中小企業でそのまま使える「15の経営戦略メニュー」
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中小企業の中で、経営戦略を明確に定めているところは果たしてどのくらいあるでしょうか。「日々の業務に追われて、しっかりとした戦略を立てる時間がない」「定めたところで、どう実行したらよいか分からない」という経営者の方も多いことでしょう。中小企業には、その規模や性格に適した戦略の立て方があります。中小企業で使える15の経営戦略メニューをご紹介します。
経営戦略をつくる必要はない
「経営戦略をつくる」といっても、それを一から考える必要はありません。なぜなら、あなたの会社の戦略は、すでに完成しているからです。これまでの取り組みから戦略に使える部分を引き出し、戦略としてしっかり明確化し、実行力を持って実現へと導いてゆくことが必要なだけです。
私は450社以上の中小企業の戦略立案、実行推進に関わってきました。経験上いえるのが、戦略のうち70%はどんな中小企業も共通のものになるということです。残りの20%から30%は、あらかじめ決められた戦略メニューから選択することになります。その会社オリジナルの戦略は、10%未満しかありません。必要なのは「実行力」です。
この記事では、共通の戦略と選択可能な戦略の全てをご紹介します。これによって、あなたの会社に必要な戦略の90%から100%をカバーできるでしょう。
中小企業でそのまま使える15の経営戦略メニュー
これから紹介する「15の戦略メニュー」は、6つのカテゴリーに分かれています。「顧客戦略」「営業戦略」「人材戦略」「組織戦略」「IT戦略」「商品戦略」の6つです。それぞれに関して、2~3項目ずつの戦略を提案していきます。
それぞれの戦略には通し番号を割り振っており、どんな会社でも必ず実行すべき「必須戦略」と、自社の状況に応じて選択して実行してほしい「選択戦略」に分類しています。1から15の戦略のうち、「必須戦略」と「選択戦略」の振り分けは次の通りです。
- 必須戦略(どんな会社でも必ず実行すべき戦略):①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑪
- 選択戦略(自社の状況に応じて選択して実行してほしい戦略):⑩⑫⑬⑭⑮
それでは順にご紹介します。
【1】顧客戦略
顧客を管理し、育成していくための戦略づくりです。「情報活用」と「育成」に分けて、戦略を整えます。とくに顧客データや情報を記録するシステムがない会社や、自社の圧倒的なファンを作るための仕組みがない会社はすぐに取り組みましょう。
①顧客情報・活用の仕組みづくり(必須戦略)
顧客情報のフォーマットを社内で統一し、管理方法を決めます。さらに、蓄積された情報を「いつ」「誰が」「どうやって」確認、共有するのかルールを決めます。報告や確認の頻度と対象者、共有方法を決めましょう。
中小企業の場合であれば、大がかりなシステムを導入するより、エクセルや紙ベースの顧客管理で十分かつ効果的に活用できるケースがほとんどです。まずは自社に必要で使いやすい仕組みを、自分たちで考えてみましょう。
②顧客育成の仕組みづくり(必須戦略)
顧客育成の仕組みづくりとは、自社の圧倒的なファンを作るための仕組みです。顧客への情報提供やサービスを通じて関係性を徐々に強化しながら、ファンづくりに全社で取り組みます。そのためには、「顧客のランクづけ」と「顧客のコミュニケーションルールと実践」が必要になります。
2つの取り組みをどう進めたらよいかについては、以下の記事に詳説しています。参考にしてください。
【2】営業戦略
営業戦略は、「営業プロセスの標準化」「営業ツールの整備」「販促・プロモーションの推進」の3つを行います。
③営業プロセスの標準化(必須戦略)
営業プロセスの標準化とは、主に新規顧客開拓で効率よく成果を上げるための仕組みです。例えば、イベントでの集客、アンケートへのお礼状送付、電話によるアポイント、見積もりの提案、クロージングといった契約や顧客化に至るまでのプロセスを明確にします。
これに沿って全営業マンを指導、育成していきますから、経営幹部はもちろん優秀な営業担当にも意見を出してもらいながら自社のベストなプロセスを検討しましょう。これによって、営業担当の成長が加速し、部下の弱点をリーダーが把握した上で指導できるようになり、見込み客数が見える化します。
④営業ツールの整備(必須戦略)
営業プロセスが整ったら、営業ツールの整備に取り組みます。会社案内や商品あるいはサービスのパンフレット、顧客へのプレゼン資料などは、本来ならば営業上とても大切なものです。これらの管理や作成、更新を営業担当任せにしてしまったり、より良いツールの企画や内容構成を考えるのが面倒で後回しにしてしまったりしていないでしょうか。
営業プロセスに沿って、営業ツールにはどんなものが必要かを話し合いましょう。例えば、見込み客の初回面談時には、会社案内と過去の実績事例集、商品案内が必要でしょう。自社が見込み客のニーズにどう沿うことができるか、自社の熱意や競合他社との違いはどう訴えたら相手に響くか。実際の顧客獲得場面をイメージしながら、どのような内容、構成にすればよいかを検討します。
⑤販促・プロモーションの推進(必須戦略)
販促・プロモーションに関する戦略実行には3つのポイントがあります。「年間計画の作成」「効果測定の実施」「新たな販促ルートの開拓持続」の3つです。
まずは1年間、あるいは当年度末までのスケジュールを作成し、予算を決めて推進しましょう。このとき予算が売上や粗利益の何パーセントにあたるかも測定しておき、来期以降の販促・プロモーションの予算枠の目安とします。
2つめの効果測定については、販促費用に対する効果をしっかり計算しましょう。売上や顧客の増加率、前年度比、前月対比などの視点からデータを記録しておきます。これを継続し、分析することによってどこを成果とすべきかが見えてくるはずです。
新たな販促ルートやプロモーションの方法の開拓については、これだけインターネットなどを通じた情報伝達スピードが速く、かつその方法も変化している時代ですから、あなたの会社の魅力をもっと広く世の中に打ち出せる方法がないかを調べてみましょう。
【3】人材戦略
人材戦略は、「人事評価制度の導入・運用」と「要員計画に基づいた戦略的採用」、「幹部・リーダーの契約的育成」の3つに分かれます。全社員、新入社員、そしてリーダーを育成する仕組みを作ることで、人材は確実に成長していきます。
⑥人事評価制度の導入・運用(必須戦略)
人事評価制度は、戦略を社員に実行させながら会社が求める人材像へと育成していく仕組みです。その本来の目的は、経営目標を達成し、社員全員の幸せを実現することです。
人事評価制度の設計、運用のポイントについては、以下の記事を参考にしてください。経営計画と連動させた人事評価制度の運用が、自社の戦略を成功へと導きます。
⑦要員計画に基づいた戦略的採用(必須戦略)
採用について中小企業が取り組むべきことは、「要員計画」と「採用活動」の2つです。
「要員計画」とは、自社の経営計画を達成するための必要な採用、配置計画のことです。以下の記事に詳しいので、参考にしてください。
「採用活動」については、要員計画に基づいて具体的な計画を立てます。担当責任者、面接者の選定・教育、求人方法・媒体選定、採用コンサルタントの活用、部門リーダーや協力者の役割、会社説明会の企画、試験方法や内容、ホームページや採用ツールの制作などを決め、年間スケジュールを立案して計画的に推進してください。
⑧幹部・リーダーの計画的育成(必須戦略)
教育というと、外部研修や研修講師を招く方法を考える方が多いでしょうが、このようなやり方ではお金も時間もかかります。中小企業の人材教育においては、効果が出やすいステップというものがあります。これを理解し実践するのが大事です。
それは、上位職から教育していくということです。教育の量、質ともに上位職ほど厚くしてください。まずは社長自ら、経営幹部の件集内容を考えましょう。そして自ら講師を務めるのがベストです。
また、リーダーの計画的な育成のためには、⑥の「人事評価制度の導入・運用」で解説した人事評価制度の設計と運用が不可欠です。とくに以下の記事に詳しく解説しています。リーダーが成長した事例も盛り込んでいるため、ぜひ参考にしてください。
【4】組織戦略
組織戦略には、さまざまなコミュニケーションのルール作りを行う「会議・コミュニケーションルールの整備」と、仕事のルールを形成する「マニュアル・手順書の整備」があります。いずれも仕事の効率が上がり、伝達ミスでのトラブルが減り、社内の風通しがよくなるといった効果が期待されます。
⑨会議・コミュニケーションルールの整備(必須戦略)
会議については、会議の名称や開催頻度、目的、検討事項、参加者について明確に決定しましょう。議事録の書式と作成者、報告者とその方法、保存場所も決めておきます。また、毎期期首に会議の年間スケジュールを作成し、全社員に公開しましょう。
コミュニケーションのルールとは、主に報告のルールになります。日報や月報、クレーム報告書、成功・失敗事例などの書式や報告方法を明確にし、全社員に知らせましょう。
いずれも、ルール通りに運用されているかチェックすること、その質や内容もモニターしていくことが重要です。運用の中で必要に応じて指導をしたり、ルールや書式の改善を行ったりする管理責任者を決めておくのも大事です。
⑩マニュアル・手順書の整備(選択戦略)
マニュアルや手順書を作成するうえでポイントは3つあります。
1つ目は、成果につながりやすいものから作成すること。
2つ目は、仕事を行っている本人と一緒に作成すること。
3つ目は、5名以上で行っている業務で、内容や作業手順、成果、ミスにつながるポイントが明確な仕事をマニュアルにすること。
成果につながりやすいものとは、たとえば「営業戦略」で取り上げた「営業プロセス」がこの手順書にあたります。「経営計画」のなかから重要かつ手順化が必要なものから取り組むとよいでしょう。また、マニュアルや手順書は、実際その仕事に携わっている人のなかでベストなプロセスを実行している人や成果を出している人と一緒に作成するのが効果的です。
【5】IT戦略
IT戦略は、外部へのプロモーション戦略と、社内のITシステム整備の2項目があります。
⑪ホームページ・SNSの活用(必須戦略)
私が直接コンサルティングで関わっている中小企業の9割以上が、ホームページの改善を必要としている状態です。自社の魅力を十分発信できるホームページになるよう、戦略的な活用に取り組みましょう。
また、現在ではSNSも自社の魅力発信に不可欠なツールです。集客や採用に有効な場合は、担当者を決めて発信に取りかかりましょう。
⑫社内システムの整備(選択戦略)
システム整備に関しては、「顧客管理システム」「商品・サービス管理、分析システム」「財務・経理関連システム」「給与計算システム」などの整備が考えられます。成果を出すために活用できるもの、社員の満足度向上につながるものという視点で優先順位と費用対効果を考え、選択して取り組みます。
お金をかけて外部のソフトを導入することも一つの手段ですが、エクセルでフォームや関数を組んで作成するのも立派なシステム作りです。まずはお金をかけずに社内でできることから考えましょう。
【6】商品戦略
自社の商品をブラッシュアップしたり、新商品を開発したりすることに消極的になっていませんか。自社商品やサービスは、かけがえのない宝です。しかし、中小企業では商品企画や開発を専門に行う部署を持つところは多くありません。自社の商品についてもっとよく知り、分析し、サービスを磨き上げていきましょう。
⑬商品企画・開発プロジェクト(選択戦略)
中小企業の経営者や社員は、誰もが複数の業務を抱えて仕事に取り組んでいます。この状況を利用し、幅広い人たちが企画や開発に関われば、広い視野でより良い商品やサービスを生み出せる可能性が高まります。
具体的には、全社的な商品開発コンクールや、商品企画提案制度を導入します。成功のポイントは、しっかり運営すること。集まった企画や提案にきちんと目を通し、採用されなかった場合でも本人にフィードバックすることが大切です。
⑭商品ランク分類(選択戦略)
自社の業績への貢献度を、商品やサービスごとに分類し、ランク付けします。まずは商品・サービスごとに「粗利益」「売上」「販売数量・利用回数」などの指標を分析しましょう。指標の高いものから並べて順位付けした上で、重要度の優先順位を考えて並び替え、業績への貢献度を分析し、把握します。
最初は貢献度が正しい順位になっているか判断できない場合も出てくるでしょう。そのようなときも、指標を入れ替えながら時間をかけて徐々に正しい貢献度を把握します。こうして現状を分析・把握した上で戦略を定め、全社員に公開、共有し、実行していきます。
⑮生産計画と実行(選択戦略)
この戦略は、主に製造業に必要となるものです。製造部門が経営計画に基づいて生産計画を立案し、生産担当者が将来の売上、利益計画を実現するための体制と仕組みづくりを行います。
過剰在庫や無駄な資材調達につながらないよう、営業や社外と連携し、コミュニケーションをとりながら推進していきましょう。また、こういった点をきちんとルール化し、活用ツールなどを決めてスピーディで臨機応変に対応できる体制を整えるのも大事です。
おわりに
ここまで「15の戦略メニュー」を一気に紹介しました。手をつけようと思っていたものの、後回しになっているものも多かったことも多いのではないでしょうか?
本記事で紹介しきれなかった各戦略の詳細や、戦略を立てた後の実行方法については、以下の書籍で解説しています。戦略の「構築力」と「実行力」、2つのうち業績を出すのに必要なのは「実行力」です。結果への影響度は、80%以上です。ぜひ、書籍で解説する運用方法を参考に、徹底して実践してください。
この記事を監修した人
代表取締役山元 浩二
経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に『小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)、『小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である『【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。
日本人事経営研究室は仕事創造型人材を育て、成長し続ける強い企業づくりをサポートします
私たち日本人事経営研究室は、"人間成長支援"をミッションとし、
中小企業の持続的成長をサポートしています。
「人材」ではなく「人間」としているのには、こだわりがあります。
それは、会社の中で仕事ができる「人材」ではなく、仕事を通じて地域や環境、社会に貢献できる「人間」を育てる事を目指しているからです。
日本人事経営研究室では、そのために必要な「人」に関するサービスや情報を提供しています。