部下を育成する人事面談の6個のポイント、成長を促す面談の進め方|人事評価制度・賃金制度のノウハウ | 日本人事コラム

部下を育成する人事面談の6個のポイント、成長を促す面談の進め方

部下を育成する人事面談の6個のポイント

人事面談の機会を設けても、「評価はこうです」「これからも頑張ってくださいね」と、通りいっぺんの評価と励ましを伝えるだけで、部下との信頼関係が強まる気がしない……そう悩んでいるマネージャーはいませんか。部下を育成するためには、人事面談の充実が不可欠です。成長を促す面談の進め方をご案内しましょう。

育成面談で部下の成長を促す

育成面談は、部下の成長を促す最高の場と言っても過言ではありません。評価者が、評価結果を伝えるだけの面談に終わってしまっていませんか。それではあまりにもったいない!育成面談を、部下とのコミュニケーションを充実させ、やる気を上昇させるための場にしましょう。

具体的には、部下に評価結果を伝え納得してもらった後、これからどうすべきか、本人の成長目標を上司と共有します。評価を納得してもらい、成長目標を共有するためには、面談シートを作成して客観的な資料を作るといった事前準備が不可欠です。部下を育成する面談を行うためには、何を重視したらよいか解説します。

部下を育成する人事面談の6個のポイント

人事面談を、部下を育成するための育成面談とするには、6個のポイントがあります。面談の流れに沿って、各ポイントをご案内します。

面談の目的・テーマを伝える

まずは、部下に「今日の育成面談の目的・テーマ」を伝え、目的意識を共有しましょう。部下は面談といえば評価が下る場と思い、「どんなことを言われるのだろう」と緊張しています。リラックスさせなければ、適切なコミュニケーションは取れません。

育成面談の目的は、評価結果を伝え、納得してもらうことと、成長目標の共有の2つです。決して賃金を決めるためだけの場ではないことを理解してもらいましょう。また、意思疎通の場とするために緊張をほぐすことも重要です。適度なアイスブレイクを行います。

自己評価を行ってもらう

大事なのは、上司からの評価を伝えることだけではなく、自己評価を行ってもらうことです。人は他人のことは客観的に見ることができても、自分の評価というと、実は過小評価、過大評価しがちなのをご存じでしょうか。

上司が「ここは足りない」と思っていることでも、部下は「十分やっている」と捉えているかもしれません。すると、評価への納得度は低くなります。上司と部下との意識のギャップに、双方が気づくためにも、自己評価は大切です。

なお、自己評価は面談当日ではなく、事前に行ってもらうようにしてください。前もって部下に自己評価を行ってもらうことで、自分の仕事レベルを適正に把握できる力を身につけてもらうのが狙いです。

部下自身に「気づき」を促す

双方が意識のギャップに気づけたら、それだけでも価値があります。仕事をする上での問題点については、上司から指摘されるだけではなく、自分で気づき、納得することが大事だからです。

部下自身に自己評価を行ってもらい、客観的な評価と照らし合わせたうえで、部下自身に「気づき」を促しましょう。成長支援とは、上司が一方的に「次はこうするべき」と部下に手ほどきすることだけではありません。部下に自分の問題点を把握してもらい、自ら成長しようという意欲を高めさせるのが、本当の意味での成長支援なのです。

成長目標を明確にする

部下が自分の問題点に気づいたとき、ショックを受けるかもしれません。しかし、問題点があるということは、成長の余地があるということと同義です。成長目標を明確にするチャンスと捉え、励ましましょう。

成長目標を明確にし、目指すべきところを見える化させるためには、目標管理シートの作成が不可欠です。以下の記事で、チャレンジシート(目標管理シート)の作成方法をご案内しています。参考にしてください。

たった3項目で社員の成長を爆速化!「チャレンジシート(目標管理シート)」の作り方【目標例付き】

成長目標を共有する

チャレンジシートを完成させたら、上司と部下とで同じものを共有しておきます。これで、次の面談まで双方が何をすべきかが明らかになります。部下は、チャレンジシートに明記された目標に向かい、仕事に励む。そして上司は、チャレンジシートの通りに部下が成長しているかを見守り、指導するのです。

ここで重要なのは、目標に向かって努力するプロセスを重視することです。目標を達成したかどうかはすぐにわかりますが、プロセスは部下をしっかり見ていなければ評価することができません。達成せずとも前進していればモチベーションは維持されますし、あまり進んでいなければ何が問題かを考えるきっかけになります。決して、結果だけを見て評価しないようにしましょう。

面談シートを作成しておく

面談の前準備として、評価者は面談シートを作成しておくことをおすすめします。面談シートであらかじめ面談のストーリーを描いておけば、育成面談はスムーズに進みます。そして部下と悩みを共有することで、成長のための解決策を一緒に考えることができるのです。

面談シートを見ながら面談をすると、「部下からの信頼をなくしそう」と心配される方もいらっしゃることでしょう。実はそれは逆で、面談シートを作成することで、部下は「自分のために時間を使って準備してくれている」と感じ、信頼が高まります。部下のやる気を高めるには、面談シートの作成などの準備をしておくことが肝心です。

この面談シートは、一度作成すれば面談のたびに繰り返し使うことができます。成長支援のための面談シートについては、以下記事も参考にしてください。

面談の成果が高まる!部下との信頼関係を強固にする「面談シート」の作り方

おわりに:人事面談は評価を伝えるだけの場にしない

人事面談は、評価を伝えるだけの場ではないことがお分かりいただけたでしょうか。せっかく面談という場があるのに、評価と賃金の話だけで終わってしまっては、人材の、ひいては会社の成長につながりません。

ぜひ、日ごろは業務連絡だけで終わってしまう上司と部下のコミュニケーションの場として、面談を活用しましょう。コミュニケーションの充実が、組織によって本人のやる気をアップさせ、成長につなげられる場合が多いものです。

面談に慣れてくると簡単に済ませたり、実施しなかったりしがちです。そういったことのないよう、面談終了後の報告を徹底したり、チェックを行ったりしながら続けていきましょう。

この記事を監修した人

代表取締役山元 浩二

経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に「小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)「小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方」(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である「【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方」(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。

個人ブログ:https://jinjiseido.co.jp/blog/

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