人材育成を社員研修から始めるのは間違い!「経営計画」と「人事評価制度」で育成する
- 社員研修の効果が感じられない…
- 人材育成は社員研修以外に何をすれば…
本記事では、こうした社員研修に関するお悩みにお答えします。
人材育成を進めたいと考えたとき、「では、社員研修から始めよう」と考えてしまっていませんか。実は、それは間違いです。人材育成は、「経営計画」と「人事評価制度」の2つで行いましょう。この両輪が、社員の飛躍的な成長を後押しします。
人材育成を社員研修から始めるのは間違い!
人事育成を社員研修から始めることには、問題があります。どんなに優れた研修セミナーであっても、外部に委託して行う研修の多くは、本来自社が求めるべきものとマッチせず、思わぬ結果を呼び込むことがあるためです。
ある会社の社長は、人材育成の重要性をあるセミナーを通じて実感し、3人の経営幹部を研修に参加させました。研修後、彼らのモチベーションは上がりました。しかし、1か月後に3人のうちの2人が「会社をやめさせてほしい」と言い出したのです。
慌てた社長が理由を聞くと、「自分の夢と目標ができたので、会社を辞めてその実現に向けて進みたい」といいます。会社を去った後、2人は同業種で独立し、活動を始めました。自社の成長のために行なった研修なのに、大きなマイナス効果を生む結果となったのです…。
ご紹介したのは極端な事例ではありますが、「高い研修費用を出したのにほとんど効果が出なかった」という失敗談は中小企業の社長からよく聞きます。年に数回、わざわざ東京へ行かせて宿泊研修に参加させたり、講師を招いて営業研修を行ったりしているのに、成果が出ない…。そういった悩みを持たれている経営者も、多いのではないでしょうか。
研修の外部委託では継続的な成長は期待できない
「それなら、外部の研修会社やコンサルタントに、オリジナルの研修プログラムを作ってもらえばいい」と考える経営者もいることでしょう。しかし、残念ながらそれでも成長の効果は長続きしません。
なぜかといえば、外部の研修会社やコンサルタントが作成するプログラムで研修を行ったとしても、その会社との付き合いは、その場限りであることが多いためです。半年、一年と、長い時間をかけたプログラムとして計画的に導入、実践しなければ、社員が継続的に成長していくことはありません。
会社側が研修に期待しているのは、社員のやる気をアップさせることだけではないでしょう。「会社に属することによる安心感」「会社や上司、同僚への信頼感」「会社へ貢献することで自分を成長させたいという向上心」もまた、アップさせたいはずです。それらを叶えてくれる、また、持続させてくれるのは、残念ながら社員研修やセミナーではないのです。
「経営計画」と「人事評価制度」で人材育成する
人材を成長させるためにまず経営者が取り組むべきことは、「経営計画」の作成です。経営計画で、自社の経営に対する考え方や将来のあるべき姿、そこに到達するための道筋を明確に示し、全社員と共有します。
そして、経営計画に沿って、社員一人ひとりの役割を落とし込んだ「評価基準」で評価を行う「人事評価制度」を確立し、課題を確認しながらPDCAをまわしていく。こうすることで、会社が望む方向へ全社員を育成しながら導いていくことができます。
中小企業の人材育成は、「経営計画」の作成と「人事評価制度」の運用、この2つに取り組むことが大事です。どんなに優れた人物が行うセミナーであっても、会社の目的から外れたものでは意味がありません。自社で人材を育成する仕組みを作り、継続して運用していくことで、社員が成長するのです。
経営計画と人事評価制度の具体的な構築・運用ノウハウは、以下の記事をご確認ください。
人事評価制度とは「人材を育成するための仕組み」、人事評価制度・経営計画の作り方まとめ
おわりに
経営計画と連動した人事評価制度は、経営者と社員の利害を一致させます。この「利害」は金銭的な部分だけではなく、やる気や安心感、信頼感、向上心といった精神的な面をも共有できるようになります。よって、本当に組織的な強さを発揮するためには、人事評価制度が必要不可欠です。
「この会社で働いていて本当に良かった」「この組織の中だからこそ、自分の力を十分に発揮し、伸ばしていける」。社員がそう感じられる会社にするためにも、経営計画と人事評価制度の作成を、今すぐ始めましょう。