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「あらゆる手を尽くしてきたが、一向に業績が向上しない!」同じお悩みを持つ中小企業の社長は山ほどいるでしょう。しかし、その根本の原因は「どんな中小企業も共通している」というのが私の持論です。
そこで、この記事では事例を交えながら、『中小企業が継続的に業績を上げ続けられない根本的な要因』について一緒に考えて行きましょう。
いつも私は冒頭のような社長に対して次のような質問をします。
私「社長、これまで業績の改善策としてどんな手を打ってきたのですか?」
社長「お客さんのアドバイスや『業績改善セミナー』なんかに参加して、いろいろ対策はやってきたんだが…」
私「具体的には?」
社長「え~っと、『業績が上がらないのは営業力が弱いからだ』と言われて『企画提案力向上研修』に営業社員を全員参加させた。でも、半年たっても成果が見えてこないから、その研修会社の勧めで『営業部門のコンサルティング』も半年間受けたよ」
私「それで、どうでした?」
社長「コンサルタントの人が来てくれて、最初の2カ月くらいの間で新規開拓先が3、4件できたかな…。でも、その後は、全く受注に結び付かなくなっちゃって、半年でこちらからコンサルティングの中止をお願いしたよ」
私「他には?」
社長「まだまだ、いろんな手を尽くしたよ。『モチベーション・アップのコンサルティング』『ホームページの大幅リニューアル』『顧客管理システムの導入』『接遇マナー研修』……、小さいものまで含めると、覚えきれないくらいだよ。これだけやって、業績に結び付かないのはなぜなんだろう、山元さん」
私「社長、それらの対策はどんな戦略にもとづいて行ってきたのでしょうか」
社長「山元さん、そんなのわかりきったことじゃない!(少しイライラしたようすで)”業績の向上”、もう一ついうなら”営業力アップ”だよ!」
私「……」
社長「どうした?山元さん」
私「社長、それは戦略とはいえません!」
笑い話のようなエピソードですが、実際にあった、ある中小企業の社長との会話です。このメルマガを読んでいただいてるみなさんなら、何が問題かはおわかりですよね!
ではその原因を探っていきましょう。
「”業績の向上””営業力のアップ”」は戦略ではないということをお話しました。もちろん、「”業績の向上””営業力のアップ”」のためにどういう仕掛けをするか、仕組みづくりをするか、対策を打つのか、が戦略ですよね。
また、その戦略をつくる前にまず、”業績の向上”をいくらからいくらまで伸ばすのか、営業力をどこまでアップさせるのか、という目標を具体的に立てる必要があります。
この目標がはっきりしないと、戦略もどのような戦略をどこまでやればよいのかが明確にできないはずです。この目標が定まって、初めて「目標を最も効果的に実現するための仕掛け、仕組み」である戦略を考えることができるわけです。
次に戦略を実現するための「計画」を考えます。この「計画」はいいかえると、「戦略を実現するための具体策」ということになります。
そう、前回ご紹介した、”一向に業績が改善しない”会社の社長が取り入れた、
『モチベーション・アップのコンサルティング』
『ホームページの大幅リニューアル』
『顧客管理システムの導入』
『接遇マナー研修』
等々はいずれも「計画」に当たるものです。
目標
↓
戦略
↓
計画
という順番で落とし込みをしていかなければならならないのに、「目標」と「戦略」がないまま「計画」をただやみくもに実行していたということになります。
これが”一向に業績が改善しない”原因だったのですね!
みなさんの会社ではいかがですか?
「目標」は明確に定まっていますか?
「戦略」は明確に示されていますか?
次は、「戦略」と「計画」の違いをもう少し具体的に見ていきましょう。
業績が改善されない原因がはっきりしました。
「『戦略』なき経営」が社長が行う様々な対策(計画)を効果のないものにしてしまっている。『戦略』にもとづいた『計画』として対策を打っていかないと根本的な業績の改善、向上にはつながらない、ということをお伝えしました。
でも、「戦略」と「計画」。ふだんなにげに使っていることばですが、どう違うんでしょうか??
当社では、
『戦略』を「目標を最も効率的に達成するための仕組み、仕掛け」
『計画』を「戦略を実践するために必要な実行項目、手順、スケジュール」
と定義づけています。
事例で考えてみましょう。
例えば、飲食店が
【目標】
顧客のリピート率 10%⇒30%
(リピート率=半年以内に3回以上来店客/新規客全体)
【戦略】
顧客管理の徹底、ランク分類とそれに応じたコミュニケーションの仕組みにより関係性を強化、リピートにつなげる
という『戦略』に対して、どのような『計画』が考えられるでしょうか。
通常、一つの戦略には複数の『計画』が考えられます。ここではスペースの関係上、手順とスケジュールは省略します。
【計画】
1.ポイント会員システムの導入
2.顧客分類とコミュニケーションルールの検討
3.ニュースレターの企画、制作、発行
4.誕生日プレゼントの企画
5.エリア別シェア(会員加入率)分析、対策
いかがでしょうか?
『計画』を明確にすると、社員に対して、具体的に何をいつまでにどのようにやるのかをはっきり示し、実践してもらいやすくなります。
本来は必ず必要なものなのです。
『戦略』との違いという視点でまとめると、
(1)具体的に何をやればよいかわかる
(2)手順、進め方が明確である
(3)スケジュールが明確である
以上、3点です。
そうそう、忘れていました…。『計画』を実行するときのポイントが2つあります。「担当責任者を決める」ということと「スケジュールどおりに進まなくても気にしない」という点があります。
特に、後者が気になる点だと思いますが、理由については次項で解説します。
『計画』とは、戦略を実践するために必要な「実行項目」「手順」「スケジュール」です。でも、スケジュールを決めたのに、「スケジュールどおりに進まなくても気にしない」とはどういうことでしょうか?!
私たちは、アクションプラン会議という、幹部、リーダーで構成する会議を中心に『計画』の推進、進捗管理を行います。実は、このアクションプラン会議の開催が前提なのですが、それでもスケジュールどおりに進まない場合は気にしない、ということです。
※アクションプラン(実行計画)の策定からアクションプラン会議開催の手順については拙著、『「一生懸命」な「まじめ」社員を『稼げる』人材に育てる法』に記しましたのでご一読ください。
→「一生懸命」な「まじめ」社員を『稼げる』人材に育てる法
私が支援した中小企業のなかで、立てた『計画』が全て予定どおり、あるいは前倒しで実行できたという会社は皆無です!『目標』⇒『戦略』⇒『計画』の流れで5、6年運用している会社ですら、予定通りに進まない項目も多々あります。
遅れがちだったり、計画によっては来期にもちこそうというものがあったりする場合も多いのですが、リーダーたちが実行に向けて、なんとか進めていかなければという意識になってくれるだけでも大きな成果です。
要するに、私がみなさんにお伝えしたいのは「どうせ実行できないくらいだったら、こんな取り組みは役に立たないんじゃないか……」とか、「お前たち、ちゃんと実行しないくらいだったら、やめてしまえ!」という意識にならずに、送れながら、少しづつでも継続することが大きな成果につながってくるということを強調したいのです。
『戦略』も『計画』も何もなかった実行前よりは確実に進んでいくのですから!