人事制度の目的は「社員の育成」:社員と業績を伸ばす人事評価制度つくり講座1

人事制度の目的は「社員の育成」:社員と業績を伸ばす人事評価制度つくり講座1

さてさて、前回まで評価基準のお話をしてきました。あなたの会社の評価基準はうまくできましたか?
 
「そんなに簡単にできるわけないよ!」と言う声が聞えてきそうですね。私がお手伝いしながら作成しても一職種に1ヶ月から1ヵ月半もかかるのですから、おっしゃるとおり簡単に出来るわけはありませんよね。
 
でも、このメルマガを呼んでいただいている方にご紹介した様々な方法のなかから一つでも実践していただき、将来の人事制度の設計時に活用していただければと考えています。
 
で、今回から給与制度の作成方法についてお話をするわけですが、給与の内容に入る前にもう一度確認しておきたいことがあります。
 
それは、くどいようですが、人事制度の目的は給与で格差をつけることではないということです。
 
人事制度の目的は教育です。社員の育成です。それは給与の上げ下げでは実現できません。評価を通じて実現します。
 
ある会社の社員「Kさん」の生の声です。
「私は給与が上がったとか下がったとかはほとんど気になりません。今回一番くやしかったのは評価結果が【D】評価だったということです。評価が標準の【B】評価未満ということは私の行った仕事が認められていないということでしょう。」
 
どうですか?これが代表的な『社員の気持ち』なのです。
 
特にこの会社では第1回目の評価と言うことで評価結果は給与には反映しない。つまり「Kさん」は【D】評価であったにもかかわらず給与は下げなかったわけです。しかし、良かれと思ってしたことがよけい「Kさん」のプライドを傷つけました。
 
「今回は給与は保留なんてしてもらうよりも、思い切って下げてもらった方がすっきりします。成果主義を導入して評価が悪かったのに下がらないなんて情けをかけてもらっているみたいでよけい嫌ですね。」
 
この会社では社長の温情が裏目に出てしまったわけです。
 
このようなことはどこの会社でも起こり得ることです。やはり人事制度をある程度成果主義的な体系へ変えていくからに覚悟して導入をしていただかなければなりません。
 
しかし、よ?く考えてみてください。一般的にいままで評価を経験していなかったところに評価制度を導入すると、評価基準は理想のレベルを求めたものとなってしまうため最初は必ず評価結果は低い方の方が多くなります。
 
また、社員の育成が評価の目的とするなら最初から【S】とか【A】の高い評価結果ばかりだと評価された社員はどう感じると思いますか?
 
そう、「自分は十分評価されている。=自分の仕事振りは十分なんだ」と判断してそれ以上の努力をしない人も出てきてしまいます。こうなってしまうと当初の目的の育成に結びつくわけはありません。
 
「いやいや、社員のモチベーションを上げるためにも最初の評価結果は高め(甘め)にすべきだろう」というご意見の方もあるでしょう。
 
そう、どちらがよいか正解はないのです。会社の体質によっても変わってくるし、社長の考え方によっても各社違った考え方があってよいのです。
 
会社の風土や歴史、現状、環境、業績等から判断しどんな形で評価結果をまとめ、本人にフィードバックの面談をやっていくのがベストかを提案していくのが私の仕事です。
 
ん?今日は給与の話しだったはずがほとんど評価に関する内容になってしまった・・・。まあ、評価が一番重要なことですからその辺をみなさんにもご理解していただきたいという『思い』でこうなってしった、ということでどうぞご容赦ください。

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