕事給】=6:4【本給】:【仕事給】=5:5等
これによって成果部分の給与が基本給の何割程度を占めるのかを社員
対しても明確にします。ちなみに、今多いのは5:5のパターンです。すな
わち年功的給与と成果的給与の比率が半々ですよ、というパターンです
ね。当然、0:10というパターンも選択肢にあります。
ここでは、5:5のパターンを選択したとしましょう。
<4>社員全員の<2>で決めた対象となる給与項目の合計額に50%を
掛けた金額を算出します。
<5><4>で算出した金額をもとに、第10回で説明した仕事給のテーブル
(給与の金額表)をグレードごとに作成します。
<6>全員に該当グレードの『B』(評価段階の中心)を当てはめ仕事給額を
決定します。
<7>各人ごとに<2>の合計額から<6>で決めた仕事給額を引いた金額
を【本給】とします。
※役職手当を別途設定する場合もありますが、このパターンは設定しなかった場合です。
以上が給与の設計手順です。多分、この説明を読んだだけでは解りにくい部分もあると思いますので、実際の社員さんに当てはめてシミュレーションしてみてください。また、疑問点があればいつでもお気軽にお問い合わせください。
次回は昇進昇格制度設計についてのお話です。それ以降は具体的な運用方法の工夫を事例に基づいてお話していきます。よって次々回移行が現場で人事制度を用いて社員を育成していく、あるいは業績につなげていく具体的な方法になりますので、楽しみにしておいてくださいね。
↓次回講座はこちら
人事制度の目的は「社員の育成」:社員と業績を伸ばす人事評価制度つくり講座1
給与制度の設計手法:社員と業績を伸ばす人事評価制度つくり講座2
昇進昇格制度の設計方法〜判断基準例を紹介:社員と業績を伸ばす人事評価制度つくり講座4