人事評価制度を構築・導入する際の2つのポイントと気をつけたい3つの落とし穴
人事評価制度はしっかりと構築するのはもちろんのこと、導入後の運用が非常に重要です。構築の段階で失敗する、あるいは運用で失敗するといったことがないように、どちらもポイントを押さえて取り組む必要があります。
とはいえ、それぞれ現状の立場や会社の事情があるかと思いますし、人事評価制度の構築や運用にどれだけ予算を割けるかによって取り組み状況は変わってきます。本記事では要点を絞り、人事評価制度を構築・導入する際に共通する、これだけは押さえてほしい2つのポイントを解説します。
記事の後半では、人事評価制度を提供しているコンサルティング会社の3つのパターンと落とし穴も紹介しています。それぞれの人事評価制度のコンサルティング会社の特徴や、失敗しないためのポイントもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
人事評価制度を構築・導入する際に押さえてほしい2つのポイント
人事評価制度を構築・導入する前に、最初にぜひ押さえていただきたいポイントがあります。それは以下の2つです。
- ポイント1:人事評価制度のゴールを決める
- ポイント2:人事評価制度を構築した後の運用が重要
いきなり人事評価制度を導入するのではなく、まずこの2つを押さえたうえで構築することが大事です。ではそれぞれ詳しく解説します。
ポイント1:人事評価制度のゴールを決める
人事評価制度を構築する、あるいは改善する際は、どこにゴールを置くかを決めることが大事です。
例えば、公平な賃金を分配する仕組みを確立する、社員の納得度を上げるモチベーションを上げる、あるいは公平な評価の仕組みを社員に対して確立して納得度を上げていきたい、ということを目的にされている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、人事評価制度の最終的なゴール、目的は組織、会社の成長です。人事評価制度は継続的に社員を育成させる仕組みであり、人材育成を通して経営目標を達成することが本来の目的です。導入すること自体を目的としてはいけません。
少し具体的なお話をすると、経営目標を明確にするには「経営計画」の作成が必要となります。みなさまにぜひやっていただきたいのは、人事評価制度を作る前に、経営計画を明確にして文書化することです。作成した経営計画を社員と共有し、経営計画で描いた将来のビジョンを実現するための仕組みとして人事評価制度を構築・導入することを目標に掲げ、それを手順として実践してください。
経営計画の作り方については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてお読みいただくと、より理解が深まります。
ポイント2:人事評価制度を構築した後の運用が重要
2つ目のポイントとなる「人事評価制度を構築した後の運用」について。
人事評価制度は設計だけでも大変ですが、本当に時間も労力も成果を出すために苦労するのは作った後の運用です。設計対運用の重要度の比率でいうと、1対9で運用の方が重要です。時間も労力も投資も9倍必要だという前提で、設計の段階から取り組んでください。
人事評価制度を運用を開始した後も、適正な評価を実施・継続するための仕組みをつくることが大事です。ここで運用の仕方までお話するとかなり長くなってしまいますので、以下の記事をご覧ください。人事評価制度の運用の成功事例も紹介していますので、参考になるかと思います。
人事評価制度導入の3つのパターンと落とし穴
ここで人事評価制度導入の選択肢となる3つのパターンと、それぞれの落とし穴、注意点についてご紹介します。
人事評価制度コンサルティングサービスを提供しているコンサルティング会社は、大きく分けると3つのパターンがあります。それは以下の3つです。
- パターン1:大手コンサルティング会社が提供
- パターン2:士業の方々(社会保険労務士等)が提供
- パターン3:IT・システム会社が提供
パターン1:大手コンサルティング会社
1つ目は、一般的に会社名を聞けば誰でも知っている大手コンサルティング会社が、人事評価制度コンサルティングを提供しているパターンです。
こういった大手コンサルティング会社に人事制度、あるいはその賃金体系を設計・導入を依頼したけれども、うまくいかず、運用がストップしてしまった…というケースはたくさんあります。
どうしてそのような状況に陥ってしまったのでしょうか?それは、大手コンサルティング会社に頼んでしまうと、人事評価制度の専門外のコンサルタントが担当になるというパターンが非常に多いからです。
具体的には、財務専門のコンサルタント、あるいは戦略の立案・構築・推進のサポートをやっているコンサルタントや、人材育成やリーダーの教育を中心にコンサルティングを展開しているコンサルタントが担当するという事です。そういう会社は社内に評価基準や賃金制度のフォームを持っていますので、それを持ってくればアドバイスをしながら構築のサポートぐらいまではできます。
しかし、問題となるのが、担当者に人事評価制度を運用した経験がないという点です。問題が発生した時に、人事評価制度の専門外のコンサルタントの人に頼ったとしても、適正な解決策やアドバイスを得られません。企業によって状況はさまざまですので、人事評価制度の運用も場面に応じたサポートが求められますが、経験がないと適切なアドバイスができないのは当然のことといえます。
先述した通り、運用は人事評価制度の導入において9割を占める要素ですので、そこでつまずいてしまうと運用自体がストップしてしまいます。よほどその運用に自信があるという方、あるいは人事評価制度の運用の経験がある会社で成功させた体験を自身が持っているという方でない限りは、大手コンサルティング会社を頼るのはお勧めしません。
パターン2:士業の方々
2つ目は、いわゆる士業の方々が(社会保険労務士の方が多いのですが)、賃金規定や評価制度周りのコンサルティングもサポートをしているというパターンです。
こういう方々は、人事評価制度コンサルティングを行う目的が私たちとは大きく違います。例えば、社会保険労務などを本業としている士業の方々が(一部、税理士の方もいらっしゃるかもしれないですが)、その資格を生かした専門の業務だけでは将来の収益性が見込めないという業界事情があるわけです。そこで新しい収益の柱として人事評価制度コンサルティングをスタートした、というような社会保険労務士の方が多くみられます。
一方で私たち日本人事経営研究室は、「世の中の中小企業を元気にしたい」「中小企業の生産性を上げて中小企業が豊かになることで日本の経済事態を活性化していきたい」という思いで創業をしました。ですので、そういった方々とはそもそもコンサルティングサービスを始めたきっかけ、意図・目的が全く違います。
ただし、料金面でのメリットとして、こういう方たちのコンサルティング料金は安かったりしますので、投資できる金額に制限がある場合であったり、賃金制度だけ作れればいい、あるいは評価制度だけ確立できればいいという場合は、そういうサービスを頼っていただくのもよいかと思います。
パターン3:IT・システム会社
3つ目は、IT系、いわゆるシステムやITのツールを使って人事評価制度の構築・導入・運用をしている会社がコンサルティングをしているパターンです。
そもそも人事評価制度のコンサルティング会社ではなく、全く違う業界のIT企業やシステム会社が提供しているものですので、いうならば専門ではない事業者が提供しているサービスです。そういった会社の中にも運用のコンサルティングもやりますよとか、設計のアドバイスも十分人材が揃っていますよというようなアピールをする会社もあります。しかし、実際はシステムを提供して終わりというような会社がほとんどです
現実には、こういった会社のクラウドのシステムを利用して何百万円もかけたけど、結局運用はうまくいかず、使わずじまいになってしまった…というケースもみられます。
まとめ
人事評価制度で重要なのは、導入後の運用です。力を入れて設計・導入をしても、運用がおざなりになってしまっては、せっかくの制度も効果を発揮しません。
お伝えしたように、まずは、経営計画を作成し、それに連動した人事評価制度を構築すること、そして、作った後の運用面を重視してそこに力を割くことが大事です。設計の段階から、運用方法を考えて取り組んでください。
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本記事の内容は、動画でもお話ししています。動画ではテロップ付きでわかりやすく解説しているので、こちらもぜひご覧ください。