事例から学ぶ!「ビジョン実現型人事評価制度®」が受け身人材の心に火をつけた
人事制度で評価を受ける部署といえば、真っ先に思い浮かぶのが営業部ではないでしょうか。対して管理部門の事務職などは、評価制度を導入してもあまりモチベーションが上がらないと思われがちです。
しかし、意欲をしっかり評価する制度さえあれば、どんな人材のやる気にも火をつけることができます。この記事では、そんな一例を紹介します。
目立たない管理部門の事務社員が昇格一番乗りに!
山田里美さん(仮名)は、社員数43名のA社で管理業務部に所属しています。部署は電話対応や事務処理、書類整理などを主に行う、いわば間接部門です。以前は、会社への貢献度が高い仕事などは求められておらず、あまり期待もされていませんでした。
A社の社長が抱く山田さんに対する印象は、「事務担当者として、仕事は少し遅いが確実に処理をしてくれるので、日常作業は安心して任せられる。しかし、それ以上を求めてもスキルアップは難しそうだし、本人のチャレンジしようとする意欲も感じられない」という、ネガティブでもなければポジティブでもないものでした。
しかし、「ビジョン実現型人事評価制度®」が導入されてから4年の間に、山田さんはぐんぐん頭角を現し、とうとう初めての昇格者となったのです。昇格辞令を受け取った山田さんの顔には、仕事に対する意欲と充実感がみなぎっていました。
毎月コツコツ面談がきっかけで行動が激変
A社は4年前、人事育成の取り組みとして、経営計画書を評価制度に落とし込み実践する「ビジョン実現型人事制度」をスタートさせます。そして、導入後に行った初めての評価で山田さんは「D」でした。
しかし、3回目の評価後から急に変化が現れ、課題に自ら取り組み、効率化に向けた提案などを積極的に出してくるようになりました。評価も「D」から「B」、「A」へとアップし、昇格まで果たしたのです。
これは、マネージャーが評価制度上の「毎月コツコツ面談」という目標支援面談を毎月きっちり行うようになったことがきっかけでした。このことで管理業務部のほかの社員も確実にステップアップし、さまざまな成果を上げるようになったのです。
思わぬ人材の成長に他の部門の社員も奮起
これまで目立たなかった管理業務部門の社員が成長していくのを見て、他部門でも意識改革が起こりました。リーダーを中心に、評価制度に真剣に取り組み、社員が次々に成長し始めたのです。
こうして約4年の間に、自ら課題を発見し高い目標にチャレンジする社員がどんどん増えていった結果、業績も大きく向上したことはいうまでもありません。
どうしてほしいかを伝えれば人は動く
山田さんは、意識と行動が変わった理由をこう語ります。
「新しい評価制度が導入されるまでは、決められた仕事をミスなくこなすことだけが自分に求められていると本気で思っていました。しかし導入後、上司から毎月コツコツ面談の際に成長を求められるようになると、それが嬉しくてたまらなかったのです」
中小企業には、多くの「山田さん」のような人材が埋もれています。優秀な人材がなかなか来てくれない環境のなか、今いる人材の育成から取り組むことこそが業績向上の近道となることでしょう。
おわりに
「ビジョン実現型人事評価制度®」は、社員全員にスポットを当て、「成長したい」という意思がある人全員を引き上げていこうとする仕組みです。これまで当たり前だった成果主義的な人事制度と比較した際、どちらが中小企業にとって必要かは、いうまでもないでしょう。
最初から結果を出せるような優秀な人材の獲得が難しい中小企業の場合、成果主義的な考え方では人材そのものがいなくなってしまうかもしれません。A社は、中小企業の必要な「ビジョン実現型人事評価制度®」のコアになる考え方が実現できた事例といえます。