ミッション・ビジョン・バリューの違いとは?定義の解説とミッション作成の参考になる5個の事例
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- ミッション・ビジョン・バリューの違いがよくわからない…
- ミッション・ビジョン・バリューをどう使い分ければいいの?
本記事では、企業活動を行う上で重要となる「ミッション」と「ビジョン」の違い、さらに「バリュー」との違いについて解説します。
企業における「ミッション」「ビジョン」「バリュー」の違いをご存知でしょうか? なんとなくは理解していても、説明するとなると難しいものですよね。最初に答えを書いてしまうと、「ミッション」は企業が果たすべき使命、「ビジョン」は将来こういう企業でありたいという展望を掲げたもの、「バリュー」は組織全体が共有するべき価値観を指す言葉です。それぞれの意味や役割の違いを詳しく解説します。
ミッションの意味・定義
「ミッション(Mission)」は、「使命」や「任務」といった意味の英単語です。他にも「派遣」や「作戦」といった意味もありますが、ビジネスにおいては「企業が果たすべき使命」という意味で使われます。
企業にとってのミッションは、その事業を通して何を成し遂げたいのか、社会に対してどういった価値を提供するのかを示すものです。自社が利益を得るためだけに事業を行うのではなく、社会にとっての存在意義を示すのがミッションとなります。
たとえば、「これまでにない食体験を提供し、食の大切さと喜びを届けます」といったように、自社が社会に提供できるもの、事業を通して目指しているものを示すのがミッションです。
ビジョンの意味・定義
「ビジョン(Vision)」は、「視覚」が主な意味の英単語ですが、「見通し」や「展望」「構想」といった意味もあります。
ビジネスにおいては、「目標」や「方向性」といった意味で使われますが、「展望」と解釈するのがわかりやすいでしょう。つまり、「将来こういう企業でありたい」という展望を掲げたものがビジョンです。
例えば、「顧客満足度No.1」や「業界のトップリーダーになる」「グローバル企業へ」など、企業そのものが目指している姿を具体的に表現するものがビジョンです。社会に対して、そして社員全員に対して「なりたい姿」を宣言します。
バリューの意味・定義
「バリュー(Value)」は、「価値」や「値打ち」といった意味を持つ英単語です。ビジネスにおいては、組織全体が共有するべき価値観のことを指します。バリューを打ち出せば、社員の行動指針として使うことが可能です。
バリューの土台となるのが、企業理念です。企業理念が表している理想的な企業の姿を実現するために、どんな行動をするかを示すのがバリューといえます。例えば、「(顧客第一という理念を達成するために)お客様の視点に立った行動をします」「(創造という理念を達成するために)情熱をもって学びを追求します」などがバリューです。
また、「コア・バリュー」という言葉もあり、これはバリューの中でも中核的(コア)となる価値観のことです。コア・バリューを示すことで、企業が社員に求める行動がより具体化します。「コア・バリュー経営」という言葉もあり、これは、コア・バリューを徹底することで社員らの意識を高め、目標達成の効果的な手段とする経営手法です。
ミッション・ビジョン・バリューの役割の違い
言葉の意味としては、ミッションは「使命」、ビジョンは「展望」、バリューは「行動指針」という違いがあります。まずミッションがあり、それに基づいてビジョンがあり、ビジョンを達成するためにバリューがあるというのが考え方の順番です。
ミッションは企業の「存在意義」を示すもので、企業活動を行う上での根本的な考え方となります。ビジネスは利益を追求するのが当然ですが、ミッションは営利を抜きにして、その事業を行う意義を示すものです。
ビジョンでは、ミッションを実現するための具体的な方向性を示します。ミッションだけでは目的が抽象的なので、企業が目指すべき姿を明確にしたビジョンが必要となります。
バリューでは、理念実現のために必要な社員たちの考え方、行動指針、価値観を設定します。社員は、ミッションやビジョンを意識しつつ、具体的な行動の方向性はバリューを通して学ぶことになります。
ミッションとクレドの違い
ミッションやビジョン、バリューと似た言葉に、「クレド」もあります。クレドとは、企業が持つ理念や信条を、社員の行動規範に落とし込んだものです。
ミッションとクレドの違いは、方向性にあります。また、ミッションは社会全体に企業の使命を宣言しますが、クレドは社員に対して「我々があるべき姿」を明確にします。その意味では、クレドに最も近いのは、バリューといえるでしょう。
クレドについては、以下の記事で詳しくご案内しています。参考にしてください。
ミッション作成の参考になる事例
事例1. LINE株式会社
私たちのミッションは、世界中の人と人、
人と情報・サービスとの距離を縮めることです。
出典:LINE株式会社
無料のメール・通話アプリの「LINE」を提供するLINE株式会社のミッションです。通信サービスを展開する企業として目指す姿がよくわかるミッションです。
事例2. ヤフー株式会社
Yahoo! JAPANは情報技術で人々や社会の課題を解決してきました。
今後も、人々や社会にとっての「課題解決エンジン」として、さまざまな事業を通じて課題解決を行い、世の中に貢献します。
出典:ヤフー株式会社
ポータルサイト「Yahoo! JAPAN 」の運営会社・ヤフー株式会社のミッションです。
検索エンジンを提供する企業として、課題解決を行うことをミッションとして掲げています。「Yahoo!検索 」や「ヤフー知恵袋」など、人々の疑問を解決することが使命としていることがよくわかるミッションです。
事例3. 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
Delight and Impact the World
世界に喜びと驚きを
モバイルゲーム事業だけでなく、プロ野球チーム親会社としても知られる株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)の掲げるミッションです。
DeNAは、「喜び」と「驚き」の2つの感情を人々に与えることを目指しています。これくらいシンプルなミッションだと覚えやすいですし、英語に訳した時も伝わりやすいですね。
事例4. クックパッド株式会社
毎日の料理を楽しみにする
make everyday cooking fun!
出典:クックパッド株式会社
レシピサイト「クックパッド」を運営するクックパッド株式会社のミッションです。
子供が読んでもわかるくらいシンプルなミッションで、伝わりやすさを重視して作ったのが感じられます。難しい言葉はひとつも使っていない、日常に馴染みやすいミッションですね。
事例5. スターバックス コーヒー ジャパン 株式会社
人々の心を豊かで活力のあるものをするために―
ひとりのお客様、一杯のコーヒー、そしてひとつのコミュニティから
カフェチェーン店の「スターバックス」を運営するスターバックス コーヒー ジャパン 株式会社のミッションです。アメリカにある本社が掲げるミッションを日本語訳したものが掲載されています。
ひとりひとりのお客様、一杯のコーヒーを大切にすることにより、心を豊かにしたいという想いが伝わってくる内容です。
ミッションは企業にとっての「存在意義」を示すもの
ミッションは企業の存在意義を示すものであり、それぞれの分野でどういった価値を提供するのかを示したものでもあります。ミッションは、その企業が目指している姿だけでなく、最も大事にしていることが伝わる内容であるのが理想です。
そして、ミッションをビジョンに落とし込むことにより、企業としての姿勢が明確になります。ミッションとビジョンは企業の「軸」として機能し、迷った時の「道標」となってくれるでしょう。
おわりに
ミッションとビジョンのそれぞれの役割を理解した上で策定しておくと、企業としての「軸」が強くなります。人生の目標を定めると進むべき方向がハッキリするように、ミッションを掲げることで企業が目指すべき姿が明確化するでしょう。
まずは利益を抜きにして、どういった企業でありたいのか、事業を通して何を実現したいのかを考えてみてください。それが自社の「ミッション」になるはずです。
この記事を監修した人
代表取締役山元 浩二
経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に『小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)、『小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である『【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。
日本人事経営研究室は仕事創造型人材を育て、成長し続ける強い企業づくりをサポートします
私たち日本人事経営研究室は、"人間成長支援"をミッションとし、
中小企業の持続的成長をサポートしています。
「人材」ではなく「人間」としているのには、こだわりがあります。
それは、会社の中で仕事ができる「人材」ではなく、仕事を通じて地域や環境、社会に貢献できる「人間」を育てる事を目指しているからです。
日本人事経営研究室では、そのために必要な「人」に関するサービスや情報を提供しています。