実行される経営戦略とは?中小企業が経営戦略を実行できない2つの理由と3つの対策
中小企業は経営戦略の立案、実行、進捗管理が苦手な傾向があります。なぜかというと、そもそも経営戦略とは何かをあまり分かっていないからです。
しかし経営戦略こそが、人材育成の、ひいては会社の成長のための大きなカギとなります。そこで本記事では、中小企業が経営戦略を実行できないのはなぜか、そしてどのような効果的な施策があるのかについて解説します。
本文中で紹介している各種シートは記事下のフォームよりダウンロードしていただけますので、ぜひこちらを見ながらご覧ください。
経営戦略が実行できない2個の理由
理由1 「経営戦略」の意味を分かっていない!?
最初に言葉の意味について考えてみましょう。まず、戦略とは、「目標を最も効果的に達成するための仕掛け、打ち手、仕組み」のことです。たまに【顧客数を50社から100社に増やす】といった戦略を掲げている企業を見かけますが、これは「仕掛け」や「打ち手」を含みませんから、目標でしかありません。
これを戦略化するためには、「営業エリアを○○まで広げる」「広告へ投資し、新規見込み客を集める」といった仕掛けや打ち手が必要になります。もしもあなたの企業の経営戦略が、仕掛けや打ち手、そして仕組みを含んでいないものであれば、それを戦略化させなければなりません。
理由2 結果が見えにくい!?
戦略を明確化すれば、ある程度の投資が必要になってきます。先ほどの例でみれば、「営業エリアを広げる」「広告へ投資」が戦略の部分ですが、どちらをとっても、金銭的、時間的、人員的な投資が必要です。
結果が予測しづらいことに対して投資するのは勇気がいりますが、ここで賭けに出ないと戦略の意味がありません。「戦略は賭けである」これを理解し、5年後まで見越して、成果の得られるであろう戦略を立てましょう。
中小企業だからこそ取り組むべき3つの戦略がある
最低限の投資で最大の効果を得られる3つの戦略があります。これらは大きな賭けに出にくい中小企業にとって最良の方法といえるでしょう。
3つ全てに取り組めば、それだけで大きな成果を見込むことができます。ぜひ明確化して取り組んでください。
戦略1 顧客管理の仕組みづくり
まずは顧客管理のルールを明確にし、顧客情報の管理と共有、活用を図ります。本来、顧客情報は会社の財産のはずですが、営業担当者単位で管理しているところが多いのが現状ではないでしょうか。
具体的には次の2つを徹底し、全社で活用できるようにしましょう。
A 顧客情報の記録、管理方法
B 顧客情報の活用方法
顧客情報を記録するフォーマットを統一し、記録・保存する方法と場所をルール化します。手書き、データ、会社のサーバーやシステム、どんな方法でも結構ですが、個々人に任せるのではなく会社のルールを決めてください。活用方法についても同じです。
例えば営業ミーティングなどで「顧客ニーズ」と「顧客クレーム」を営業担当者から報告させ、それを共有すれば、全営業マンが他の顧客にもヒアリングを行うことができます。提案方法の改善や新商品の企画につながるでしょう。
戦略2 顧客育成の仕組みづくり
顧客との関係性を徐々に強化して、段階的に自社の圧倒的なファンに育てていきましょう。そのためには、顧客のランクづけと顧客とのコミュニケーションルールを明確化することが重要です。
では、顧客のランクづけについて解説します。以下の図をご参照ください。
まず、購買額や購買頻度をもとに、顧客を9つに分類します。さらに、その分類をもとに「超有料客・優良客・お得意客・既存客・期待客」といった5段階のランクにわけます。これで、自社にとって誰が有益であり、優先すべきなのかが一目でわかるようになります。
さらに、上位ランクの顧客を増やすために、顧客とのコミュニケーションルールを明確にします。そして、ランクごとにアプローチの方法を変えるのです。アプローチは、例えば次のようなものが考えられます。
1 お客様感謝イベントへのご招待
2 お誕生日のプレゼント
3 利用金額や頻度に応じたプレゼント
4 VIP客特別情報の提供(先行セールなど)
5 ニュースレターの送付
6 DM
7 メルマガ
上位ランクの顧客ほど豊富にアプローチを仕掛けていくように運用し、3ヶ月ごとに上位客が増えているかどうかをモニターします。
このように顧客を育成することは、間接部門の協力なくしてはできません。会社全体でスケジュールをきちんと決め、推進していきましょう。
戦略3 営業プロセスの仕組みづくり
中小企業の営業スタイルは、個々人に任せていることが多いようです。しかし、営業プロセスを共有化すると、安定した業績を出し続けることができるようになります。次の2つを実践しましょう。
A 営業プロセスの標準化
イベントへの集客やアンケート記入、お礼状の送付、そしてアポイントからクロージングまで、顧客化に至るまでの一連の流れを明確化します。経営幹部はもちろん、優秀な営業マンに意見を出してもらいながら自社のベストなプロセスとはなにかを検討しましょう。
どの見込み客がどの営業プロセスにあるかが分かれば業績予測が立てやすく、また営業マニュアルともなるため、営業マンの成長スピードが速くなります。
B 営業ツールの標準化
営業ツールとは、会社案内や商品のパンフレット、プレゼン資料など顧客に提示するすべてのデータをさします。これを営業マン任せにしていると、伝えるべきものが伝わらなかったり、内容を誤解されてしまうことがよくあります。営業ツールの企画、制作に取り組みましょう。
まとめ
中小企業のために、最低限の投資で最大の効果を得られる戦略を3つ紹介しました。どんな企業でも取り組むことができ、地道に実践していけば必ず成果を得られる戦略です。
3つの仕組みづくりで、営業プロセスと顧客を一気に見える化し、業績アップへつなげましょう。