組織を理想環境に導く3つの基本戦略〜独自化・No.1ポジション・市場創造〜|人事評価制度・賃金制度のノウハウ | 日本人事コラム

組織を理想環境に導く3つの基本戦略〜独自化・No.1ポジション・市場創造〜

組織を理想環境に導く3つの基本戦略〜独自化・No.1ポジション・市場創造〜

競合他社に打ち勝ちたい、圧倒的な収益を得たい、企業のポジションを安定させたい。そんな願いがあるなら、今すぐ戦略を見直してみましょう。企業にとって最も理想的な環境、それは「完全独占市場」です。3つの基本戦略を練って実践することにより、組織は最も理想的な独占市場状態に近づきます。

この記事では、組織を理想環境に導く3つの基本戦略をご紹介します。「戦略の立て方がわからない…」「戦略を見直したい」という経営者の方はぜひ参考にしてください。

基本戦略の目的

基本戦略の目的は、あなたの会社を究極の理想環境に近づけていくことです。究極の理想環境とは、「完全独占市場」のこと。理想環境に近づいていけばいくほど競合他社を圧倒し、大企業をしのぐ生産性を稼ぎ出し続けることが可能になります。

市場の独占度合いが高まるほど、収益も増加します。競合他社が無数にひしめき合い、極めて競争が激しい状態では、企業側が価格をコントロールすることができません。どこの商品を買っても全く同じ質の物なので、顧客はどの企業で買っても構わず、価格が唯一の購入判断基準となるのです。

完全競争に近い状態にあるのは、例えばガソリン小売市場です。儲かってどんどん成長しているガソリンスタンドは想像しにくいでしょう。

一方、完全独占市場にあっては、市場に自社しか存在せず、自由に価格をコントロールできます。他社が参入できない状態であれば、差別化を頑張る必要もありません。完全独占市場は理論上の空想ではありますが、近い企業は存在します。

もしあなたがWindowsユーザーであれば、Microsoft社がバージョンアップを行ったり、旧バージョンのサポートをやめてしまったりするたびに高いお金を払ってバージョンアップせざるを得なかった経験をお持ちでしょう。これはMicrosoft社にバージョンアップをするかしないかをコントロールされている状況といえます。

完全独占市場という理想の状態を目指して取り組むべきなのが、これからご紹介する3つの基本戦略です。収益性を確実に高めるため、ぜひとも取り入れたい考え方です。

3つの基本戦略

基本戦略のキーワードは「独自化」「No.1ポジション」「市場創造」の3つです。

価値の高い独自の商品・サービスを持っているため顧客に熱烈な支持を受け(独自化)、業界では圧倒的No.1のポジションを維持し続け(No.1ポジション)、これまでにない価値を世の中に提供し、市場を自ら創造していきます(市場創造)。

この3つを追求し続けることで、あなたの会社は完全独占に近づいていきます。気づけば、収益性は確実に高まり、業界で揺るぎない地位を得ていることでしょう。

1:独自化戦略

市場の中に自社のみしか存在しない完全独占市場を100%満たした市場は存在しませんし、いくら大企業でも実現できません。しかし、できるだけこの理想状態に近づくことは、中小企業でも可能です。そのために、独自の商品・サービスづくりを進めましょう。

独自化のポイントは3つあります。

1つめは、あくまでも差別化ではなく独自化だということです。有効な戦略の考え方として、これまでセオリーとして語られてきたのが差別化でした。しかし、独自化では、唯一オリジナルのどこにも存在しない商品・サービスを目指します。

2つめは、その商品・サービスの課題解決力が高く、高付加価値であることです。いくら他社にはない商品を開発しても、顧客に支持してもらわないと売れないですよね。顧客の課題が解決でき、支払った金額を上回る価値のあるものでなければ、自社の収益を高められる商品・サービスにはなりません。

3つめは、「商品・サービス」を「商品・サービスそのもの」として捉えないことです。例えば工務店が家を引き渡した後の無料アフターサービスや、枕の販売店が販売した後に睡眠状況に応じて行うアドバイスや調整は、「商品・サービスそのもの」ではありません。しかし、顧客はこれらを企業から受けるサービスの一部としてとらえます。つまり、商品・サービスそのもの以外でプラスアルファのサービスを提供すれば、自社独自の商品・サービスを簡単に生み出せる、というわけです。

独自化戦略の事例

それでは、独自化戦略の定め方について、事例をご紹介しましょう。

戦略事例
自社商品・サービスの独自化を推進、唯一ここでしか手に入らないものとし、競合他社を寄せ付けない体制を市場で確立することで圧倒的収益を確保する。

この表現をご覧になってお分かりいただけるかと思いますが、独自化戦略事例は、ほぼこのままの表現でどんな会社でも活用できます。あなたの会社の目指す独自化の方向性にマッチした表現かどうかを確認し、必要に応じて修正を加え、独自化戦略として定めましょう。

2:No.1ポジション戦略

この戦略ではまず、自社がNo.1を目指すターゲットとする市場を明確にします。圧倒的な収益を獲得するためには、市場でダントツのNo.1になることが必要だからです。No.2やNo.3とは、利益に大きな差が出ます。

とはいえ中小企業は経営資源が限られているため、大きな市場でNo.1を目指すのは得策ではありません。そこで、次のようなポイントを踏まえ、自社の目指すべきポジションを明確にしてください。

市場を小さく区分する

区分する切り口は、客層、地域、商品、金額、品質などです。例えば、中小企業のリフォーム会社が日本全体のリフォーム市場でNo.1となるのは困難です。不可能ではないかもしれませんが、大きな投資を伴い相当長い年月を要するでしょう。

しかし、地域範囲を小さくしていけば難易度は下がります。「○○市○丁目の、100万円以上のリフォーム工事でNo.1」などと区切れば、どんな戦略をとればいいかが明確になるでしょう。

すでにNo.1に近い分野を探す

ポジションを定めるとき、自社の中ですでにNo.1、もしくはそれに近い分野を探し、そこで圧倒的No.1になることを目指します。現在強い分野でさらにシェアを高める方が、圧倒的No.1になるためのお金も時間も少なくて済むからです。

どこでNo.1を獲りに動くのか、その市場を自社で定めるという視点で取り組むのがコツです。結果、自社が定めたオリジナル市場となり独自性も高めていけます。

No.1ポジション戦略の事例

No.1ポジション戦略の事例をひとつご紹介します。

戦略事例
中小企業の組織マネジメント、人材育成の仕組みづくりで圧倒的No.1の地位を築き、「ビジョン実現型人事評価制度®」を成長・進化を目指す中小企業のプラットフォームとする。

これは弊社の事例です。「成長・進化を目指す中小企業」として客層を絞り、商品は「ビジョン実現型人事評価制度®」のみとして市場をセグメント化しています。各社が目指す市場はそれぞれなので、ぜひ参考にしながら自社の戦略を作成してください。

市場創造戦略

3つめの基本戦略は、自分たちの手で市場を生み出していく「市場創造」にチャレンジしていく戦略です。1つめの「独自化」を進めながら自社独自の市場をつくり出します。これを実現できた会社は、大きな収益を独占することができます。

といっても、どういう状態が「市場創造」なのか、分かりにくいと思います。もう少し詳しくご説明しておきましょう。

まず独自化戦略が成功し、完全オリジナルの独自商品・サービスを開発することが前提になります。この独自商品・サービスを顧客や見込み客にアピールし、指示してくれる顧客が一定数できれば、そこは自社だけでつくり出した市場となります。

市場を自ら創造すると、次のような2つの価値を会社にもたらします。

市場を自ら創造することで生まれる価値その1:競争する必要がない

1つめは「競争する必要がなくなる」ことです。一般的な商品・サービスには市場規模が存在します。人材派遣は約5.6兆円、住宅業界だと約14.9兆円、OA機器は6.5兆円などです。もしあなたの会社が普通の人材派遣会社なら、対象とするエリアや業種の市場規模のシェアを、競合先と奪い合うことになるでしょう。

一方、独自の商品・サービスで市場創造ができれば、そこには自社しか存在しません。よって競争もありません。競合先と争って無駄な時間やお金を使うこともなく、より生産性の高い経営が実現できるでしょう。

市場を自ら創造することで生まれる価値その2:自社で値決めができる

あなたの会社の商品・サービスの価格は、ライバル会社の価格や業界相場などを加味して決定していることでしょう。しかし、自社だけの市場を築くことができれば、世の中に唯一の商品・サービスを独自市場で提供しているわけですから、自社で値決めができます。

もちろん顧客がその金額を支払ってくれるかどうかは検討する必要はあります。しかし、一般市場にある商品・サービスよりは高い値づけができるはずです。

市場創造戦略の事例

市場創造戦略の事例は、以下の通りです。

戦略事例
世の中に存在しない価値を提供し、自社の貢献度を広げることで新たな需要を生み出し顧客と市場を創造、市場を独占、コントロールし、高収益体制を確立する

この事例は、独自化戦略と同様にそのまま使えるものをご紹介しています。しっくりこない表現があれば多少手直しするくらいで十分活用できるでしょう。

基本戦略を作成した後は17の個別戦略を作成

3つの基本戦略を作成した後は、17の個別戦略を作成するのがおすすめです。ほとんどの項目が、全ての中小企業にとって取り組むべき必須戦略ですから、あなたの会社の経営計画にもぜひ盛りこんでいただきたいと思います。

顧客戦略
1.顧客情報管理・活用の仕組み
2.顧客育成の仕組みづくり
・営業戦略
3.営業プロセスの標準化
4.営業ツールの準備と活用
5.広告・プロモーションの推進
6.自社デザイン化の推進
・商品戦略
7.商品・サービス開発
8.商品分析・ランクづけ
9.生産体制の確立
人材戦略
10.人事評価制度の構築・運用
11.戦略的採用の推進
12.計画的教育・研修の推進
組織戦略
13.会議・コミュニケーションルールの仕組みづくり
14.マニュアル・手順書の整備、活用
IT戦略
15.ホームページ、SNSの活用
16.社内システムの整備
財務戦略
17.目標達成状況把握・分析

※このうち9番「生産体制の確立」のみ、選択戦略となります。

3つの基本戦略と17の個別戦略を打ち立て推進していけば、あなたの会社はめざましく成長していくことでしょう。

上記17個の戦略の詳細については、自著『小さな会社の人を育てて生産性を高める戦略のつくり方』で解説しています。誰でも簡単に、60分で20の戦略を完成させられる内容です。ぜひお手にとってご確認ください。

小さな会社の人を育てて生産性を高める戦略のつくり方
小さな会社の〈人を育てて生産性を高める〉「戦略」のつくり方

おわりに

商品・サービスの独自化を行い、小さな市場であってもNo.1になれれば、会社の成長に大きな効果をもたらします。自社の強みとは何かをもう一度洗い出したうえで、揺るぎない地位を確立するためのアイデアを話し合ってみてください。

なお、戦略は実行しなければ意味がありません。20の戦略ができあがったら社内で共有し、どのように進めていくかを徹底的に話し合いましょう。リーダーに実行を委ねて戦略を進めていけば、人材も気づかぬうちに育っていきます。

この記事を監修した人

代表取締役山元 浩二

経営計画と人事評価制度を連動させた組織成長の仕組みづくりコンサルタント。
10年間を費やし、1,000社以上の経営計画と人事制度を研究。双方を連動させた「ビジョン実現型人事評価制度®」を480社超の運用を通じて開発、オンリーワンのコンサルティングスタイルを確立した。
中小企業の現場を知り尽くしたコンサルティングを展開、 “94.1%”という高い社員納得度を獲得するともにマネジメント層を強化し、多くの支援先の生産性を高め、成長し続ける組織へと導く。その圧倒的な運用実績を頼りに全国の経営者からオファーが殺到している。
自社組織も経営計画にそった成長戦略を描き果敢に挑戦、創業以来19期連続増収を続け、業界の注目を集めている。
著書に「小さな会社は経営計画で人を育てなさい!』(あさ出版)「小さな会社の人を育てる賃金制度のつくり方」(日本実業出版社)などがある。2020年2月14日に15刷のロングセラーを記録した著書の改訂版である「【改訂新版】3ステップでできる!小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方」(あさ出版)を出版。累計14万部を突破し、多くの経営者から注目を集めている。
1966年、福岡県飯塚市生まれ。

個人ブログ:https://jinjiseido.co.jp/blog/

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