株式会社 ニホンケミカル
代表:代表取締役社長 石田 雅裕株式会社ニホンケミカル様は北海道、千葉、大阪、広島に拠点をもち、全国各地の造船、橋梁、プラント、建築、鉄道、航空、宇宙など幅広い分野で金属加工に携わっていらっしゃいます。
お客様の業界や案件ごとに全く異なる個別の要望に対して、確かな営業力・技術力と創意工夫で信頼を獲得されています。
「みんなで、ものづくりを通じて成長し、笑顔の集まる会社になろう」を企業理念に掲げ、ベテラン社員から若手社員まで幅広い年齢層の組織で一丸となって日本のものづくりを支えているニホンケミカル様の人材育成の取り組みをご紹介します。
私たちは4代目の経営者で、それぞれの強みを活かし社長が営業、専務が製造と管理を運営する体制で、2016年に両方が代表として事業を承継しました。
私たちが代表に就任する以前から、評価制度と給与制度は作成されていたものの、それぞれが独立していたため連動性が薄く、社員はどのように頑張れば評価され、昇進、昇給するのかが分からない状態でした。このような課題を解決したいと考えていたときに、偶然、外部の方から紹介されたのが日本人事経営研究室でした。(これも偶然なのですが、日本人事経営研究室の取締役である池尻さんは専務の大学時代の先輩にあたります)
2018年の年初に池尻さんに私たちと会長に「ビジョン実現型人事評価制度®」の目的と成果をプレゼンしていただき、「この仕組みなら長年の課題が解決できるはずだ」という思いで、2018年2月からスタートしました。
プロジェクト開始当時は、社長、専務と千葉、大阪、広島の各拠点責任者が集まり、日本人事経営研究室の池尻さん、井手さんを含む9名でスタートしました。
プロジェクト名は、常に柔軟かつ力強く成長し続けられる組織を目指して、「”N C 強靭化計画” (Be a Flexibly & Powerful Company) ※NC:ニホンケミカルの略」と名付けました。そこから、経営計画と人事評価制度の策定を1年間かけて進めました。
プロジェクト発足以前は、プロジェクトメンバーも各拠点の責任者として業務の管理は行っていたものの、マネジメントの経験は少なかったのですが、このプロジェクトを通じて、経営陣の思いと管理職者の考えをすり合わせながら、経営計画と評価制度を形にすることができました。日本人事経営研究室さんの提示するプロジェクトの推進スケジュールに沿って実践することで、経営計画や評価基準の策定の段階から、管理職メンバーの成長を感じることができたと思っています。
最初の2年間は経営計画発表会や評価制度説明会、賃金制度説明会を日本人事経営研究室さんとともに各拠点を回りながら実施してきました。製造業という職種と特性でもありますが、社員においては、お昼の休憩時間や就業後、疲労感もあるなか説明を聞いてもらいました。一度の説明で全てを理解することが難しく、上司評価や自己評価、面談の実施には「本当にやりきれるのか?」という不安もありながら、日本人事経営研究室さんの言う「実践しながら改善していくことが大事、設計1:運用9」という言葉を信じて、人事評価制度の導入、運用を段階的に進めてきました。
評価制度の運用を2回実施したころ、日本人事経営研究室さんからの提案で、評価者を全員集めて評価者研修を合宿形式で継続するようになりました。弊社はこれまで、幹部やリーダーを集めた集合研修を開催した経験がなかったのですが、メンバーが前向きに楽しんで参加してくれており(懇親会が楽しみだったのかもしれませんが[笑])、実施して良かったと思っています。幹部、リーダーが一堂に会することで、評価制度運用における現場のリアルな情報交換やケーススタディを通じて、評価基準の改善や面談のポイントなどを共有し、相互のレベルアップを図ることができました。
プロジェクト発足から3年目からは、半期に1回の評価・育成面談や月次のチャレンジシートの運用などにも慣れてきました。新しいグレード体系に応じた賃金制度の導入も完了し、社員から「どうすれば評価が上がるのか?」「どうすれば昇格できるのか?」などの質問が面談時に上がるようになってきました。全社員が会社の成長と自身の成長に向けて、自分ごととして真剣に取り組めるようになってきたのです。
9名のプロジェクトメンバーで土台をつくった経営計画と評価制度でしたが、経営計画と評価制度の運用で人材育成を進めた結果、現場のリーダーが成長し、この頃には約20名の評価者が中心となって推進する環境へと進化しました。
戦略を実行するためのアクションプランについても、日本人事経営研究室さんのフォーマットと仕組みを踏襲しつつ、運用を継続する中で自社の会議体にあわせて必要な情報を入れた形式に進化してきました。アクションプラン会議においては、幹部が主導で進めながらも、リーダークラスが発信する機会を徐々に増やすことで、リーダーの育成につながることが実感できました。
NC強靭化計画の発足から1年は設計期間でしたが、トライアル運用の開始から丸3年が経過し、新しいリーダー(評価者)はさらに増えています。
現在は、そのリーダーたちがNC強靭化計画の目的、ゴールから人事評価制度の目的、運用ルールまで、詳細に説明できるよう、その考え方を浸透させることにチャレンジしています。評価者研修を自社で企画し、プロジェクトメンバーが各拠点を巡回しながら推進できるようになりました。
評価者研修では、評価のつけ方や面談方法を学習するだけでなく、新入社員を想定した強靭化計画全体の説明や、評価制度・賃金制度の説明ロープレを行い、他評価者からアドバイスを受けながら、プロジェクトの目的と実践手法を落とし込んでいます。評価者研修が、幹部やリーダーに必要な考え方やスキルを身に着けるための研修に進化していると思っています。
評価者研修で吸い上げた現場からの提案や課題については、都度日本人事経営研究室さんと共有し、ツール類は改善、進化させています。
プロジェクト発足時に池尻さんが説明されていた「このプロジェクトのキーマンは現場のリーダーである」という言葉を信じ、実践してきた成果が、今まさに出始めているところです。
今後も日本人事経営研究室さんとともに、NC強靭化計画の実践を通じて仕組みを進化させ、理念に沿った人材育成を推進しながら、現場のリーダーが主体的に動き、チャレンジできる組織づくりを実践し続けていきたいと思います。