以下のフォームにご入力いただくと、ダウンロード用URLを記載したメールをお送りします。また、会社のビジョンを実現するための具体的実践例と成功のコツが満載の「山元浩二のメールマガジン」を月2回お届けします!
今回は、『小さな会社は人事評価制度で人を育てなさい!(中経出版)』の中で、書ききれなかった「人事評価制度」運用のポイントの一つ、評価対象期間についてお伝えしたいと思います。
ここにも実は著書の中でも紹介した事例と同じように、「間違った人事制度の常識」が存在していたのです!
どういうことか説明していきましょう。
評価対象期間は「6か月」つまり、半年に1回の頻度で評価を実施するという会社が最も多く、「この方法が最も適正だ」と考え疑わない人がほとんどなのです。
しかし、なぜ、6か月に一度である必要があるのでしょうか?
それは、半期に一度の評価が常識となった背景(理由)を考える必要があるでしょう。これは、お気づきの方も多いと思いますが、賞与に反映するためです。
例えば、3月決算の会社の場合、評価対象期間は
・4月~9月(上期)
・10月~翌年3月(下期)
が評価期間となり、12月と7月の冬季、夏季賞与にそれぞれの評価結果を反映する。また、2回の評価結果を総合して昇給に反映するという形が最も一般的なパターンです。
2月が決算という会社でも賞与への反映を優先させ、評価の対象期間は
・5月~10月→冬季賞与
・11月~4月→夏季賞与
といったルールにしている会社も多く見受けられます。
いずれにしても、評価対象期間は「評価結果を賞与に反映させるため」に決まっていたのです。
このことから、賞与(=賃金)を決定するために評価期間が決まっているということが判明しました。
ここで、みなさんに質問です!『人事評価制度』本来の目的はなんでしょうか?
答えは、”人材成長を通じた経営目標の達成”です。
では、この賞与を起点とした評価期間の考え方は、『人事評価制度』が目指すべきゴールである経営目標の達成と人材成長に効果的なのでしょうか。
人材成長は『評価制度』を通じて実現しなければなりません。その『評価制度』のルールの一つである評価期間も、より人材の成長に効果的に結びつける方法はないのでしょうか。
そのためには、「【人材成長】に結び付けるためには、評価期間はどうあるべきか」を考えればよいのです。
そう考えると、「賞与(賃金)を決めるためには、評価期間はどうあるべきか」という視点で決められた6ケ月ごとの評価期間はどうも考え方としておかしいのではないかと、推測できます。
そう、ここにも実は著書の中でも紹介した事例と同じように、「間違った人事制度の常識」が存在していたのです。
では、評価対象期間はどのくらいで設定すればよいのでしょうか?
ズバリ申し上げましょう。”評価対象期間は3ヶ月がベストです!”
実は、私どもでサポートさせている会社のうち、8割は四半期に一度、評価を行っています。
理由は三つあります。
(1)適正な評価のため
(2)社員のモチベーション維持のため
(3)社員の成長のため
順に説明していきましょう。
現在6ケ月ごとの評価期間を採用されている方にお聞きします。
今日が11月1日とすると、約6ケ月前は5月になります。では、5月の部下の仕事ぶりや言動を詳細に思すことはできますか?多分、詳しく言える人はほとんどいないと思います。
もうお分かりだと思いますが、6ケ月ごとに評価を実施していると、どうしても直近のできごとが大きく評価に反映してしまったり、曖昧な評価になってしまったりといったことが起こってしまい、事実に基づいた適正な評価が難しいのです。
一つ目の理由は、事実に基づいた適正な評価を実施するためです。
四半期(3ヶ月)ごとの評価を実施している会社の中で、さらに8割は3ヶ月ごとに給与の一部に結び付けています。
基本給の一部を3ヶ月ごとに上げ下げしているのです。これは、決して給与に格差を大きくつけるためにやっているのではありません。
昇給は年1回が一般的だと思います。しかし、給与が下がった人は少なからずモチベーションが下がります。給与が下がったことが原因でモチベーションが下がってしまった人が一年間そのままだったとしらどうでしょうか。毎月の給与明細を見るたびに下がってしまった給与を見て「ガックリ」という人もいるでしょう。
そう、二つ目の理由は、「頑張ったら、3ヶ月後には復活(上回ることも)できるぞ!」と給与が下がった人のモチベーションを下げさせないためなのです。
最後は三つ目についてお話します。
さて、再確認ですが、評価制度の『目的』はなんでしょうか?
『小さな会社は人事評価制度で人を育てなさい!(中経出版)』の中でも再三繰り返して書いていますが、【人材の育成】が目的です。
そして、【評価】⇒【育成面談】⇒【目標設定】というプロセスの繰り返しが評価ですが、この評価のプロセスは全て『部下の成長支援の場』として行っていくわけです。
となると、『成長支援の場』は多ければ多いほど部下の成長につながるはずです。当然、年間2回よりも4回行った方が、社員の成長速度は早まるということになります。
三つ目の理由は、社員の『成長支援の場』を増やし、成長のスピードを早めることができるからです。
以上、三つの理由から当社では3ヶ月に一度の評価をお勧めします。
こう言うと、「リーダーへの業務負担が大きすぎるよ」と、おっしゃる社長も多いのですが…。ただでさえ忙しい、プレイングマネージャーのリーダーに新たに加わる仕事だからそう感じるのです。
「評価=成長支援、人材育成」という重要な役割であって、リーダーが行うべき当たり前の業務の一つとなってしまえば、大した負荷ではなくなるでしょう。
『全社員の成長と組織の発展』と『リーダーに負担をかけない』どちらを優先させるか!?
決めるのは社長、あなた自身ですよ!