ナガセキトーヨー住器 株式会社 | 人事評価制度の設計と運用のコンサルティング | 日本人事経営研究室株式会社

ナガセキトーヨー住器 株式会社 様

人と街を沸かせよう 「ビジョン実現型人事評価制度®」で描く組織と人のMIRAI

ナガセキトーヨー住器 株式会社

代表:代表取締役社長 永関 英文
所在地:山梨県北杜市長坂町長坂上条2465-1
創立:1970年9月
事業内容:アルミサッシ、住宅設備機器、新建材、外壁工事、エクステリア、インテリア工事及び販売、不動産業
URL:https://www.nagaseki.jp/
従業員:35名

「ナガセキトーヨー住器株式会社」様は、山梨県の長坂と甲府に拠点を持つ、LIXILグループのマドリエ加盟店です。

地域の工務店に対してアルミサッシを中心とした高品質な住宅設備機器の販売のみならず、集客や現場改善など、付加価値向上のためのサポートにおいて50年にわたって貢献し続け、信頼と実績を積み重ねてこられました。

今回は、売上と生産性で地域ダンドツのNO.1を目指す同社の5年にわたる組織成長と人材育成の取り組み、そして今後の展望についてご紹介します。

先代からの事業承継

私は大学卒業後、LIXILグループの前身であるトステムにて4年間住宅建材ビジネスを学び、26歳で家業であるナガセキトーヨー住器に入社し、それから10年後の2010年10月に36歳で代表取締役に就任しました。

社長交代後は、毎週月曜日の朝に父である会長の自宅で朝食をとりながら、経営者としての知識や考え方を学ぶ日々でした。会長も当時は毎日会社に出社していましたが、あれこれ指示を出すことなく、基本的には私のやりたいように任せてくれていました。

そんな先代でしたが、自身の失敗から、もっとも強く私に指導していたのは、「信頼できる右腕、左腕をつくれ」ということでした。その指導が強く頭に残っており、現在の常務である折井、営業部長である望月とは、同じ営業所で私の仕事や組織づくりに対する考え方を常に共有しながら仕事を進めてきました。結果として、「信頼できる幹部」を得られたと思っています。

2人は時には私に対して厳しい意見を言ってくれる存在であり、組織づくりにおいても理念に共感して取り組んでくれています。

組織の成長とともに浮き彫りになった課題

弊社は、幹部の考え方は一致していた半面、将来に向けた人材採用や育成に課題があると感じていました。

日本人事経営研究室さんには2018年10月からサポートを受けていますが、当時は社員23人中、社歴10年以上の社員が18名、その中で社歴20年以上は8名おり、平均年齢が52歳という組織でした。

営業においては各自が売上をつくる力があったため、一定の競争意欲もあり、事業としては成長してきました。ただし、一匹狼的な人材の集まりになっており、各自のノウハウや情報の共有は仕組み化できておらず、決めたことが継続できないという状態でした。

計画的な人材採用もしてこないまま成長してきたため、10年先の経営計画を考えた際、非常に大きな課題として認識し始めました。

部長の望月も当時を「会社の中に個人商店がたくさんある感じで、書類などの提出期日が守られず、正しいことをしている人が評価されない組織だった」と振り返ります。

ビジョン実現型人事評価制度®との出会いと導入

日本人事経営研究室さんとの出会いは、LIXILのSVからの紹介でした。マドリエの社長会にて、山元さんの講演を聞く機会があったのです。

「ビジョン実現型人事評価制度®」の存在を初めて知り、『この仕組みを実践すれば、自分が考えている組織課題を解決しながら、会社と社員の豊かさを実現できる!』と確信しました。講演の中で、山元さんがしきりに言っていた「設計1割、運用9割」という言葉が今でも頭に残っています。

とはいえ、弊社はこれまでコンサルや人材教育にお金を投資したことがない会社でした。会長に提案するにも、間違いなく「投資に見合う成果が出るのか?」と聞かれることは目に見えていました。私はコンサルを導入するためには、会長や幹部へのプレゼンを日本人事経営研究室に任せるのではなく、自分の言葉で納得してもらう必要があると考えました。

あれこれ考えましたが、腹をくくって、「何もしなければ、現場の後任が育たず、会社はこのまま衰退していく」「これからナガセキが地域で必要とされ、貢献し続けるためには必要な取り組みだ」「日本人事経営研究室に丸投げするのではなく、自分たちでやっていくためのサポートを依頼する」と自分の決意を正直に伝え、承認を得ることができました。

実は、費用については、私も少し高いと感じましたが、担当コンサルタントの池尻さんから「専門的な知識とスキルをもった社員を直接雇用するよりは安いですよ」という言葉に妙に納得しており、強気なプレゼンができたと思っています。

経営計画の策定とアクションプランの実践による成果

2018年10月に日本人事経営研究室と契約し、これからの未来をつくっていくという意味を込めて「MIRAIプロジェクト」としてスタートしました。その矢先、私自身の病気が発覚してしまいました。会社の業績は安定していましたし、新たな取り組みに不安を感じていた社員もいたため、幹部の中には「プロジェクトを中止するべき」という意見もありました。

しかし、「私がいなくても会社がまわる仕組みづくりに今こそチャレンジするべき」と判断し、続行を決断しました。自分の決断を認め、真剣に取り組んでくれた幹部メンバーには感謝しかありません。

プロジェクト開始から約半年をかけて、ビジョン実現シートを完成させ、全社員に対して発表することができました。

弊社では、その直後から評価基準づくりと平行してアクションプランの運用を開始しました。経営計画で定めた戦略に対して、実行すべきアクションプランを毎月レポートし、池尻さんたちと共有しながら社内のオペレーションの仕組み改善に取り組みました。

具体的には、「顧客管理の仕組みづくり」、「営業プロセスの統一」、「年間販促計画」、「自社工事比率の増進」、「計画的な人材採用」、「仕事のマニュアル化」、「商品勉強会」などです。その結果、アクションプランに関連する数値の集計ができてきたことで、戦略の実行度合が視覚化され、業績管理の質が向上しました。社員としても、新たに設計した評価基準と自分たちが取り組んでいる活動がリンクしやすかったと思います。

今から「ビジョン実現型人事評価制度®」を導入する企業様には、評価制度の設計とアクションプランの実践は同時に進めた方が早く成果に結びつくとアドバイスしたいです。

ベテラン社員の意識の変化

2019年の10月から評価制度の運用を開始し、4年近く経過しました。グレードごとの昇格要件のガイドラインも定まったことで、22年5月の昇給判断の時期には60歳以上のS3グレードの社員3名がリーダーグレードに昇格し、部下の教育、評価、面談を担ってくれるようになりました。

年齢に関係なく、適切な評価によって会社から期待されていることを理解してくれており、ベテラン社員も「自分たちの知識、スキル、経験を次の世代に残していく」ことが役割だと認識してくれるようになりました。

弊社の定年は65歳、再雇用は70歳までという制度ですが、会長が80歳まで現役だった姿を社員全員が見ているので、もしかしたら、年齢に関係なく働けるという認識が他の会社様よりも強いかもしれません。

若手採用に対する効果

弊社では事業計画の実現に向けて、人員計画を作成していますが、2020年ころから、若手人材の採用のためにHPやSNSを通じて会社の理念や考え方、地域活動の内容を発信するチームをつくりました。活動初期にはHPの訪問数やSNSのフォロワー、閲覧数も苦戦していましたが、継続し続けた結果、理念に共感して入社を決めてくれる人材が増加していると感じます。

2018年10月には平均年齢52.2歳で20代0人、30代1人のみという組織(社員数24人)が、2023年6月現在、平均年齢45.3歳、20代~30代が13人という組織(社員数32人)になることができました。ベテラン層が退職することなく、若手が増員でき、教育やコミュニケーションも安定してきたと感じています。

これからの人材育成と組織のビジョン

MIRAIプロジェクト発足以前は、成長=仕事のレベルアップという感覚が強かったのですが、今では「ナガセキ人」としての人格の成長を求めるように私自身の考え方が変わりました。人材育成は投資であり、コストと時間がかかって当たり前という感覚になってからは、自分の中で人材育成への投資ハードルが低下しました。社員のみんなには実務的な勉強だけでなく、人格を高めるための勉強会や研修にどんどん参加して欲しいと考え、年間スケジュールを決めて実行しています。

現在は各アクションプランのリーダーは概ね幹部社員が担っていますが、今後はアクションプランの実行を任せることのできるリーダー層の育成を一層強化していく計画です。その延長線上に次世代の幹部が誕生すると思っています。
人事評価制度によって、幹部やリーダーが部下の面倒を見ながら育成指導をしていくことを仕組み化したことで、チームとしてのまとまりは格段によくなったと感じています。今後は、私たちの会社が地域社会にとって、なくてはならない存在となり、山梨エリアでダントツのNO.1企業になるために、社員のみんなとともに自社の価値を高め、業界トップクラスの働き甲斐、働きやすさ、賃金水準を目指して挑戦していきます。
プロジェクト開始にあたり、山元さん、池尻さんと約束した通り、成果が出るまであきらめずに継続して実践し続けたいと思います。