会社に若い人が定着しない原因は経営層との「認識のギャップ」にある!課題解決の方法を解説

会社に若い人が定着しない原因は経営層との「認識のギャップ」にある!課題解決の方法を解説

「なぜか若い人が辞めてしまう」「公正な人事評価をしているつもりなのに、若手から不満が出る」などの悩みはないでしょうか。実は、若い人が定着しない原因は、経営層と若手人材との間にある「認識のギャップ」にあります。この記事では、我が社の調査結果をもとに、若手社員が辞めない会社、若い人が定着する会社になるにはどうすればよいかを解説します。

若い人が定着しない原因は「経営層との認識のギャップ」にある

結論から述べると、若い人材が定着しない原因は、「経営層」と「若手人材」との認識のギャップにあります。では、「認識のギャップ」とは一体どういったものなのでしょうか?弊社が行った意識調査の結果をもとに解説します。

弊社は2025年8月、ある意識調査を行いました。対象は18~29歳の社員が在籍している、もしくはしていた全国の経営層と若手社員(18~29歳)です。それぞれ100名ずつ、合計200名を対象に行いました。

意識調査の結果、特に「評価のあり方」における経営層と若年層の認識の違いが、Z世代の離職理由に影響を及ぼしている可能性が明らかになりました。人事評価制度による評価内容に対するお互いの認識の違いがあり、それが離職の一因となっていたのです。

Z世代に選ばれ、長くいてもらえる会社になるには、経営側の「やっている」感と、若手の「実感」の乖離を解消する必要があります。調査によって何が分かったのか、認識の乖離を解消するためには何をすれば良いのかを詳しく解説します。

中小企業の若手社員と経営層のすれ違う認識に関する意識調査

我々はまず、経営者・人事担当者に対し、入社半年以内の社員から退職意向を伝えられた経験はあるか尋ねました。すると「ある」と答えた経営層は43%に達し、半数弱の会社が、入社直後に離職意向を伝えられていることが明らかになりました。

次に「社員の声が、職場環境の改善や業務の進め方、人事評価制度に反映されているか」を聞いたところ、経営者・人事担当者側は「かなり感じる」と「少し感じる」を合わせて70.0%となり、多くの人が反映できていると考えていることがわかりました。ただし、これはあくまでも経営者側、人事担当者側の認識です。

ではZ世代社員側はどう感じているのでしょうか。同じ質問をZ世代社員にしてみました。調査結果を見ると、「かなり感じる」と「少し感じる」を合わせて33.0%でした。経営者・人事担当者側の70.0%であったのに対し、Z世代社員はその半分以下という結果になっています。この結果から、両者の間には大きなギャップが生じていることがわかります。

このように、経営者・人事担当者側が行う課題改善への対応は、必ずしも若手社員の実感や満足に繋がっていない可能性があることが浮き彫りになりました。

なお、会社が取り組む人事評価制度についても、経営層と若手の間には評価のギャップが見られます。経営者・人事担当者側に対し、公正に人事評価が行えているかを聞いたところ、「とても思う」と「少し思う」を合わせると69.0%となりました。

一方でZ世代社員に対し、自分の業務に対する人事評価が公正だと思うかを聞いたところ、「とても思う」と「少し思う」を合わせると37.0%となりました。公正な評価への実感値に生じる大きなギャップは、若手社員のモチベーション低下を招き、離職に繋がる可能性もあります。こうした認識のギャップが、若手社員が定着しない原因となっているのです。

上記を含むアンケート結果、および退職に関するその他のアンケート結果は以下のページでご覧いただけます。

【中小企業の若手社員と経営層のすれ違う認識に関する意識調査】経営層の4割が入社半年以内のZ世代社員から退職意向を伝えられた経験アリ

中小企業の若手の離職と職場への不満に関する意識調査

今度は別の意識調査の結果をご紹介します。こちらも上記と同じく離職に関する意識調査ですが、経営者層は対象にせず、18歳~29歳の一般社員100名を対象に行いました。

若手社員に対し、「入社半年以内に退職を検討した経験はありますか?」と尋ねたところ、「はい」と答えた人は29.0%でした。約3割の若手社員が入社後わずか半年で退職を検討していることがわかりました。

次に、退職検討理由(※実際に退職しておらず、検討だけ行った人も含む)を深掘りして尋ねたところ、退職検討理由の1位は「給与や待遇への不満」で48.3%。さらに「会社や自分の将来性に不安を感じた」が34.5%、「仕事のやりがいがなかった」が24.1%という結果になりました。入社して半年以内でもキャリアへの不安、仕事のやりがい不足が退職の検討理由になることが、浮き彫りになりました。

次にZ世代社員に対し、入社後に思い描いていた職場環境や業務とのギャップを感じたことがあるかを聞いたところ、「かなり感じたことがある」と「少し感じたことがある」を合わせると69.0%と、多くの方がギャップを感じた経験があると回答しました。

では、入社前と入社後では、職場環境や業務に関してどのようなギャップを感じたのでしょうか。尋ねてみると、以下のような結果になりました。多かったのは「思い描いた業務内容と違った(31.9%)」「成長機会がなかった(29.0%)」という理由です。

さらに「成長機会がなかった」という理由にクローズアップし、「具体的にどのような点で成長の機会が不足していると感じるか」尋ねたところ、「業務の幅が広がらない」が39.7%で最も多く、次いで「新しいスキルを学ぶ機会が少ない」と「上司や先輩からのフィードバックが不足している」が同率で32.8%となりました。

これらの調査結果から、成長機会を感じられない会社は若手社員が離職してしまう可能性が高いということがわかりました。つまり、若手社員が定着する会社に変えるには、成長機会を感じてもらえるような制度や仕組みを取り入れる必要があるということです。

上記を含むアンケート結果、および離職に関するその他のアンケート結果は以下のページでご覧いただけます。

【中小企業の若手の離職と職場への不満に関する意識調査】Z世代の約3割が入社半年で退職を検討、7割が「入社後のギャップ」を実感

課題解決には「経営計画」と連動した「人事評価制度」の導入・運用が有効

調査結果から分かることは、若手はもっと成長の機会が欲しいと考えていること、人事評価制度が公正ではないと感じていること、そしてそれらの不満について、経営層は無自覚である可能性が高いことです。

「若手のキャリア形成について手立ては尽くしている」と考えている経営層と、「もっと公正に評価してほしい、成長の機会を与えてほしい」と感じている若手のギャップを解消するには、相互のコミュニケーションを充実させる取り組みが必要です。最も妥当な手段は「人事評価制度を刷新する」ことですが、どう取り組めばいいかわからないと悩む経営者・人事担当者は多いかと思います。

そこで提案したいのが、「経営計画」と連動した人事評価制度、「ビジョン実現型人事評価制度®」です。「ビジョン実現型人事評価制度®」は中小企業の人事評価コンサルティングの実績を豊富に持つ弊社が独自に考案した仕組みで、会社が望む方向に全社員を成長させながら導いていきます

この仕組みでは、「経営計画」で自社の将来像を示し、「人事評価制度」でこれに合わせたキャリアプランを全社員に持ってもらいます。会社の方針と、最初から成長度合いに合わせたキャリアプランが明示されていれば、成長への不安は解消されます。

また、「ビジョン実現型人事評価制度®」の運用段階には、評価者と被評価者との緻密な面談を盛り込んでいます。本人の成長をテーマにした面談の場を設けることで、上司とのコミュニケーションが充実し、経営層と若手の認識のギャップが解消されるでしょう

意識調査の結果からわかったように、まずは経営層の一方的な「やっている感」をなくしましょう。若い人が入社してもなかなか定着しないのは、経営層と若手社員との間に認識のギャップが生じているからだと考えてください。そのうえで、若手が「自分はきちんと会社に評価されている」と「実感」できる人事評価制度を導入・運用することが必要です。

ベクトルがそろった一体感のある組織を実現し、Z世代を惹きつける中小企業となるためには、しっかりと経営計画と人事評価制度を運用できる体制を確立することが求められるでしょう。「ビジョン実現型人事評価制度®」の作り方については、以下の記事に集約されています。ぜひ参考にしてください。

「画面上ではなく、書籍の形でじっくりノウハウを読んでみたい」と感じた方や、参考記事を読んでくださった上で「もっと詳しくビジョン実現型人事評価制度の仕組みを知りたい」と思った方は、ぜひ山元の著書『小さな会社は経営計画で人を育てなさい!【改訂新版】』をご一読ください。

本書は2017年10月に刊行し、増刷10刷に達したベストセラー「小さな会社は経営計画で人を育てなさい!」の改訂新版で、中小企業が人材育成と組織成長を両立させる「ビジョン実現型人事評価制度®」の仕組みを、図解でわかりやすく紹介しています。

評価制度を通じてキャリアの見通しを共有し、上司との対話を重ねることで、若手の定着と成長を支える組織づくりが可能になります。Z世代に選ばれる会社づくりの第一歩として、本書を活用した制度設計を検討してみてはいかがでしょうか。

【改訂新版】図解 小さな会社は経営計画で人を育てなさい!
【改訂新版】図解 小さな会社は経営計画で人を育てなさい

この記事を監修した人

代表取締役山元 浩二

経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に『小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)、『小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方』(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である『【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方』(あさ出版)を出版。累計20万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。

個人ブログ:https://jinjiseido.co.jp/blog/

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